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ICTを組み合わせて効果的なオンライン指導を実現|スタディチェーン【オンライン指導情報共有会】


新型コロナウィルスの感染拡大により、学習塾業界は教育サービスを提供できず、事業の継続が困難となるリスクが発生しています。これを防ぐために急速に高まっているのが、オンラインでの指導体制の整備の重要性です。

新型コロナウイルス感染拡大の深刻化、そしてオンライン指導に関する事例が少ないことを受けて、Studyplus for School導入校で既にオンライン指導に取り組まれている方々にご協力いただき、オンライン指導に関する情報共有会を開催しています。今回はスタディチェーンの竹本先生にお話を伺いました。

スタディチェーンについて

スタディチェーンの竹本です。私は「教育、人、そして社会に新たな一歩を踏み出す力を届ける」というミッションのもと、オンラインでの受験勉強コンサルティングを行なっています。対象は主に高校3年生と浪人生です。

うちの塾では講師をコーチと呼んでいるのですが、全員、東京大学、早稲田大学、慶應義塾大学、もしくは医学部のいずれかの学生です。採用難易度は高く、採用された後も2か月間の研修が義務付けられているので、教育レベルの高い講師を揃えているという特徴があります。

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塾では平日5時間、休日10時間の自習を義務付けています。こちらは早慶に合格するための勉強計画ですが、実際に合格した大学生6000人からデータを集め、それを元に独自の計画を作り、一人ひとりのオーダーメイドの年間カリキュラムに落とし込みます。週間計画はこちらが考えるのではなく、生徒に記入してもらう形にしています。自分で考えて主体的に作っていくことで、生徒のモチベーションが上がるためです。

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生徒にはStudyplusを使って毎日の勉強記録を投稿してもらい、もし投稿されていなければ電話で進捗確認して記録してもらうなど、徹底的にサポートしています。勉強記録をつけている生徒は、勉強時間が長いというデータも出ています。毎日投稿している生徒は10時間、ほとんど投稿していない生徒は4時間と、平均時間に開きが出ました。なので、生徒には、「勉強しろ」と言うのではなく「勉強記録をつけよう」と言っています。

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またスタチェログという独自の取り組みをやっています。受験生同士がその日の良かったことや続けたいこと、課題などを書いています。この取り組みをとおしてわかったことは、この文章が長い生徒ほど成績も良くて、勉強時間も長いということです。

勉強したことがきちんと整理されている生徒は言語化能力が高いので、成績の伸びが良いということがデータに出ています。スタチェログにはさらに、Studyplusで出せる勉強時間ランキングも載せています。

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Studyplus for Schoolが提供しているこちらのシートも利用していて、PDFを送って印刷してもらっています。

学習コーチングでモチベーションを上げる

学習コーチングという時間があり、ここでは志望校の先輩が後輩に、勉強計画や睡眠時間などについてアドバイスします。ここでは成績を上げるというより、生徒のモチベーションを引き上げることが目的です。大学生活について話を聞くことで、生徒が「今週も頑張ろう」という気持になるという効果があります。

先輩は生徒の悩みをどんどん聞いて、志望校や受験勉強に関する内容については解決できるよう支援するというスタイルです。そして最後に、週間計画フォーマットを一緒に記入します。

同じ志望校の生徒同士で行うオンライン自習室

オンライン自習室は志望校別のグループにわかれて、Zoomを繋いで行っています。違う学校を目指す同級生が勉強している姿を見てもあまりモチベーションは湧かないので、志望校でわけています。

Slackも同じ志望校を目指す生徒同士でグループを作っています。ここでのメッセージは、全員が見える状態です。そのため、他の人に見られても問題ない内容を書いています。一方でStudyplusで送ったメッセージは他の人に見られません。なので個人的なアドバイスや他の人に見られたくない相談事を受ける時に使っています。

ちなみにうちでは、生徒同士で会話をさせないように意識しています。生徒だけで話すと「俺、すごく勉強したんだよね」という自慢大会が始まったり、嫌な思いをしたりといったリスクがあります。進路の話をするときも、モデレーターがいない状態では面白みが生まれません。なので、講師が必ずその場に入っています。

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オンラインだと距離が離れているので、オフラインに比べてレスポンスが遅れてしまいがちです。その差を埋めるため、質問専用のSlackを作っており、そこに来たメッセージには25分以内に返答すると決めています。

生徒は平日5時間、休日10時、年間2500時間勉強することになり、その時間を私たちがあらゆる面からサポートするスタイルの塾です。大学合格者データを分析しても、国立合格者は2000時間以上、早慶合格者は3000時間以上は勉強しています。それを元に勉強時間を設定しました。

オンライン教育で大切にしている3つのこと

私たちがオンライン教育の上で大切にしていることは3つあります。

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まずオフラインに負けない温かみのある教育を提供したいと考えています。オンラインだとどうしても生徒との距離が生まれてしまうので、必ずマンツーマンでの対話をすることを重要視しています。

以前は1:2や1:3指導も行なっていたのですが、生徒の真の課題を解決できなかったり、一人ひとりに合わせることが難しいという課題が出ていました。顕著に表れたのが、浪人生です。朝起きれなくなってしまったり、昼食後に勉強に戻れないこともあります。なので最低でも月に1回はマンツーマンで対話することが必要だと思います。

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次に大切にしていることは、授業以外の時間です。塾のデータを分析して、生徒は一人の先生からだけでなく、様々な先生からのアドバイスが届くことで「私、こんなに多くの先生たちから見られているんだ」と感じてモチベーションが上がることがわかりました。

これに応じて勉強時間も伸びているので、担当以外の生徒にもアドバイスを送るようにしています。苦言を呈するときも、きついことだけではなくまずは肯定する言葉をかけてあげます。

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また、返信スピードの速さも大切にしています。基本的に25分以内に回答するというルールで、講師のパソコンでは常にStudyplusとSlackを開いて、来た瞬間に競争で返信するというスタイルです。間隔が空かなければメッセージで会話のキャッチボールができますし、30分以上開くと生徒は次の勉強に移っていたり休憩時間が終わっていたりするので、25分に設定しました。

効果的なICTツールを複数組み合わせる

うちではBlackboard Collaborateというビデオチャットツールを使っています。これはチャット機能だけでなく投票やアンケートをとれるので、授業をしながらクイズを出すことができます。生徒のやる気を引き出す上で、こうしたツールを使うのはおすすめです。

また、挙手機能もポイントです。集団授業では他の人の目を気にして発言するのが億劫になる生徒もいます。しかしこの挙手機能は手を挙げていることが先生に伝わるようになっているので、いきなり発言するよりハードルが下がります。

他にも自動で出席管理ができたり、宿題の提出状況を自動チェックできたりするので、Zoomでの教育がスムーズになります。

他にはDiscordという無料のサービスもおすすめです。ここでは招待された人だけが利用できるクラススペースが使えます。使用感としては、SlackとZoomが合体したものと考えると分かりやすいでしょう。Zoomはチャット機能を閉じたらデータが復元されませんが、Discordは記録が残るので授業後も会話を続けられます。

うちではオンライン大学説明会などのイベントをたまに企画するので、そこで使ってます。どんなイベントでも一方的にならないよう気を付けています。なので、塾でも生徒から質問がしやすいDiscordを使っています。

オンライン教育を実践するなかで、どういうやり方をしていくか考えることは、非常に大切だと思います。うちでは生徒が少しでも気になったことは、全て改善していく予定です。今後もツールや指導法など色々な情報を集めて、共有できるものがあればまたご紹介出来ればと思っています。

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