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細やかなコメントで生徒の振り返りの質を高め、自走する力を育む|テラコヤイッキュー【Studyplus for School Award 2020】

Studyplus for School Award 2020とは、少子化・採用難・地域格差という社会課題が広がる中で、未来の教育の在り方・先生の新しい働き方に果敢に挑戦する教育機関を表彰するものです。 

*Studyplus for Schoolの詳細はこちら

従来は、授賞式や受賞者によるプレゼンテーションを含むイベントを開催しておりましたが、新型コロナウイルスの影響を踏まえ、この度オンライン配信で受賞者によるプレゼンテーションを実施いたしました。その模様をnoteでもお伝えしていきます。

今回ご紹介するのは、スタートアップ部門で受賞された千葉県のテラコヤイッキューの渡邉先生の回です。

テラコヤイッキューのHPはこちら

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365日自走トレーニングで生徒の「自走力」を養う

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テラコヤイッキューの渡邉です。当塾の生徒たちは、本当によくStudyplus for Schoolを使っているので、今回は運用方法と生徒たちの活用ぶりを自慢したいと思います。

テラコヤイッキューは、2019年4月に開校した、まだ若い塾です。中学生が最も多く、小学生と高校生も在籍しています。指導方針は、自走式学習を提供することです。これは、「生徒が自分のために、自分の力で勉強すること」、「必要なものを自分で選んで取りに行く力」と定義しています。

そのため私の指導は、偏差値やテストの点数を上げるためではなく、勉強の仕方や継続する力、弱い自分と向き合うこと、マイナスをプラスに変えること、感情・心の知能指数を伸ばすことを目的として行っています。

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当塾の学習スタイルは「365日自走トレーニング」です。簡単に説明すると、まず面談を定期的に行い、目標設定をします。生徒はその目標に向かって勉強をし、自分自身の振り返りを毎日行います。その中で出てきた課題を改善するための策を自分で考え、面談で話し合い改善を繰り返すという流れです。

「自走トレーニング」を生徒が自分で効率良く回していくためのサポートとして、週1回のスクーリング、質問サポート、オンライン自習室などを組み合わせて指導しています。Studyplus for Schoolは「自走トレーニング」を支えるためになくてはならないツールです。

自分でPDCAを回すためのツール

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私は塾を始める時、「自分は目的を持って学習できているか」と生徒が毎日意識できるような塾にしたいと考えていました。自分の行動を自分で振り返り、課題を見つけ、改善に向けて打ち手を考えるところまで生徒自身でできるようにしたかったのです。そのために、家庭学習まで確認したいと思いました。

これを実現するため、生徒が自分で記録をし、自分でPDCAを回すことができるツールをずっと探していました。そこで出会ったのが、Studyplus for Schoolです。

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塾が抱える課題の一つに、生徒の家庭学習の様子が見えないというものがあります。いわばブラックボックスのようになっている家庭学習は、塾ではなかなかフォローしきれません。しかし、その点もきちんとフォローしてあげることが生徒の「自走」の力を伸ばすことに繋がると思っています。

ですから、家庭学習までとことん指導する塾があってもいいのではと思い、そのためのツールとしてStudyplus for Schoolを導入しました。

ほぼ全ての記録にコメントをして生徒のモチベーションを上げる

当塾では、学習記録をつけることをルールの一つにしています。記録づけは義務だということを生徒と保護者に常々お伝えし、必ず全員が毎日記録するように本気で指導しています。入会時には、2週間のトライアル期間を設けているのですが、そこで記録ができない生徒には入会をお断りしています。

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また、私は生徒の振り返りに対してのフィードバックにとても力を入れています。これは7月の校舎レポートですが、生徒一人あたりの「いいね」数が71.1件、コメント数が46.6件でした。生徒・保護者の方にヒアリングすると「先生のコメントがすごく嬉しい」「モチベーションに繋がっている」という声をよく聞きます。

ちょうど昨日トライアル期間が終わり入会を決めた生徒がいたのですが、「コメントをもらうと次の勉強に向けてワクワクが生まれる」と言っていただけました。親子でコメントを眺めて、会話の種にもなっているようです。

生徒は自宅で一人で頑張っているところを、誰かに褒めてもらいたいと思っているのではないでしょうか。だからこそ、ほぼすべての記録にコメントを付けて「見ているよ」と伝えたいと思っています。

