生徒の「没頭力」を高め、関わった全員が成長できる場所をつくる|阿部塾【Studyplus for School Award 2020】
Studyplus for School Award 2020とは、少子化・採用難・地域格差という社会課題が広がる中で、未来の教育の在り方・先生の新しい働き方に果敢に挑戦する教育機関を表彰するものです。
*Studyplus for Schoolの詳細はこちら。
従来は、授賞式や受賞者によるプレゼンテーションを含むイベントを開催しておりましたが、新型コロナウイルスの影響を踏まえ、この度オンライン配信で受賞者によるプレゼンテーションを実施いたしました。その模様をnoteでもお伝えしていきます。
今回ご紹介するのは、高校生部門個別指導部門で受賞された、神奈川県の阿部塾の阿部先生の回です。
阿部塾のHPはこちら。
生徒もスタッフも成長できる環境を作る
阿部塾の阿部です。私は35歳まで神奈川の大手学習塾で講師をしており、36歳の時に独立して阿部塾を開きました。初年度は、生徒が34名でスタッフは11名でしたが、現在は生徒が68名でスタッフが25名おります。2017年にStudyplus for Schoolを導入したことをきっかけに、テレビなどメディアに出る機会が増えました。
阿部塾を一言で表すと、「生徒もスタッフも成長できる塾」です。今年からは、ホームルームを設け、同じ学年の生徒を集めて話す機会を増やしました。
ホームルームで、生徒には「没頭力」をテーマに話しています。目標を達成することも大切ですが、それ以上に何かに一生懸命取り組むことを大事にしてほしいと思っています。例えば、高校を選ぶ時も、「自分が真剣に通えるような学校を選ぼう。それを探すために先生たちは協力する」と話しています。
完全個別指導と学年ごとのホームルームが特徴
当塾では、1対1の指導をしています。スタッフは、授業後に授業内容をカルテに入力し、その日の復習をするためメッセージを生徒へ送ります。
また、各学年のホームルーム後、生徒はスタッフとミーティングを行います。ミーティング終了後には、話した内容をカルテに入力しています。
カルテには、授業内で褒めたことや改善点も書かれています。例えば、ある生徒のカルテには、「宿題を提出日前日にやっているため、前の授業で習った解き方を忘れていて理解ができていない。お母さんに聞きながらやっているので、宿題をやる意味が全くない。」など書いてありました。
このような生徒に対して、私から話すと怒っているような雰囲気になってしまうため、スタッフから優しく声をかけてもらいます。その結果、この生徒の次の授業のカルテには、「前回話をしてから、自分でできなかったところを解き直していて、宿題のやり方がすごく変わり感動した」と書かれていました。こうした変化は、生徒の成長に繋がります。
コミュニケーション不足を解消し高校生の継続率をUP
Studyplus for Schoolを導入するきっかけは、初年度に在籍していた8名の中学3年生が卒業と同時に退塾したこと、その翌年に22名の高校受験生を抱えたことです。
高校部はコミュニケーションが明らかに不足していたため、これを解消する意味でもStudyplus for Schoolを導入しました。メッセージやカルテのやり取りがスムーズにできるようになったのは、すごくありがたいと思っています。
私は塾として、中学3年生の生徒が高校1年生になっても継続できることが重要だと思っています。理想の形は、生徒の定員を各学年15名に設定し、それ以上は受け付けず、中学校3年生は高校に進学しても、続けるのが当たり前となることです。「阿部塾は、高校1年生になってからでは入れない塾」になりたいと考えています。
新高校1年生の継続に関しては、画像の通りです。Studyplus for School導入後、新しく自立学習コースを設立したことで、その年の終わりには中学3年生の約半分が高校生以降も継続することを決めてくれました。このコースでは、こちらからは勉強の管理と週1回のミーティングのみで、基本的に各自で学習してもらいます。
3年目には、公立高校に進学した13名の生徒全員が継続してくれ、正直驚きしました。
私はしばらく、中学3年生の集団授業のみ担当していたのですが、4年目に「個々にコミットする塾にならないとダメだろう」と思い、集団授業をやめました。しかし、私の気持ちを話す機会少なくなり、それが影響したのか、継続した生徒が16名中6名という結果になりました。試行錯誤しながら運営しています。
私の1日のルーティンをご紹介します。9時にカフェに行き、メッセージとカルテにコメントをし、スタッフにLINEで共有します。13時頃に出勤し、授業を開始。
スタッフは出勤後、まずスタッフ共有ボードの確認をします。スタッフ共有ボードには配布物や連絡事項、授業中に気をつけること、ホームルームで話すことなどを全て記載しています。
1対1で生徒に合わせた柔軟な教材を使用する
