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学習管理と進路指導で子供の成長を促すオンライン専門塾 | ドリームラーナーズ 【オンライン指導情報共有会】

新型コロナウィルスの感染拡大により、学習塾業界は教育サービスを提供できず、事業の継続が困難となるリスクが発生しています。これを防ぐために急速に高まっているのが、オンラインでの指導体制の整備の重要性です。

新型コロナウイルス感染拡大の深刻化、そしてオンライン指導に関する事例が少ないことを受けて、Studyplus for School導入校で既にオンライン指導に取り組まれている方々にご協力いただき、オンライン指導に関する情報共有会を開催しています。今回はドリームラーナーズの石原先生にお話を伺いました。

ドリームラーナーズの紹介

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ドリームラーナーズの代表・石原太一と申します。鳥取県倉吉市というところで独立して、自宅でオンライン中心の学習塾を経営しています。2010年、東進ハイスクールを運営する株式会社ナガセに入社しまして、校舎長を経験させていただいて3年で退社しました。その後は、もともと地元の公立高校の専攻科(既卒生の指導科)が独立した教育機関で、4年ほど既卒生を指導したあと、独立したという経緯です。

仕事はそれ以外にも、地元の高校の非常勤講師・学習指導アドバイザー、鳥取県総合教育会議、鳥取県教育委員会学力向上PTの有識者委員として働いています。また、システム開発も個人でやっていまして、自宅で開業しているのはこれが一番大きな理由です。

以前からオンライン指導を取り入れていましたが、まず教室での指導はほとんどなく面談だけです。生徒と1on1で話すのは月に1回の面談だけで、それもすべてオンラインでする生徒もいます。なので、入塾から卒業まで一切顔を合わせない生徒もいました。

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学習コースと利用するICTツール

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まずオンライン指導で利用するツールはとても少なくて、Studyplus for SchoolとLINEの公式アカウントだけです。オンラインで話す際も、Zoomではなく、LINEの通話で顔も映さず話しています。LINEが難しい場合、Skypeです。画面共有をするシーンがないため、Zoomは利用していません。教科の指導が主目的ではないので、基本的に音声だけで伝わると思っています。

展開しているコースは2つです。一つは、学習管理を中心としたコースです。まず、Studyplus for Schoolで毎日の学習管理。そして、生徒には毎週の総括はLINEで文章で提出してもらいまして、それを踏まえたフィードバック。最後に、毎月1回の面談をします。これらに加えて、科目に関する質問をLINEで随時受け付けています。学習法は、書籍中心に提示はしているんですが、近隣の高校がスタディサプリやGoogle Classroomを導入しはじめたため、スタディサプリの研究もしながら取り入れているところです。

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もう一つのコースは、これらに加えて、毎週の確認テストや過去問添削などかなりしっかりした課題を課すというコースです。写真は実際に過去問添削で提出された画像ですが、生徒にLINEで送ってもらって復習する箇所など具体的なコメントをどんどん送っていきます。

数学、物理、化学、国語、小論文も見ます。すべてLINEで画像を送ってもらい、コメントを返す形です。とにかくすべてLINEで完結するようにやってます。

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以上のように、学習管理だけのコースと、学習管理に加えて添削やテストも細かく実施するコースの2コースだけです。学習管理だけのコースが10名、添削指導も実施するコースが1名です。毎年20名程になります。自習室は用意してません。机も椅子もあるので、来たかったら来ていいよと言ってはいるのですが来ないです。なので、自宅の教室は面談と個人指導だけに利用しています。

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地方のオンライン学習塾の集客

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倉吉市は人口48,000人で、5万をきっていて子供の数も非常に少ないです。生徒は大学受験の高校生がほとんどで、高校受験の中学生はほとんどいません。高校受験の面倒を見て欲しいという生徒も来るのですが、ちゃんと教科指導してもらえる学習塾に行くように薦めています。それでも、「いや、みんないるところだと勉強できないんで」というようなのが無い限りは、受け入れはしていないです。

近隣の普通科の高校で、大学入試に注力している高校は2校で合計1000名ほどの市場です。学校は指導側の国公立志向が強く、生徒も大学自体をよく知らないので、結果的に問い合わせが来る生徒も国公立志望が多いです。塾の数も通塾率も多くなく、学校だけでなんとかしようと思っているご家庭もかなり多いです。ところが、去年、ターゲット校がスタディサプリやGoogle Classroomを導入しまして、生徒たちもデジタルで学ぶことが当たり前になるかと思っていまして、集客面で期待はしています。

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このように、授業をしない塾なので、ウェブサイトや生徒募集広告でも、授業をしないことを明記していまして、生徒、保護者もそれを理解した上で問い合わせいただいています。オンラインだけでもサービス提供できるため、岩手県や群馬県、同じ県内でもかなり遠方の生徒もいまして、教室で話したのは最初の面談だけで、以降はオンラインですべてサービス提供しています。県外の生徒は、ウェブサイトやそこで公開している記事を見て問い合わせてくれました。

