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ワンオペ学習塾をスタプラで働き方改革してみた結果、実現したこと|大学受験の桔梗会【Studyplus for School Award 2022】

独自の工夫をこらしながらStudyplusサービスを上手に活用し、新しい教育の在り方に取り組まれている塾・学校を表彰する「Studyplus for School Award 2022」。昨年に続き今年も受賞校によるプレゼンテーションを含むイベントを5月10日から約1ヶ月にわたり開催いたしました。

今回は、個別指導部門でご受賞された「大学受験の桔梗会(岐阜県)」加藤 哲也先生のご登壇回を振り返ります。

登壇校紹介

■登壇者
大学受験の桔梗会 塾監 加藤 哲也 氏
大学時代から塾講師を始め、2011年に「大学受験の桔梗会」を開業。2017年にはスカイプによるオンライン個別指導も開始する。2015年からYoutubeの投稿もスタートし、現在も岐阜・名古屋の大学受験情報を中心に発信を続けている。

■大学受験の桔梗会とは
岐阜県で2011年に開校した学習塾。映像授業、グループ指導、個別指導のハイブリッド方式が特徴。高校生40名の他に、大学生や社会人の生徒も若干名在籍している。Studyplus for Schoolは2019年に導入し、そのほかにも学びエイドやスタディサプリを活用している。
HP:https://kikyokai.net/

自己実現という目標達成のため、戦略や作戦を細かく決める

初めまして、大学受験の桔梗会で塾監を務める加藤です。当塾のキーワードの一つが、「数の暴力」です。いきなり何の話かと思われると思うのですが、当塾には赤本1100冊、参考書2200冊があります。個人塾では桁違いのレベルなんじゃないかと思っています。

当塾の経営理念は、「大学受験を通じた『自己実現』」です。こちらの図は奥山さんの本からの引用です。私は大学生の頃から歴史学科で勉強していたこともあり、戦術学や戦略というものを日本史や世界史を通じて学んでいたので、こういったことに興味関心が強いんですよね。話を戻しますと、ストラテジーとは日本語に訳すと「戦略」ですね。戦略とは国家の運営や戦争でどう勝つかを指しており、こちらの図で「大戦略」に当たる部分がグランドストラテジーと呼ばれます。そして当塾のグランドストラテジーは、「大学受験を通じた『自己実現』」です。私はそのための合格ストラテジーや志望校合格などの戦略を立てるストラテジストの役割を果たしています。生徒たちに達成してもらいたいことは、志望校を決めて合格することです。そのために必要なことを生徒に実行させ、合格させることが最大の狙いです。

細かく見ていくと、志望校合格のための「作戦」として、入試方式や併願校の選択を徹底的に洗い出します。そのうえで「戦術」として、得意を伸ばすのか、苦手を克服するのかなどを生徒の特徴や受験校に応じて決めます。その中で具体的に共通テスト対策をしたり、小論文対策をしたりします。このための「技術」として、参考書や映像授業のルート組みを行います。この一番下の土台として活用しているのが、Studyplus for Schoolです。

アナログの手帳からデジタルのStudyplus for Schoolに切り替え、学習管理を効率化

少し前置きが長くなってしまいましたが、本日の講演テーマは「塾長ワンオペ学習塾をスタプラで働き方改革してみた」です。

当塾では、私が幅広い業務を担っています。グループ授業・個別指導では、英語、数学、日本史、政経、倫理、現代社会、古文、漢文、生物、情報、公共、歴史総合、小論文、公務員試験対策を担当しています。足りない部分は映像授業を用いた反転授業を行っていて、今は学びエイドとスタディサプリを利用していることに加えて、自分で映像授業も作っています。

さらに授業プリントづくりやテキスト作り、オンラインでのメンタリング、YouTube投稿、教室内の造作DIYまでやります。請求書発行からスタッフの労務管理、塾内サーバ・ネットワーク構築、Webページ更新やコラムぺージ運営、蔵書の収集なども一人で行っています。

こういった背景がある中、当塾では最初『フォーサイト』という手帳を使って一部の生徒の学習管理を行っていました。ここに一日の勉強を書き出してもらって、今日はどれだけ頑張れたかを振り返りをします。塾に来たら内容を見せて、記録した内容を確認して褒めたり、コメントをするという流れです。

しかしこれはかなり手間がかかり、希望者全員に対応するのがだんだん難しくなってきました。そこでStudyplusを使えばこれらの作業を全てそのままデジタルに置き換えられると思ったことが、導入のきっかけのひとつです。

