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情報格差をなくすためICTを活用し「人生を変える塾」を目指す|京大個別会原町本校【Studyplus for School Award 2020】

Studyplus for School Award 2020とは、少子化・採用難・地域格差という社会課題が広がる中で、未来の教育の在り方・先生の新しい働き方に果敢に挑戦する教育機関を表彰するものです。 

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従来は、授賞式や受賞者によるプレゼンテーションを含むイベントを開催しておりましたが、新型コロナウイルスの影響を踏まえ、この度オンライン配信で受賞者によるプレゼンテーションを実施いたしました。その模様をnoteでもお伝えしていきます。

今回ご紹介するのは、高校生部門自立指導部門で受賞された、福島県の京大個別会原町本校の佐藤先生の回です。

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被災した南相馬市の学習環境20200907京大個別会原町本校_Award登壇資料(完成版)-03

京大個別会原町本校の佐藤です。まずは自己紹介と、当塾のある地域についてお話させていただきます。私は福島県南相馬市出身です。大学院修了後に、経営コンサル会社に就職しましたが、学生時代に震災を経験したことから、いずれは地元に戻りたいと思っていました。

就職した翌年に退職し、のちに師匠となる早稲田アルパスの鈴木さんに出会い塾業界に足を踏み入れました。京大個別会原町本校を開校したのは、2014年のことです。新しいことが好きで、色んなことを試してみたいという自分の性質を活かしながら運営しています。

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当塾のある南相馬市は、原発から20km圏内で人口が約5万3000人です。東日本大震災では、震災・津波・原発という3つの被災を経験しました。震災から半年後に、ようやく足を踏み入れることが可能になりましたが、その時はゴーストタウンのようで、電気もつかなければ人も全くいませんでした。

2011年9月30日から徐々に避難解除がされていきましたが、開校した2014年頃に、やっと人が住めるような状態となりました。全域避難解除されたのは2016年7月ですので、まだ4年しか経っていません。震災後の避難先に定住される方も多く、現時点での帰還率が約7割ですが、これ以上はあまり伸びないだろうと言われています。
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この地域の子供たちが置かれている状況についてご説明します。福島県は高校受験が学区制で、当塾のある地区は一番学力が低く大学もありません。県内や近隣県の大学に通学することも交通事情からほぼ不可能です。そのため、18歳から22歳の学生はこの地域はいません。その上、優秀な人材は震災で他県に避難し、定住しています。

このような環境から、子どもたちは「まあまあ勉強できれば、この地域の進学校に入れるだろう」という感覚を持っています。進学校といっても偏差値50を切っていますが、この地域では進学校という扱いです。

塾は子供たちの人生を変える場所
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開塾当初は、1対3の集団個別という形で始めました。講師は私1人でしたので、この形態で指導できる生徒数は10名が限界でした。そのため、入塾希望者が増えた頃に自立型指導に移行し、40名の生徒を受け入れました。

2017年に法人化し、その翌年の2018年には、卒塾生第一号が従業員として戻ってきてくれました。2020年4月にも、もう一人卒塾生が来てくれて、今は生徒数が110名です。

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指導形態と対象生徒は画像の通りです。生徒数は、初等部が30名、中等部が50名、高等部が30名です。中等部は基本的に対面での自立型指導で、高等部は自宅でも学習できる管理型の指導となっています。そのため、Studyplus for Schoolを活用しているのは高等部です。


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当塾のミッションは2つあり、1つ目は、子どもたちの人生を変えることです。生徒は勉強だけをしに塾に来るのではなく、自分たちの人生を変えるために塾に来ています。このミッションは、入塾する全ての生徒に伝えています。

2つ目は、教育の情報格差をなくすことです。これは、私たち講師側のミッションとしています。南相馬市は、外からの情報がなかなか入ってきません。例えば、この地域でコロナを受けてオンライン授業を始めた塾はほとんどありません。自立指導も5年前から始めましたが、「そもそも、自立指導とは何?」と言われる状態でした。

しかしながら、この情報格差が埋まらない限り、この地域の学力は上がらないと思っています。そのため、情報格差をなくす一端を少しでも担えればいいと思い、これらのミッションを掲げました。


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指導方針は、「勉強内容は教えない」です。代わりに、そもそもどうやって勉強するのか、目標設定はどのようにすればいいのかということを教えます。

生徒との接触回数不足をStudyplus for Schoolでフォロー
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高校生に対しては、Studyplus for School導入前から管理型指導をしていました。年間計画をもとにカリキュラムを作成し、月に1回30分の面談を行い、必要に応じて計画内容を修正するという流れです。当初は、私一人だったため、一人で中学生を担当しながら高校生20人の面談を行うのはとても大変でした。

加えて、生徒との接触回数が少ないことも課題となっていました。月に1回30分の面談だけでは、生徒のモチベーション維持が難しかったです。また、進捗状況も不透明でした。
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私はもともとICTツールに興味があり、積極的に色々と取り入れています。良いものは継続し、合わなければやめていたのですが、Studyplus for Schoolは実際に使ってみて「これしかない」と思えました。
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課題を解決するために、卒塾生のアルバイト講師を採用し、私が接触できない代わりに、こまめに接触してもらいました。メッセージで密に連絡を取るなどした結果、生徒のモチベーションを維持できました。進捗状況の不透明さついては、アナリティクス機能を使うことでいつでもどこでも把握できるようになりました。