ただ、オンライン中心の学習塾として募集となると、全国の通信教育・オンライン学習塾がライバルになると厳しいので、地元のフリーペーパーの広告出稿は活用しています。ただ立ち上げ当初は、年間100万ぐらいかけて地元に折込チラシをまきました。オンラインの発信はウェブサイトとnoteです。noteでは過去問の解説や勉強法のまとめ、長文の記事を作っていまして、それを最後まで読む体力がある生徒からの問い合わせを待っています。結果的に、オンライン中心の学習塾として発信すると、以前からLINEやStudyplusを利用している生徒もとても多くて、スムーズに入塾、指導と進むことが多いです。

学習管理と進路指導に注力する理由

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なぜ授業中心ではなく、学習管理なのかという点ですが、その方がユニークで、コンセプトに共感した生徒や保護者が来てくれるというところ。そして、授業を全面に出してしまうと「先生がやってくれる」と塾に依存してしまうような方が来るかもしれない。これは個人で運営しているため、避けたかったというのが正直なところです。

一方で、生徒を見ていて思ったのは、学校で与えられている教材を使いこなせていないと感じました。学校も教材を与えるものの、具体的な教材の使い方まで説明していないケースもあり、とてももったいなく感じまして、学習管理をやっています。学校指定の教材をうまく活用する、学校指導をちゃんと活かすということを念頭に、学習法指導という看板をあげています。

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進路指導にも力を入れています。ここは私が生まれて育った土地でもあり、私はターゲット校の卒業生です。卒業後、大学ですごく挫折経験を味わいました。進学した東大では勉強できるということが当たり前の世界で、それまで勉強しかしてこなかった自分は特別な何かがなくなってしまった。何も考えずに勉強してしまった高校3年間がありまして、大学入ってから後悔しました。

その経験を踏まえて、もっと進路のこと、勉強のことを真剣に考える時間を、高校生、もっと言えば中学生からとれればと思いましてやっています。進路といっても、どの大学を受験するかだけでは絶対ないはずなんですが、なかなか時間取って話せないはずなんですよね。先生もみなさんお忙しくて一人ひとりの生徒にこういった時間をかけるのも難しいし、生徒もそんなに深く考えないまま大学に進学してしまう。ここを地域や学校と一緒になって考えていきたいなという思いで、進路指導という看板もあげています。

浪人が決まった地方の既卒生を話していると、しかるべくして浪人しているように感じました。勉強が足りないということではなくて、そもそも「なんで大学行きたいの?」という質問に「よく分かりません」という答えがかえってきます。1学年50人ぐらい既卒生を見てましたが、夢があって勉強を頑張って来たけど、あと数点足りませんでしたという生徒はほとんどいません。高校に3年間通っても、将来の夢やなぜ大学に行くのかがないままだと、「学校の先生の指導が良くない」とか言い訳しながら、結局浪人してしまう。将来何がしたいかということをしっかり持っていれば、言い訳せずやってくれると思います。

東進ハイスクールの時も、既卒生を指導した時も、そして独立した現在も、毎月1回全員と面談していますが、こういった思いは強くなっています。ですので、その面談でも、うっかりすると科目や勉強の話ばかりになってしまうので、なるべく科目や勉強の話に偏らないように意識しています。そして、面談の中では自分の夢を考えよう、決めようと話していくのですが、大学を決めるにも、将来の仕事で決めるのかやりたいこと・学びたいことで決めるのか、やりたいことと言ってもお金になるのか心配する子もいて、公務員になれるような進路がいいのかなという生徒もいます。

本当はやりたいことがあるなら、お金と両方を満たしながら進路選べないかなと一緒に考えてあげることを大切しています。なので、面談では必ずどんな生き方がしたいかという話をしています。決まってる生徒にも確認の意味で必ず聞きます。決まっていない生徒は1時間の面談の中で30分ぐらい一緒に考える時間をとっています。面談の型はあまり決まっていなくて、夢の話だけで終わってしまう1時間もあります。

オンライン指導の流れ

ここから実際の指導についてお話しさせていただきます。まず、LINEの質問対応ですが、質問したい箇所を写真をとってLINEで送ってもらっています。どんなくだらない質問でも送ってくるように言ってまして、回答が1行で終わることもあります。質問のほとんどが解説を読めていないことが原因なので、直接教えず気づきを与えるだけのことも多いです。

また、生徒の質問の仕方が拙い時もありまして、その時は、その質問はきっとあなたが質問しようとしてることがうまく伝わってないよと教えてあげます。対面で話していると質問が拙くても、ついその場で答えてしまうので、質問の仕方も意識的にフィードバックできるのは文字でやりとりするメリットだと思います。なので、質問の仕方もうまくなっていくから、どんどん質問してねと言っています。

