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生徒とのコミュニケーションが量・質ともに向上するツール |湘南ゼミナール【Studyplus for School Award 2021】

Studyplus for School Award 2021とは、少子化・採用難・地域格差という社会課題が広がる中で、未来の教育の在り方・先生の新しい働き方に果敢に挑戦する教育機関を表彰するものです。

昨年に続き今年も、受賞校によるプレゼンテーションを含むイベントをオンラインで開催いたしました。その模様をnoteでもお伝えしていきます。
今回ご紹介するのは、集団指導部門で受賞された、湘南ゼミナール難関高受験コース(神奈川県)の菅野先生の回です。

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合格後も活かせる力を学習PDCAサイクルを通して身につける

当コースは、10教室で集団指導をしており、スタッフは正社員や学生講師、学生チューターなどがいます。1クラスの人数は20~30人ほどです。対象は、小学校6年生から中学校3年生です。

難関高受験コースでは、小学校6年生から高校受験を目指して勉強を始めます。主な進学先は横浜翠嵐高校や湘南高校、開成高校、渋谷幕張高校、慶應義塾大学付属高校などです。

指導方針は、「可能性の最大化」で、私たちは生徒が行きたいと思える志望校を見つけ、合格することを全力でサポートします。これを実現するため、「自ら考え、判断し、行動できる『自律』した人を育成する」「高い目標を持ち、常にプラス思考で努力できる人を育成する」「優しさと思いやりをもった心豊かな人を育成する」ことを掲げています。

コースの特性上、勉強が得意な生徒が多いですが、勉強さえできればいいわけではありません。勉強を通して人を育成していきたいと思い指導しています。

私たちは、生徒を合格に導くための課題やカリキュラムを用意していますが、かつてこれにより「言われたから勉強をする」というマインドの生徒が増えてしまいました。これでは高校生になって塾を卒業したとき、何をしたらいいかわからなくなってしまいます。ここを改善するために、自ら考えて行動できる姿勢を目指すようになりました。

高校合格後も活かせる力を身につけてもらうために始めたのが、Daily Scheduleです。これは、学習方法や時間の使い方について、客観的に振り返る習慣を身につけることを目的としています。小学校6年生から中学校3年生が使い、授業の一環として週1回実施しています。

Daily Scheduleの授業では、「目標と目的は何が違うか」「どのような目標が良い目標とされるのか」「なぜ振り返りを行うのか」といった「なぜ論」を中心にレクチャーしています。

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こちらが実際のDaily Scheduleです。PDCAサイクルにゴールを意味するGという要素を加えた、G-PDCAサイクルを採用しています。ページの上部に一週間の目標を書くことで、何のために課題に取り組んでいるのかを見える化し、目標の積み重ねが目的、志望校合格に繋がっていくという意識を持ってもらいます。

その下に、1週間の学習内容を書き込みます。ここには、塾の課題だけではなく、学校の宿題などもすべて書き出します。

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次のページに書き込むのは、1日の予定です。横軸が時間軸になっており、6時から24時までのタイムスケジュールをメモします。

その下には、毎日の振り返りを記入し、できた場合もできなかった場合も、なぜそうなったかを考えます。これを考えることで、同じ失敗をしないようになることが目的です。

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これは生徒が実際に書き込んだDaily Scheduleです。やることリストの一番左に番号が振ってあり、この番号を右のスケジュールに入れ、学習を進めています。タスクが完了したら、やることリストに横線を引いていきます。

生徒の学習状況をリアルタイムに把握するため導入

Daily Scheduleを通して、行動の改善も目指していたのですが、生徒に「これを自分で書こう」と言っても、初めから自立して書くことは難しいものです。そこで、なるべくこまめな声かけや添削を心掛け、最終的に自走につなげようとしました。

しかし、当塾は集団指導の塾のため、通塾日が多くても週3日である上、メインは授業となります。通塾日のたびにDaily Scheduleをチェックできるわけではないため、タイムリーな声かけができていないことが課題でした。

これを改善したいと考えていたところ、Studyplus for Schoolの存在を知りました。生徒の学習状況をオンラインで常に把握でき、生徒が休んだり、テキストを忘れても、タイムリーに状況を確認できる点に魅力を感じ導入しました。