実は私はStudyplus for Schoolの導入以前から、個人的にStudyplusのアプリを使っていました。自分の学習記録を残せることがよいと思ったので、これを一部の生徒にも利用させ、「いいね」やコメントを送り合いました。しかしスマホノンネイティブで、フリック入力ができない私が、スマートフォンで毎回コメントを入力するということが煩雑で挫折しました。今ではPCでStudyplus for Schoolを活用することができています。

当塾では、入塾生の初回面談時に、まずは保護者や生徒にStudyplus for Schoolの意義を説明します。面談の中で、Studyplusを活用して生徒と塾の全スタッフで記録を共有してPDCAサイクルを回す材料にし、自分の振り返りの材料が増えて自己承認が自信へとつながることを伝えます。また、「いいね」やコメントも自信につながり、学習意欲向上の材料になること、保護者連携で気軽に情報共有ができることも伝えます。

こういった話をしてから、アプリインストールについての紙を渡します。その時、Studyplusを知っているか聞いています。全体の15%程は使っているので、「記録をとってね」というだけですぐに活用可能です。知ってはいるけど使っていない生徒も15%ほどいて、改めてこれから使うように話します。残り70%の生徒は知らないので、手取り足取り教えます。

具体的には、体験入塾時に30分かけて一緒に操作します。まず生徒のスマートフォンを塾のWi-Fiにつなぎ、アプリをインストール。Studyplus for Schoolと連携し、塾にある参考書をバーコード読み込みで登録します。学習記録にはコメントをつけてノートの写真を載せることを絶対のルールとしています。Studyplus for SchoolはほかのICTツールに比べて初期登録が早く終わるので、助かります。

Studyplusの活用では基本的に、生徒が持っているスマートフォンを使わせます。塾に着いたらまずアプリを起動させ、QRコードで入室を記録。その後、今日の学習内容を自分の口で宣言してもらいます。自習中や授業中はアプリで記録をつけてもらい、最後の学習記録を付けたらQRコードで退室記録をつけてから帰るという流れです。こういった形で運用しているので、生徒のStudyplus記録率はほぼ100%を維持しています。

私のStudyplus for School活用法として、まず起床後に自宅で記録をチェックして、保護者からの連絡に返信します。当塾では講師が週に1回生徒と10分のミーティングをするので、その記録をカルテ機能からチェックします。夜寝る前にまた学習記録を見ることもルーティンです。毎週金曜の昼間にはLINE連携機能を使って保護者向けにメルマガを一斉送信し、アナリティクス機能から勉強時間ランキングを作って掲示します。

生徒の理解度を正確に測り、コミュニケーションも増加

ここからは、Studyplus for Schoolを導入して得られたメリットについて解説します。

1つ目は、学びの可視化です。当塾では、塾での勉強に関しては写真とコメントで記録に残しています。これにより、講師は生徒の理解度をはかることが可能です。ノートの写真を見れば、生徒がどこまでどうわかって、どのくらい頭を働かせているかがわかるので、生徒指導の材料を得られます。あまりにも習熟度が低ければ、「もう一回やろう」などとコメントします。また、講師自身が自分の授業を振り返る内省の材料にもなりますよね。

生徒からすると、授業時間外に講師からのアクションがあるので、塾にいない間でもコミュニケーションをとることができます。また、褒められる機会が増えたり改善提案の機会が増えること、生徒の内省の材料になる点もメリットです。

メリットの2つ目は、コミュニケーションの増加です。私から生徒へのアクションは、Studyplus for Schoolを導入してから格段に増えました。来塾時の話題が豊富になり、生徒も塾に来るモチベーションが上がります。

また、私と保護者のやり取りも増えました。当塾ではメールでのやり取りを全廃し、すべてStudyplus for SchoolのLINE連携機能に集約。進路の相談などいろいろな情報をいただくようになりました。身構えずに身近な人として感じてもらえるのはありがたいです。

メリットの3つ目は、働き方改革の達成です。私は週2日は自宅で働ける状況ですが、これはStudyplus for Schoolにすべての情報を蓄積できるからです。どこにいてもいつでも生徒・保護者対応ができますし、基本的に即時対応も必要ありません。水曜日と日曜日は学生講師に塾での対応をお願いしています。