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具体的な記録のつけ方についてですが、まず生徒は勉強する度に、教材ごとの振り返りをします。当塾では、そこに感情も書いてもらっています。例えば、何か思いついたことや、その時の気持ちなどです。加えて、ノート写真もアップしてもらいます。

細かい記録をつけてもらうことで、生徒が成長した部分や変化のあったところ、課題点が発見しやすくなります。小さいことでもすぐに分かるため、それが私のコメントのネタにもなっています。

写真も隅々まで見ていて、落書きしていたら注意するのではなく「何の絵なの?」と質問するなど、自由にコメントしています。私がコメントを毎日返せるのは、生徒の振り返りの質が高いことが理由です。

生徒によっては、「今日もうまくできました」ばかり連日書き込むこともあります。そういう時は「この振り返りはなんのためにつけているの?」という話をして、「目的を持って勉強に取り組むことができるように、この塾にいるんだよ」と話します。

勉強時間や内容だけでなく感情の記録もつける

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こちらが実際の学習記録です。ただ時間や内容を記録するだけではなく、その時に思ったこと、どんな気持ちで取り組んだのか、頑張れたのか頑張れなかったのか。プラスのことだけではなく、マイナスのことも書かれています。

この生徒は高校2年生で、英検2級の過去問題を解いた際の記録です。最初の方に過去問題についての振り返りが書いてあり、その後、「何のために勉強するのが自分にとって有意義なんだろう」という自問自答があります。

最後の方には、「もっと感謝と思いやりを持った人になりたい」という深いことを書いています。このような記録は後で見返すと、様々な気づきに繋がると思います。

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こちらは中学生の記録です。生徒には毎日、最初に計画を入力してからその日の勉強を始めるように伝えていますが、この生徒も計画を書いてくれています。「自分で自分に面談」とあるのですが、自分で自分のモチベーションを高めるための工夫ができており、まさに「自走」を体現しています。

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この生徒は、「私は……思った」という教材を自分で登録をして、ふと感じたことを不定期にアップしています。これはテスト前日なので、テストに向けての気持ちを記入してくれている画面です。

この「私は……思った」という教材には、マイナスの記録もたくさんあります。「明日テストだけど、全然勉強する気にならない」「もう諦めている」「やらないといけないのにできない」と、正直に振り返りをしてくれています。

このような感情はすぐ書かないと忘れてしまうので、Studyplusで記録をし自分が見返せるように残すことは、とても価値があることです。

記録を見返すことで自分の成長を実感できる

今回のプレゼンテーションにあたり、Studyplus for Schoolを使っている生徒にインタビューをしてみました。

Studyplus for Schoolを使っていてよかったことはある?」という質問には、「自分が今まで積み重ねてきた毎日の勉強記録を読んで、この時困っていたなとか、こういうところが大変だったなとか、こう工夫して乗り越えたなと思い出せる。じゃあ、次はこうしていこうと、次のステップに繋がっているなと思います」と言っていました。

感情込みの振り返りをしていることについては、「あとで見返したときに、ただ単にやったことを記録するより、鮮明に思い出す」「もう1回読み返す時にすごく良かった」「自分が勉強している事実だけではなくて、その記録の背景にあるようなことを思い起こす」と言っていました。

私は、Studyplus for Schoolは10年日記のようなものだと思っています。昔の日記を読み返すと、「こんなことを言っていたな」と恥ずかしくなりますが、この「私は……思った」もきっと同じです。数年後に、この記録を見たら、「恥ずかしいことを書いてるな」と感じると思います。

しかし、そうやって恥ずかしいと感じること自体が、過去の自分と今の自分を比べて成長している証です。自分の成長は自分で気づきにくいですが、過去の振り返りを見ることで「成長しているんだ」と気づけます。

勉強を継続するのは難しく、モチベーションは下がりやすいものです。しかしそういう時にこそ、自分の成長を実感できる機会があると「また頑張ろう」とやる気が高まります。

面談を通して生徒のやる気を引き出すこともありますが、誰かにモチベーションを上げてもらうのを待つのではなく、自分で自分のモチベーションを上げるための材料をつくっていくこと、そして未来の自分のためのモチベーションの種を自分でまくことも、「自走」です。だからこそ、感情込みの振り返りでは、良いところも悪いところも全て記録に残しています。

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ちなみに、塾ではStudyplus for Schoolだけでなく、紙のノートでも振り返りをしています。これは通塾してくれている生徒に渡しているA4版のノートで、左のフリースペースには夏休みの振り返りを書いてもらいました。Studyplus for Schoolで毎日記録しているので、振り返り力が高まっているのが内容から分かると思います。