当塾は完全個別指導です。1対2、1対3でも個別指導ということもありますが、1対1のみのため、「完全」と言っています。授業の詳細は、画像の通りです。基本的には、1対1の授業を週に1コマ受けてもらうのですが、ここは安心して本音が話せる場所という位置づけにしています。
開塾時、100マス計算で有名な陰山英男先生に、講演会でたまたまお会いすることができました。そこで、「大切なのは教材で、生徒が60%くらいできるものを使うとよい」というお話を伺いました。
そこで学年にこだわらず、その生徒に合わせて教材を選んでいます。高校生が中学生の教材を使うこともありますし、高校1年生が高校3年生の教材を使うこともあります。そして、毎回の授業で確認テストを行い、不合格の場合は、強制的に塾に来てもらいます。
また、当塾は、基本的に、定額で通い放題の形をとっているため、時間がある日には自習に来るよう促しています。
当塾では、阿部塾だよりというものを月2回発行しおり、ホームルームで、それを読んでいます。左側に頑張っている生徒をフィーチャーする記事を載せ、右上には勉強方法について書いています。これは、高校3年生の生徒がぐるぐる歩き回りながら英単語の勉強をしている姿です。阿部塾だよりは、保護者にも送信しています。
私はスタッフと比べると生徒と話す時間が少ないため、この時間で生徒を褒めるようにしています。ただ勉強できていない生徒もおり、「今の自分を見た、1年後の自分はどんな風に声をかけるのか」といった話もします。
生徒が安心して本音を言える時間を設ける
ミーティングは、ホームルーム中の10~20分ほどの時間で実施しています。そこではまず1週間の勉強内容を決め、勉強してきた内容をテストします。8割は合格しますが、 不合格の場合は再テストとなり、他の日に実施します。使用するのは市販の参考書です。
ミーティングで大事にしていることは、2つあります。1つ目は、安心安全の場であること。つまり、本音が言えるということです。そのため、基本的に私はミーティングを担当しません。自覚はないのですが、40歳を超えてくると少し怖いオーラが出ているようで、生徒が言いたいことが言えなくなるとスタッフに言われたためです。
2つ目は、今週の自分よりもう少し頑張る課題を設定することです。いつも頑張れるわけではないため、答えを写したなと思う時もあります。しかし、それを怒らないようスタッフに伝えています。
嘘をついたり答えを丸写ししたりする時は、何かがあり、心が弱っている時です。そのため、励ましてあげようと伝えています。厳しく言うのは私だけで、スタッフは寄り添ってあげる存在になってねとも話しています。
当塾の自習室は2種類あり、一つの部屋では教え合うことができる部屋です。この部屋には、質疑応答に対応するチューターもいますが、中学3年生が中学1年生に教えることもあります。
もう一つの部屋は、一人で静かに勉強する自習室です。こちらにはチューターはいません。自主的に勉強する以外に、再テストを受けたり、忘れた宿題に取り組んだりもします。
オンライン英会話で生徒の英語4技能習得を目指す
当塾では、今年からオンライン英会話を始めました。きっかけは、英検のスピーキングやライティングの点数が取れない、英語が嫌いなど生徒からの声があり、どうにかしようと考えたためです。
N教育の中澤先生と、グローバルクラウンというオンライン英会話アプリを開発しているハグカムの道村さんと一緒にやっています。
週に20分指導し、4技能の習得と英検合格を目標にしています。事前に長文問題を解き、その後、英語でネイティブの先生と長文問題について話をするという内容で、基本的に塾で受講してもらっています。
こちらはアプリの画面です。左側の長文を音読していきます。右上の質問に対して、生徒の回答がオレンジで表示されており、その下に、先生のコメントを入力してもらっています。当塾では、高校生35名の内10名が受講しています。
些細なことでも気軽に連絡できるサポート体制
最後に、Studyplus for Schoolを導入して数年が経ちましたが、こんな小さな塾にもフィーチャーしてくださり、ありがたいと思っています。また、当塾を含めいくつかの導入塾の先生との「こういうものがあったら面白いよね」というやりとりから、S1グランプリも始まりました。S1グランプリが始まって以降、ものすごく勉強する生徒が増えはじめ、100時間を超える記録もあり驚きました。
一方で、当塾の生徒が、全国ランキングに入れず、モチベーションが下がってしまうのではないかという状況に陥りました。その時、担当の方に「この生徒が全国のランキングで何位ぐらいなのか教えてほしい」とメッセージを送りました。夜遅い時間でしたが、すぐに返信していただけ、「この生徒は今何位なので、すごく頑張ってますよね!」と言ってもらうことができました。気軽にこのようなやり取りができ、本当に助かってます。
スタディプラスの方たちは、非常にマインドが高い人が多く、私のモチベーションも上がります。ぜひ、これからも一緒に頑張っていければなと思っています。
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