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そして、学習管理を中心としたコースでは、生徒には毎週の総括はLINEで文章で提出してもらいまして、それを踏まえたフィードバックをしています。毎週土曜日に、総括をLINEで提出するように生徒に連絡しています。かなりシンプルに総括を送ってくる生徒もいれば、かなり細かく具体的に総括を送ってくる生徒もいたり、心配事をたらたらと送ってくる生徒もいます。

私はたらたら書いていいと言っていまして、つまりきれいにまとめて、いい感じに見せようとかはしないで欲しいと言っています。あんまりまとめられてしまうと、本音やマズい部分が見えなくなってしまうので、あえて書きたいことはまとまっていなくてもすべて書こうと伝えています。生徒が送ってくれた総括にコメントを返していくのですが、さっぱり送ってくる子にはさっぱり返しますし、細かく具体的に送ってくる子には細かく具体的に書いて返してます。

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高校生でも、自分が何を普段しているかということに関心がないと思うんですよね。このように振り返ったり記録するという行為によって、自分のやっていることに関心を持って欲しいと思っています。まずそこができてない子に対して記録をきちんとさせる。そして、その記録に対して何を感じるか・何を思うか、これはすごくいいねとか、これはこうした方が良いとか、自分を客観的に見る機会へと導いていきます。

そして、Studyplus for Schoolの学習管理です。まず、入塾して最初の面談で、なぜ学習記録をつけるのかという話を丁寧にします。先程お話した通り、自分で自分に関心を持って欲しいということなんです。自分がどんな教材をどのように勉強したか知らなければ、振り返りもできない、改善もできないので、学習記録をつけようねと話しています。ただ、最初の面談でどれだけ丁寧に話しても、これだけでは絶対に伝わってないので、記録を綿密にし始めるまでは何回も言い続けるようにしています。

そして、生徒の学習記録に先生がフィードバックをしっかりあげていった方が、生徒たちはやっぱり学習記録をつけるようになります。少しでも学習記録をつけたらいいねを押すだけでいいです。たまにコメントも送ってあげると良いと思います。私はすごく、毎日定期的にタイムライン画面を立ち上げて、いいねをとにかくつけています。

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また、生徒が学習記録をつける際に、学習時間だけではなく具体的にコメントをつけてくれた場合は、先生も具体的にコメントを返した方が良いと思います。生徒が「この問題難しかった」みたいな話や「この単元がすごい大事だと思った」とコメントをつけてくれたら、「たしかにここはとても大事だけど、具体的にどこが大事だと思ったの?」というようにコメントを送っています。

文字ベースですから、お互いにコメントを送れる時に送るようなタイムラグがあって良いと思います。また、学習記録はつけているものの、内容がわからない場合も多々あります。こういう時もコメントを送って具体的に話を聞くようにしています。

たとえば学習記録に「プリント」とだけ書かれても、何のプリントかわからないので、どんなプリントかとか、そのプリントを写真で送るようにコメントしたりします。そして、他の生徒がどれだけ具体的に学習記録をつけている見せると効果的です。実際のコメントがこちらですが、学習したことを一言でまとめています。

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最初から無理につけなくても良いけれど、このレベルで振り返るができるようにしようと伝えています。ちなみにこの生徒は、模試もこのように総括を自分でやっています。全科目をこのように総括していました。これが自力でできれば、点数も上がるよねという話をしています。学習記録のつけ方が分からない、模試の総括の仕方がわからないという話をする時にはこれを持ち出して話をしています。

とはいえ、最初から学習記録がなかなかつけられない生徒もいます。毎週の総括は必ずしてもらっているので、その毎週の総括の中で「学習記録つけないとだめなんだな」と、気の長い話なんですけど、1ヵ月2ヵ月、長ければ半年ぐらいかけて、気づいてもらうようにしています。中には、学習記録どうしてもつけたくない、面談だけしてもらいたいという子も時々いますが、学習効率が良くない生徒が面談だけやっても仕方がないので、それに面談の中で気づいてもらうようにしています。

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オンラインの良い部分、大変な部分

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最後に、オンライン指導を通して、良い部分と大変な部分をまとめてお話しします。良い部分は、家でもお互いがオンラインであればリアルタイムでも使えますし、お互いの時間が揃わなくてもお互い時間がある時にコメントを返せるというところです。そして、文字や画像で残せるところです。映像でも残せると思いますが、文字で書かれている方が振り返りやすいので、紙と文字と画像でやりとりするくらいがちょうど良いと思ってます。

大変なところは、生徒がLINEやStudyplusを使ってくれないと何もできないというところでしょうか。全然返事をしない子がいないわけではなく、あまりにも返信がないような生徒は退塾させてます。そして、見ていただいたとおり、生徒の答案を読んで、すべてテキストで返すのは、とても地味です。パソコンの前にずっとかじりついて作業する感じなので、ちょっとしんどいと思われる方もいると思います。こういう中でもいい面に目を向けて、生徒と頑張っていきたいと思います。

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