Studyplus for Schoolを使っていて良かったと思うのは、去年の自分と今年の自分の違いを書く際に、自分の過去の記録を見て数値で測れるというところです。生徒本人も「今年の方が頑張れている」とか「勉強の体力がついた結果なんだな」と感情だけでなく数値で具体的に実感できます。

Studyplus for Schoolにおける小学生の運用

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小学生の運用についてもご紹介します。こちらは、小学4年生の生徒の記録です。何か分からないことがあれば「自分でGoogleで調べてごらん」とか「お母さんと一緒に調べてみて、分かったら教えてね」と伝えているのですが、画像右側のように報告してくれることがあります。

分かったことをまとめて、自分で絵も描いてまとめてくれています。保護者が入力しているのではなく、自分でまとめて入力をしているのは驚きです。

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この生徒に、面談でStudyplus for Schoolの使い方などをインタビューしました。これは勉強時間を見ながら話しているところです。実際に使ってみて良かったことについては、「先生が勉強のコメントをくれると嬉しい。だから勉強時間が増えた」と言っていました。

保護者からも「今までより自分の子どものことを客観的に見れるようになりました。子供が自分で操作して、記録をつけているか、私は自分の携帯でチェックしています。それがすごく便利で、たまに抜けていると学習記録つけていないよと声をかけることができます」と仰ってくださいました。

保護者が外出するときも「家でちゃんとやっておいてね」というと、「Studyplusを見て」と言われ、外出先から家で勉強できていることがチェックできるそうです。

しかしながら、小学生のStudyplus for School活用は難しいと思います。しっかりと運用するために、入会時にルールを厳しめに設定しています。具体的には、保護者の方と三者で毎週面談を行うこと。そしてご家庭でしっかりフォローをしていただき、本人が入力できていない場合に、保護者の方に手伝っていただくことを約束してもらっています。

今年の5月頃は、休校の関係で、特に小学生の方のお問い合わせがすごく多かったのですが、毎日記録することを伝えると「やっぱりやめます」ということが多々ありました。

また、中高生よりも勉強でスマホを使わせることが怖いという意見もあると思います。当塾では、面談の時に、計画が達成できていなければ、「なんでできていないんだろう?」と原因を探っていき、そこで、「スマホが原因になっていない?」と話をすることもあります。

もしそれが原因ということであれば、「じゃあどうする?」と聞いてみて、「Studyplus のストップウォッチをつけた後、箱に入れてお母さんに預けます」とか「自分でキッチンタイマーで計って、後で記録をつけます」という解決策を生徒自身から引き出します。このようなやり取りをし、生徒自身がスマホとの付き合い方を考えることも「自走」です。

生徒に自走の種を埋めて育てる

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私は塾で、生徒に「自走」の種を植えたいと思っています。そのため、「振り返りが大事だよ」「今思っていること残していくのが大事だよ」と常々伝え続け、「いいね」をし、コメントを残して、面談を行い、LINEでメッセージも送っています。これは種を植えて、日を照らして、水をやり続けるという作業をずっとしているというイメージです。

これを続けていると、生徒が芽吹く瞬間があります。この画像は生徒の記録ですが、「国語の問題を読んで、振り返りの大事さを改めて感じました」とあります。これを見た時に、今まで私が大事だと伝え続けていたことを、自分事に落とし込めた瞬間があったのだろうと感じました。

Studyplus for Schoolを使っていると、こうした生徒の芽吹く瞬間をタイムリーにキャッチできます。どの生徒にも振り返りの内容が変わる瞬間があり、それを感じることができると、私もモチベーションが上がります。

保護者としっかり連携し家庭学習もフォロー

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保護者への活用ですが、当塾ではLINE連携を使い、カルテを共有して毎週学習グラフを送信しています。面談のみのご家庭には面談カルテを送り、授業を実施している生徒については気づいたことも共有しています。

積極的にやり取りしてくださる方も多く、すごくありがたいです。というのも、テラコヤイッキューには教室がないため、家庭環境が重要です。私から見える部分が限られていて、画面の枠の中にいる生徒しか見えません。

ご家庭によっては、今まで持っていなかったスマホやタブレットを導入したり、導入に当たってご両親にデジタル機器との付き合い方に気を配っていただいたりと、ご協力をいただいています。