アレンジを加えず基本的な使い方を徹底して守る
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Studyplus for Schoolの活用ポイントは、2つあります。1つ目が、スタディプラスの担当者に言われたことをやること。革新的なことをやっているわけではなく、言われたことをしっかりやるようにしています。

2つ目が、スタディプラスの担当者が、他塾の先生方がよく使っているツールなどを共有してくださるので、同じものを取り入れていることです。2つとも、ものすごくシンプルなことだと思います。
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当塾は、このシンプルな活用方法を徹底しました。それぞれの塾に合わせて変えていく方法もありますが、うちでは何も変えずアレンジもしていません。実はこれは、私たちが生徒に言っていることと共通している部分があります。

私たちは日々、「勉強の仕方の型にはまれ」と教えています。まずは型にしっかりはまってから、型破りをする。型破りをするのは、大学生からで良いと言っています。

スタディプラスのスタッフに相談して課題を解決
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しかし、Studyplus for Schoolの導入からしばらくして、上手くいかないことが出てきました。生徒が記録をつけてくれず、プランニング通りに勉強できない生徒が出始めたのです。

Studyplus for Schoolを2018年11月に試験導入をし2019年2月に本格導入したのですが、母数が増えたことで、入力率ががくんと下がりました。記入率25%まで落ち、どうしようかと悩みました。

その時に助けてくださったのが、スタディプラスの担当者です。この悩みをお話したところ、「毎日連絡するといい」 「プランニングは一週間でやるようにするといい」と教えてもらいました。また、他塾で「記録してね」というメッセージに、最初は笑顔の顔文字を付け、未記録が続くにつれ、だんだん怖くすると上手くいったという事例も教わりました。

こうした工夫を重ねた結果、記入率は66.7%まで上昇しました。その後も、講師が密に連絡を取り続けてくれ、徐々に上がっていきました。

Studyplus for Schoolを導入するか迷っている方も多いとは思いますが、私としては、スタッフの方が親身になって様々な相談にのってくれる点もいいと思います。

講師が行った面談の内容を把握する
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現在の面談のやり方は、4パターンあります。理想は塾に講師も生徒もいて対面で行う形ですが、コロナの心配があるためなかなか難しい状況です。そのため、生徒は自宅から、塾にいる講師とオンライン面談をすることが多いです。この地域では高校卒業後に地元を離れてしまうため、卒塾生講師が引っ越し先から面談することもあります。

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しかし、また新たな問題が出てきました。ほぼ全ての面談を講師に任せていたため、私がその内容を把握できなくなってしまったのです。何か問題が起きた時に、詳細が把握できていないのは困ります。20200907京大個別会原町本校_Award登壇資料(完成版)-25

そこで、再び、スタディプラスの担当者を頼り、他塾さんでは、どんな工夫をしているのか尋ね、カルテを活用していることを教えてもらいました。そして、2つのことを始めました。
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1つ目が、カルテのピン留め機能の活用です。各生徒に1つピン留めできるので、ピン留め用のカルテを作ってGoogle Driveなどに飛ばしています。

ピン留め用のカルテには、志望校や家庭環境の大切な情報などが書かれています。文系か理系か、他にも何のツールを使っているか、定期テストはどうだったかなどを集約します。


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2つ目が、更新していくカルテです。こちらは講師たちが、どういう面談をしてるかが分かるよう、情報を更新していくようにしました。生徒と面談していく中で、来週は平日に何時間勉強できるか、そのうち学校の課題はどのぐらいかかるかなどを話し合い、それ以外の自習時間では、何をどれぐらいやるか決めます。

これは再現性・汎用性を持たせていて、誰が面談しても上手くいくようにしています。講師は、このカルテを埋めていけば、スムーズに話ができるという状態にしました。

Studyplus for Schoolを使って生徒にライバルを意識させる
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うまく活用するために、講師への待遇も変更しました。講師にはもともと時給で給料を支払っていましたが、実際には稼働時間以外にも毎日LINEでコミュニケーションをとってくれていました。そこで、毎月1万円の手当を出すことにしました。

Studyplus for Schoolのタイムラインへの「いいね」やコメントの対応を習慣化してもらい、密にコミュニケーションをとってもらいました。現在では、主任講師を主体に研修を実施しており、どんどん先生たちのレベルも上げています。

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Studyplus for Schoolを使い、全国の先輩や同じ大学を志すライバルを追いかけるように伝えています。田舎は大学受験への意識が低いです。高校3年生で、「大学受験ってなんだろう」と思っている生徒がいることもあります。都市部の子たちと比べると、モチベーションにも情報にも格差が生まれています。

ですが、Studyplus for Schoolがあれば顔の見えないライバルがどれだけ勉強してるかを見ることができます。生徒に「周りはもっと勉強しているよ」と声をかけても、データがなければ信用されません。実際の数字を見せ、「こんなにやっているよ」と声をかけるようにしています。また、学習時間を競うS1グランプリなどのイベントでも、生徒は他県の状況を肌で感じられています。


平等な教育機会を提供を目指す
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私は、教育というものは必ず平等であるべきだと思ってます。たまたま南相馬に生まれたという理由で、得られる情報やコミュニティ、将来の選択肢に差があってはいけません。この差をなくすことが大切です。

私たちは、熱い想いと、この地域をなんとかしたいという志を持ちながら、ICT技術をしっかり活用することで、当塾をこの地域の子どもたちが人生を変える場所にしたいと思っています。

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