まずはトライアルという形で始め、最初の半年間は強制はしないもののなるべく全員にお願いしました。当塾では2か月に1度のペースで保護者会をしており、そこで入試報告や入試結果説明などをしているのですが、そこでStudyplus for Schoolについても説明しました。

タブレットかスマートフォンのご用意をお願いしましたが、特に反発などはありませんでした。もともとDaily Scheduleに理解があったこともあり、問題なく導入できています。

アプリのインストールは、塾から連携コードを配布し、家庭で行ってもらいました。しかし、やり方が分からない生徒もいたため、塾に来た時にフォローしたり、電話で一緒に登録したりしました。今では、どの教室でも連携率が90%以上になっています。

目的に合わせた6つの機能の活用方法

導入後、私たちは主に6つの機能を活用しています。

1つ目は、学習記録です。これはメインとなる機能で、生徒に毎日の学習記録を入力してもらっています。入力結果や日々の課題、小テストの結果などを一覧にし、その横に各学年のアナリティクス状況を記載し、塾の壁に掲示しています。これにより、他生徒と切磋琢磨し合える効果を発揮しています。

2つ目は、タイムライン機能です。「いいね」をつけることで講師に見られていると意識でき、継続しやすくなるというアドバイスを、スタディプラスの担当の方に教えてもらい、欠かさずにつけています。

当初は、毎日の業務のなかで忘れてしまうこともあったため、教室スタッフ全員を管理者として登録し、「いいね」を送る時間帯を決めて仕組み化することで忘れずに送れるようになりました。時間帯は、生徒が家に帰ってきてタブレットやスマートフォンを見るであろう、4時~5時にしています。

3つ目は、メッセージ機能です。記録入力が滞っている生徒へ個別に送るだけでなく、生徒のリテラシーを高めるために積極的に一斉メッセージを送るようにしています。現代では、模試の申し込みなどはWEBが主流になっているため、そういったものに慣れてほしいという意図があります。

また、生徒たちからもメッセージが届くようになり、これまで電話で質問されていたことも、テキストでやり取りできるようになりました。

4つ目は、プランニング機能です。当塾では、振り返りを重要視していますが、振り返るためにはきちんと計画を立てることが必要です。そのため、いかにプランニングを入力してもらうかが重要になります。

理想は、生徒が自分でプランニングを立て、私たちはチェックするだけという形です。しかし、いきなりは難しいため、週に1回入力する時間を作っています。プランニングできない理由は、やり方がわからなかったり、面倒に感じるなどいろいろあるので、それぞれに合わせてサポートします。その結果、昨年度はプランニング率91%を達成しました。

5つ目は、ダッシュボード機能です。毎日のタスクをスタッフと共有することで、スタッフたちの日常にStudyplus for Schoolを使うことが当たり前だという環境を整えています。「いいね」を押すときだけに開くのではなく、業務開始と同時に開くことで、常に自分のパソコンにStudyplus for Schoolが表示されるようになります。

6つ目が、動画コンテンツ配信機能です。私たちはもともとYouTubeチャンネルを持っており、欠席者向けの授業動画などをアップしていました。コロナ禍での休校期間中も動画で授業を配信していましたが、Studyplus for Schoolでこの機能が実装されてからは、YouTubeにアップしていたものをそのままStudyplus for Schoolでも配信するという形にしています。

YouTubeでは、画面の横や下に広告が出てしまい、保護者からも「勉強してるときに気になって、他のサイトに飛んでしまうのではないか」という声をいただいていました。ですが、Studyplus for Schoolでの閲覧であれば、余計な広告なども表示されないため、保護者の不安を軽減することができました。

生徒とのコミュニケーションが増え退塾防止と学力向上につながる

Studyplus for Schoolの導入により、生徒一人ひとりの状況を把握しやすくなりました。それにより、生徒とのコミュニケーション量が増加し、質も向上しています。

