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小中高一貫で自立学習を可能にするStudyplus for School活用術|進学塾SOIL【Studyplus for School Award 2020】

Studyplus for School Award 2020とは、少子化・採用難・地域格差という社会課題が広がる中で、未来の教育の在り方・先生の新しい働き方に果敢に挑戦する教育機関を表彰するものです。 

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従来は、授賞式や受賞者によるプレゼンテーションを含むイベントを開催しておりましたが、新型コロナウイルスの影響を踏まえ、この度オンライン配信で受賞者によるプレゼンテーションを実施いたしました。その模様をnoteでもお伝えしていきます。

今回ご紹介するのは、高校生部門自立指導部門で受賞された、京都府の進学塾SOILの村東先生の回です。

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生徒自らが勉強をするような姿勢を身につけさせる

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進学塾SOILの村東です。私は2019年まで個別指導塾で塾長として勤めていましたが、その後、独立し、進学塾SOILを開校しました。小中高一貫の自立型重視の学習塾で、現在、ありがたいことに入塾希望者が多く、中学校からはなかなか入塾できない状況です。

指導形式は、集団指導、個別指導、自立型指導と幅広く、映像教材を使った指導もしています。教室は、100㎡ほどで56席しかないため、小学生と中高生の時間をずらしてなんとかおさまっています。生徒は、ほぼ毎日来るため、曜日によっては席が足りなくなり、面談用の席で授業をすることもあります。

指導理念は、小中高一貫で自立した学習を可能にし、難関大に合格することです。早いうちから、自分で勉強する力を身につけさせ、高校では、こちらから何か働きかけることなく自分で勉強してもらいます。そのため、高校生の新規募集はしていません。小中学生のうちに鍛え上げて、高校生からは自走してもらうイメージです。

スタッフは、私以外に社員が1人います。彼女は元生徒で、アルバイトから始めて今では社員になってくれました。学生講師は、12人ほどいます。学生の街ということもあり、優秀な方がたくさん来てくれています。

高校生に関しては、私が直接指導することはほとんどなく、学生講師が担当することが多いです。反対に、小中学生は全員と関わっています。

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この写真は、オープンスペースで、学年関係なく座って勉強しています。中学生が多くいますが、高校生でも、「ここの方がいい」と言って、自習室にあまり入らない生徒も多いです。立っているのは学生講師で、教室内を巡視しながら質問に対応しています。

小中学生は、講義をする日と集団個別をする日が分かれています。個別指導の生徒も少数いますが、その生徒も授業を受ける日とオープンスペースで勉強する日を分けています。少なくとも週2回は来てもらい、1日は講義、1日は授業という形にしています。

高校生は、1対1の指導で、学生講師がつきます。授業を受けるというより、集団個別で拾い切れない質問の対応をすることが多いです。カリキュラムは、大まかに組んでおり、それを元に、「今日は何をするか」ラフに決めて進めています。先生からの指示もありますが、「今日はこれをやります」と決めて始めることはありません。

塾の学習方針として、宿題の量は少なくしており、やらなくてもいいと伝えています。テストさえできれば無理にやる必要はなく、「簡単な問題だなと思ったら飛ばしなさい」とも伝えています。とにかくテストをクリアできるなら良いという方針です。とはいえ、実際はみんなきちんとこなしています。

また、学習時間の強制はしません。「何時間勉強しよう」などは指定せず、テストをクリアすれば良いと伝えています。2時間しか勉強しなくてもクリア出来るなら良いですし、5時間かけないとクリアできないのであれば、しっかり5時間やりましょうという方針です。

このように、生徒には過程より結果が重要だと常に伝えています。この考えを理解し、身につけてもらうためにも、高校生からの入塾はあまり行っていません。

結果として、塾から生徒へのプレッシャーは小さい状態です。こちらが勉強しなさいと言わなくても、生徒たちはものすごく勉強します。お盆休みなどにも宿題は出さないのですが、生徒の方が「やらなくていいんですか?」と聞いてきて、こちらが遊びなさいと言っても勝手に勉強したほどです。

自立型ですので、「自分で考えてやってください」という考えを基本に指導していますが、中学生までは、自分だけで自立学習はできないため、なるべく目を配るようにしています。

例えば、自宅で勉強している様子は見えないため、塾に来て、目の前で勉強してもらったり、きちんとテストクリアという結果が出ているかチェックするなどしています。できているかできていないかの判断は、こちら側でしています。

また、生徒とのコミュニケーションを重視しています。対面で話してみなくては分からないこともあるため、意識して話すよう心掛けています。

コミュニケーション不足やアナログな情報管理が課題

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前職で塾長をしていた時、様々なICTツールを試験的に導入してみました。映像教材なども含め、良いものは自分が独立した時に使おうと思っていました。結果として、今でも使っているのはStudyplus for Schoolだけです。

初めて使った時、これは絶対に導入しようと決めました。そして、開校時に高校生全員を対象に導入しました。その後、中学3年生の生徒たちが受験への意識が高かったこともあり、試験的に導入しました。

中学校3年生の生徒たちの学習時間をチェックするというより、高校1年生、高校2年生の生徒に、「後輩より勉強していないよね」と指摘するという目的が大きかったです。

実際に、中学校3年生の生徒たちは、高校生より真面目に記録をつける生徒が多かったです。また、対面でのコミュニケーションがしっかりとれていたため、オンラインで指示を出しても問題ありませんでした。

