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世界観をつくる

本記事は、音声プラットフォーム「stand.fm」で配信した内容を記事にしたものです。音声で視聴される場合は、こちらからアクセスしてください。

こんにちは。Studyplusの宮坂です。少し久しぶりになってしまいましたが、stand.fmの配信をしていきたいと思います。

今回は書籍のご紹介です。最近、読んだ本で『世界観をつくる』という本がありまして、くまモンを企画されたクリエイティブディレクターの水野学さんという方と、電通やマッキンゼーにいらっしゃった山口周さんの対談の本ですね。

特に印象に残ったのが、「マズローの欲求5段階説」に絡めた話になりまして。

皆さんも「マズローの欲求5段階説」、ご存知だと思うんですけれども、人間の欲求というのが、「生理的欲求」から始まり、「安全欲求」、「社会的欲求」、「承認欲求」、「自己実現欲求」というように、一つ下の欲求が満たされると、次の欲求を満たそうとする基本的な心理的行動っていう説ですね。これをですね、ベースとした話なんですけれども。

たとえば、自動車産業というのは、昔々は長い距離を早く移動したいという極めて「生理的欲求」、「安全欲求」に近い、つまり低次の欲求からスタートしてると思うんですよね。

元々フォードなどが自動車メーカーの中心にいたわけですけれども、そこに日本企業がですね、安くて良い車っていうのを生産し始めて、まさに高度経済成長期というところで日本企業が大躍進していったと。

そんな中で外資の自動車メーカーたちは、そのいわゆる安くて良い車っていう戦いでは日本企業には敵わないっていうところで戦場をずらしたんですよね。

それがどういう戦場かというと、より「マズローの欲求5段階説」でいうと、次の欲求ってところで「社会的欲求」、「承認欲求」、「自己実現欲求」というところのマーケットで勝負しようと。

つまり、このブランドの車を持っていることで、「承認欲求」とか、「自己実現欲求」を満たせるという、安くて良い車っていうところの市場じゃないところで勝負しようっていうのが外資企業の動きだったと。

この本で日本の課題として描かれているのは、低次の欲求の市場から抜け出し切れていないということを課題にしていらっしゃるんですよね。

未だに性能勝負であったりとか、車で言うならば安くて良い車っていうところから脱皮できてないと。

自動車の場合、どの車を選んでも「生理的欲求」、「安全欲求」という低次の欲求はもう満たされている中で、差別化ができない。

その状態においては、早くより高次の欲求にターゲットを当てた製品や戦略にしていくことで、競争力を得られるけれども、いつまでも、高次の欲求を満たすような世界観をつくることができていないよねという話がありました。

どうしても、何か会議があるとロジカルに話が進行してしまうからか、中々日本企業が世界観とかいうところにシフトできない。

例え話ではあったんですけれども、日本っていう国は街中に電柱が非常に多いと。

電柱があることによって具体的に何か損なわれているかと言ったら、景観とかが損なわれると思うんですけれども、景観が損なわれているからといって、とてつもなく多額の資金を投入して、電柱を地下に埋めようっていう風になるかっていうと中々説明しずらいよねっていう例え話がありまして。

どうしてもそのメリットを説明しにくい意思決定は中々しにくいというところですかね。

その水野さんっていう方も、相鉄線、神奈川の私鉄の相鉄線のブランディングのプロデュースとかもやってらっしゃるらしんですけれども。

やっぱり説明するときにメリットをロジカルに中々説明することって難しくて苦労されたっていうことがあったようですけれども。

世界観で勝負するっていうのはさっきの電柱の話然り、メリットをロジカルに説明にしくいので、このあたりが難しさの点になっているっていうような本だったんですよね。

これは、日本の今考えている教育改革とも関連性があるかなという風に読んでいく中で思いまして。

というのも、経産省の「未来の教室」などなどにも、教育を語る際に、国際的競争力の低下をもって、やはり日本も教育を変えなきゃいけないというような議論が時々あると思うんですけれども。

この本を読んで、本当にそうなのかという疑問を少し持ちました。

というのも、教育を通してですね、杓子定規に例えば受験勉強、教科の勉強をすることで、言われたことを言われた通りにしかできない教育だとか、生徒の想像力とか、アイデア、イノベーションという所を今の教育じゃできないんじゃないかという気持ちも分かるんですけれども。

仮に小学校、中学校、高校という教育過程において、仮にそう言った教科学習から離れてイノベーション志向な教育を施したとしてですね、企業に大学卒業後入りまして。

その時に、イノベーションをその新卒一年目の社員が提案してですね、通るのかっていうところですよね。

正直難しいんじゃないかと。

どうしても、そのだいたい40代50代の方がそう言った意思決定、方針転換、イノベーションって関わる中でそうやっていらっしゃるので、新卒一年目でできることってとても限定的。

意思決定できるようになるのが40歳だとして、20年近く掛かるとなってしまうと、結局イノベーションを志向した教育を受けていた期間と同じかそれ以上にですね、会社教育を受けてしまうんですよね。

その中で、その会社がですね、イノベーションの思考もなくロジカルに説明できることしかやらないような会社だと、やはり教育でイノベーション志向にしたとしても元の木阿弥だろうという風になってしまう。

ので、なにがいいたいかというと、子どもたちの教育を通して変えるっていう所だけでは全く答えになっていなくてですね、我々大人も変わらなきゃいけない。

今までの仕事の仕方とか考え方とかをアンラーニング、つまり一旦忘れてイノベーションとかに取り組んでいかなきゃいけないっていうのが本質かなという風にこの本を読んで思いましたね。

どうしても自分たちのことを棚にあげて、子供達にですね、不確実な世の中だからとか、これからイノベーションを志向しないといけないとか、国際競争力が低下してるんじゃないかという風に語って教育変えるという気持ちはわかるんですけれども。

まず我々も変わらないといけないなという風に思いました。

少しイノベーションとは異なりますけれども、今コロナウィルスの感染拡大に伴いですね、色んな可能性、色んなリスクが考えられる中で、我々がどう行動するのか、これも一つ試されているなと思います。

例えばいま学習塾の中でですね、若い職員の方々がもしかしたら感染拡大が悪化し、学校も当面開校できない、塾にも通塾できないというような懸念が少しでもある。

その中で少しでもオンラインで授業を完結できるように準備しておくべきじゃないかっていう風に、例えば声をあげてらっしゃる若い方々がいる。

素晴らしいことだと思うんですけれども。

それを頭ごなしにですね、上長の方々、経営の方々が楽観視したりとか、そういった声を封じてしまうっていうのもまたひとつイノベーションを、挑戦を、何ですかね、殺してしまうようなことになってしまうので。

今もっとまた我々もイノベーションを求められていて、我々大人というか経営・マネジメントに関わる方々も試されているんじゃないかなという風に丁度思いました。

ちょっとまとまりがないんですけれども、最近本を読んだり、コロナウィルスの状況を見て感じたことを話して見ました。また定期的に配信して行きたいと思います。

今回は以上です。ありがとうございました。