これは、生徒が塾に来る前からその生徒の状況がつかめているからだと思っています。以前は、生徒が来て初めてDaily Scheduleをチェックし、課題のチェックや時間の使い方の把握などをしていました。しかし、今は、あらかじめどういうプランニングを立てて、何が終わっていて、何が終わってないかがわかるため、一人あたりにかかる時間も減り、その分コミュニケーションを取れる生徒の数が増えました。その結果、退塾防止や学力向上といった成果があらわれています。要因はひとつだけではありませんが、Studyplus for Schoolを導入した影響は大きいと思います。

実際にどんな変化があったか、二人の生徒の事例でご紹介します。一人目は、この春に卒業した男子生徒です。彼は、中学1年生からずっと指導してきましたが、Daily Scheduleがなかなか書けずにいました。

頭はよく、勉強をしたりスケジュールを立てる理由も理解はしてくれるのですが面倒くさがりで、Daily Scheduleを書くくらいなら勉強していたいと言っていました。「きちんと書こう」と言えば一か月くらいは続けてくれるのですが、しばらくするとまた書かなくなるというサイクルを何度も繰り返していました。

しかし、Studyplus for School導入後は飛躍的に記録回数が伸びました。その理由は、スマートフォンからできるところが大きかったようです。電車の待ち時間などちょっとした時間を活用できるようになりましたし、タスクなどのコピーもできるため、時間を取られることもありません。

その結果、彼は第一志望であった横浜翠嵐高校と第二志望の慶應義塾高校に合格。1年前は合格圏内にいませんでしたが、本人の頑張りとStudyplus for Schoolのサポートにより無事合格することができました。

二人目は、中学校2年生の男子生徒です。彼は、去年の休校期間、動画ばかり見てしまいなかなか自宅で勉強ができずにいました。保護者からは、このままではついていけなくなるため、退塾も検討していると話がありました。

しかし、教室内で学力の低い生徒ではなかったため、Daily Scheduleのサポートを強化しました。これにより記録づけが習慣化し、中学1年生としては比較的多い週40時間程度の勉強時間を確保できるようになりました。もともとすごく素直な生徒だったため、声をかければきちんとやってくれたところもありますが、休校によって、コミュニケーションが取りにくくなっていた課題を改善することができました。

生徒によっては、声かけをしてもなかなかうまくいかないこともありますが、そういった場合はスタディプラスが主催する、学習時間を競うS-1グランプリを利用します。チーム戦では半強制的に、チームを作り参加させています。

また、講師自身が活用するのも一手です。私は、自分の健康管理をタスクに入れていますが、サボっていると「先生、最近全然ジョギングしていませんね」など言われます。生徒にやりなさいと言うだけでは続かないため、一緒にやっている感を出せるようにしています。

学習記録と振り返りの一元化を目指す

当塾では、Daily Scheduleの中で、振り返りから行動改善することを最も大切にしています。Studyplus for Schoolも効果的ではあるのですが、まだまだプランニングと学習記録、リアルタイムでの学習状況の把握を中心に利用しているので、ここに日々の振り返りと行動改善の要素も加えていきたいと考えています。

現状では、学習記録はStudyplus for Schoolにしながら、振り返りはDaily Scheduleに書いてもらっているため、Studyplus for Schoolに一元化できないか検討しているところです。

また、教室間での使用状況の差があります。この原因は、教室長の熱量の差です。どの塾でも同じだと思いますが、一度やろうと決まったものの、教室長がこれをやりたいと思っているか、そうでないかによって多少の差は生まれます。また、リテラシーや新しいものを取り入れる抵抗感も違います。私はとことんやってみて、だめならやめようという覚悟で挑戦してみました。それが今回のStudyplus for School Award受賞にもつながっていると思います。こうした覚悟があるかどうかも、上手く活用できるかに大きく影響します。

今回は、私が担当する教室の使用状況が良かったということで発表していますが、差を埋めるため毎週の教室長会議でリテラシーを高めていきたいとも思っています。教室長は年齢的にICTへの理解が深いわけではないのですが、そういった中で効果的な利用法を組織全体として横展開して行く予定です。

今後もStudyplus for Schoolを最大限利用して、生徒たちの志望校合格に寄与していきたいと思います。


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