また、個別指導も一部はオンラインに移行しました。私も学生講師も在宅勤務をしており、生徒都合での欠席も減りました。岐阜は田舎なので塾に来るのに20kmも移動しなくてはならない生徒もいたのですが、負担は軽減されたと思います。

保護者面談もZoomで実施し、入退室システムもStudyplus for Schoolに一本化しました。フォーサイトを使ったPDCAサイクルもStudyplus for Schoolに置き換えています。

メリットの4つ目は、スタディプラス社のサポートが手厚いことです。導入を開始してからスタディプラスが主催する、学習時間を競うS-1グランプリに参加しており、2019年の冬はキットカットの用紙を郵送いただき、生徒に目標を書いてもらうなど、生徒のモチベーションを高めるきっかけとなりました。

各種勉強会への案内もあり、塾で働く人のための勉強の機会が多いです。自分が発信者になるチャンスもあり、人前で話すことに慣れることができました。ここで根性が鍛えられたおかげで、YouTubeの生放送を週2回やれる能力が身に付いたと思います。

塾運営の内省の機会もあり、営利団体として永続的な経営ができるか振り返るチャンスをいただいています。教務の相談もできて、担当のスタッフさんに「最近こういうことがあって」と話して、いわゆる壁打ちが可能です。ほぼ学習塾コンサルのようなことをやっていただけて、自塾の課題解決を手伝ってもらっていると感じています。

メリットの5つ目は、コンテンツ配信機能についてです。この機能では塾内専用の映像授業のメニューを組んで、生徒に配信できます。私はYouTubeに解説動画を上げているので、そこでメニューを作って渡しています。他塾の映像授業も、連携コードを使うことで配信ができます。

メリットの6つ目は、他塾との様々な形で連携ができることです。Studyplusを通じて、オンラインでつながった塾がたくさんあります。当塾のオンライン生を、近くにいい塾があるからと紹介した例が3件あります。反対に、他塾から当塾に紹介いただいたことも3件ありました。

紹介をいただいたケースでは、その塾のアカウントの中に私のメールアドレスを使って講師アカウントを作成してもらいました。そこで学習記録を見たり、「いいね」を返すなどして、授業記録はカルテ機能に残しました。他塾の生徒と個人的に連絡を取るとトラブルが起きかねないですが、Studyplus for Schoolのアカウントを通すことで、いつでも状況を見てもらえるようにしました。

業務量は増えても効率化が進み、不要な業務を削減できる

今後の展望ですが、当塾ではまだプランニング機能を使いこなせていないので、これからもっと活用していきたいと思っています。生徒自身が計画実行して自走できるようになることが理想ですが、簡単ではありません。

また、Studyplus for Schoolをオンライン生にどう使わせるかも課題です。記録が続かない生徒に対して、教室に通っている子は「今からつけなさい」と目の前で話せますが、オンラインだと難しいです。こちらからメッセージを送っても、アプリを開いてないと見てもらえません。活用できるかどうかは個人の資質に依存しています。

この解決は講師のマンパワーによるところもあります。「記録をつけたか」「見ているぞ」と声をかけ続けることを、常に生徒に対してやることが必要です。

学生講師にも「いいね」やコメントをつけるよう言って、多くの先生から反応がもらえる環境づくりをしています。学生講師には毎日ログインして「いいね」を押してもらい、記録にコメントしてもらいます。その対価として、1日100円をスタプラ手当として支給しています。

本日のテーマは「塾長ワンオペ学習塾をスタプラで働き方改革してみた」でしたが、Studyplus for Schoolを導入して仕事を減らせるかというと、実際のところ業務量は増えます。なぜなら隙間時間にできることが増えるので、もっと情報共有をしていこうというマインドになるからです。出勤せずにできることが増えるので、家にいてもStudyplus for Schoolを見られるようになります。

加えて保護者との個別連絡も増え、生徒の学習進捗もよりたくさん見るようになり、個別連絡も増加。カルテへの記入の粒度も高まりました。結果として、合格ストラテジーの細密化・情報量も増えていきます。

しかし、業務量は増えますが確実に効率化ができています。いつでもどこでも仕事ができ、すぐにやらなくてはならない業務が減りました。学生講師の情報共有もカルテ記録と短時間の申し送りで済むので、ミーティングも長い時間やらなくてすむようになりました。学生講師も在宅勤務ができるようになり、フルリモート勤務者も3人います。私はこれからもStudyplus for Schoolを活用して、幅広く様々な業務に取り組んでいきたいと考えています。

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