当塾では、「塾に全部お任せします」ではなく、塾と生徒、そして保護者という三者で協力して、みんなでレベルアップしていく関係を作りたいと思っています。そのため、私から保護者に連絡することもとても多いです。

ランキングも掲載された塾通信を発刊

生徒とは毎週面談しており、学習進捗と学習計画の確認をしています。そして、学習時間ランキングの掲示も行っています。教室がないため貼りだすことはできないのですが、テラコヤ通信というものを毎週刊行し、ここにランキングの上位13人くらいまでを掲示しています。

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私が見ていて感じることを書き加え、保護者・生徒全員に送信しています。PDFで共有するのですが、Studyplus for Schoolの機能でPDFの一斉送信ができるようになり、助かりました。

当塾では、他者の頑張りを感じる機会が少ないこともあり、こうしたランキングを載せて発行しています。

また、オンライン指導の課題解決という目的もあります。オンラインコースの生徒はどうしても、挨拶と必要なやり取りをして終わりという流れになりがちです。対面なら自然と生まれる、たわいもないやり取りが生まれにくいため、そのような時間をつくる意味でも話のネタになるテラコヤ通信を出しています。

例えば、一番下の部分に「クーラーがなくて干からびそうなワタナベより」とありますが、当時本当に暑くて大変でした。こういう雑談につながるようなことをあえて入れて、面談の時に話すなどしています。

当たり前のレベルが上がり主体的に勉強するように
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「自走トレーニング」を続けたこと、そしてStudyplus for Schoolを活用したことから、生徒の学習に2つの変化がありました。

1つ目が、「当たり前レベルの向上」です。テラコヤイッキューの生徒は記録をつけるのが当たり前で、振り返りをするのも当たり前です。授業がなくても毎日勉強するのは当たり前だし、習っていないところを当たり前に自分で予習する生徒もいます。偏差値が高い生徒でなくても、テキストを使って自分で勉強できている状態です。

Studyplus自体も、塾側に管理できるメリットがあるから使ってもらっているのではなく、生徒が自分のために自分たちの意思で使っています。初めは義務的でも、使い続けて行くうちに自分のために使えるようになっていきます。

また、反省点があれば改善方法を自分で考えるところまで、当たり前にできる生徒が増えました。当たり前のレベルが向上し続けることで、今までできなかったことができるようになったことは、大きな変化です。

2つ目の変化は、主体性が出てくるようになったことです。多くの生徒が「やらされる勉強」から「自分のためにやる勉強」にシフトできるようになってきています。

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例えば、この振り返りを書いた生徒は、今まで問題を解くところから丸つけまで、保護者の指示に従って勉強していました。その子が今では、この枠の中に書いてある通り「今は勉強の大事さを自分で考えられている」「その上で、自分は何をしないといけないか考えて行動ができるようになった」「今までの夏休みは、課題をやるだけで終わっていたけど、自分のためにやりたい、やるべきことをできている夏休みになっている」と書いてくれています。

こうしたことを当たり前に考えられるようになったのは、嬉しいことです。この点からも、Studyplus for Schoolは当塾に必要不可欠なツールです。

「自走」を業界第4勢力に引き上げる
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働き方の変化にも影響しています。私が以前、大病したこともあり「病気で入院していても、結婚して子どもができた女性が家事をしながらでも、続けることができるような新しい塾の形を作りたい」という想いから、テラコヤイッキューを始めました。

それが今まさに、実現できていると思います。場所に縛られず、家事をしながらでも生徒が自習している様子を見ることができます。私は、一度きりの人生、仕事も家庭も諦めずに一生懸命やりたいと思っています。理想の形が少しずつ実現できていることは嬉しいです。

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今後の展望について、まずは自走式学習を広めたいです。偏差値や志望校合格といったIQ面だけではなく、EQを伸ばす場所があってもいいと思います。「自走」の力を身につけ、家庭学習のフォローを第一に行う塾を増やしていきたいです。個人的には「自走」が、集団・個別・自立に次ぐ塾界の第4勢力にできればと思っています。

そして、テラコヤイッキュースタイルの塾を横展開していきたいです。例えば、主婦の方や在宅で働きたい方、扶養の範囲内で教育に関わる仕事をしたい方もいると思います。現在は、新規生徒の問い合わせを人数的にお断りしているような状態のため、そういう方達と連携して、同じ理念の元で働ける仲間を作っていければと思います。

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