その後、新型コロナウイルスにより、オンライン指導に移行するタイミングで、中学生全員に導入しました。現在は、利用する生徒は減っていますが、引き続き使える生徒には使ってもらっています。

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Studyplus for School導入前は、直接指導しない生徒の状況把握が上手くできず、また、コミュニケーションが不足していました。冬になるにつれて、受験生に手がかかるようになり、他の学年の生徒の状況は、より見えにくくなってしまいます。生徒と接する時間は、夕方から22時くらいまでのため、それ以外の時間にコミュニケーションが取れないとまずいと思っていました。

さらに、情報管理を紙ベースでしていると、紙を失くしてしまうなどのリスクがあります。講師同士で情報共有することもなかなか難しいです。

また、集団個別をしていると、中高生の交流があまり生まれません。もともと、わざと中学生に聞こえるように高校生の進路相談をするなどしていたのですが、もっときちんと関係性を深めてほしいと思っていました。

そして、自立型がメインのため、学習計画を立てたり進捗管理をする点において、もっと効率的にマネジメントできるのではないかという希望もありました。

しかしながら、Studyplus for Schoolを導入した一番の理由は、生徒が自分で記録をつけることで学習状況を可視化し、自分で分析をしてほしいと思ったからです。導入前、ある生徒が高校3年生の夏からノートで5冊分、自分の学習について分析しました。私に知らせず、一人でやっていたのですが、今思えば、それを見てあげられたらもっとアドバイスができたはずです。

その生徒は、受験が終わった後に、初めてノートを見せてくれました。初めの方は、英語の勉強法をまとめていたり、注意されたことが書かれていました。だんだんと精神論も記されていき、最後の方は、「このままでは通らない」と1行だけ書いてあるような感じだったのですが、最後のページを開くと「合格」と書いてあったのです。これを見た時に、本当に感動し、学習状況の可視化のメリットを改めて感じ、Studyplus for Schoolを導入しようと思いました。

また、Studyplus for Schoolを入れた方が、業務の負担が減り、効率化できるのではないかと思ったことも導入に至ったきっかけの一つです。

生徒と通塾時以外でもコミュニケーションが取れるように

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Studyplus for Schoolを導入して、多くの面で成果を出すことができました。まず、通塾時以外でもコミュニケーションが取れるようになったことです。以前は、よく質問してくれる生徒とは話せていたものの、それ以外の生徒は、「今日あの子と話さなくては」と思ってもタイミングがつかめず、いつの間にか帰ってしまっているということが多々ありました。そういう場合でも、記録にコメントをすることで、LINEなどを直接送るより、やんわりとしたコミュニケーションが出来ています。

なかなか直接言えないことも、Studyplusには書き込めることがよくあります。また、同じ学校の友達同士でフォローしているため、「あの先生の授業が面白い」といったことも書いてあり、以前は聞けなかった話も聞けるようになりました。

次に、生徒同士の競争意識が向上しました。このような効果があるとは思っていなかったのですが、身近な友達が何時間勉強しているかというのは、生徒にとって気になる情報だったようです。ある生徒が、高校3年生の夏休みに家族旅行をしたのですが、帰ってきて友達の勉強時間を見て焦ったという話もありました。

Studyplus for Schoolを導入してから、勉強時間とそれぞれの生徒の成績を見てみると、やはり多く勉強している生徒ほど成績上位に入っています。特に、中学生はこの傾向が顕著です。
勉強時間の多さが上から1番、2番、3番の生徒が、成績ランキングの1位、2位、3位になっています。そのため、モチベーションを上げることも視野に、ランキング表を作って教室に掲示しています。

私が、「あの子はよく勉強していて、成績も上がっている」と話すより、数字で見せられる方が生徒は、はっとします。そして、私が何も言わなくても自分で勉強してくれるようになるものです。

もともと、大手の塾や宿題が大量に出される塾が苦手だという生徒が集まっています。そのため、直接指示を出し、プレッシャーをかけることなく、自然と勉強するように気持ちを向けられるようになったことは大きな成果です。

課題であった中高生の交流についても、他の学年の先輩・後輩をフォローさせることで新しい交流が生まれています。先輩たちが、自分の学年の時にどのくらい勉強していたかを知ることができ、リアルタイムで把握できる点はメリットです。また、その先輩が講師として塾にまだいることもあるため、実体験を話すことができます。

新型コロナウイルスの影響で、オンライン指導をしていた時期があったのですが、この期間に、学習時間が驚異的に伸びました。これもきちんと記録をつけていたおかげだと思います。高校3年生に関しては特に、勉強の量だけではなく質も向上しました。

記録をつけるだけでなく自己分析もできるようにする

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こちらは今年5月の中学生の学習時間です。上位の生徒は、60時間くらい勉強しています。どうやら、「1日10時間やろう」と言い合っているようで、お互いにStudyplusを見ながら、「10時間いった!」と喜んでいます。

特に、上位3人の伸び方はすさまじく、3番目の生徒の成績はもともと400点を切るくらいでしたが、今はもう450点を超えています。こちらは何も言わず、自分でどんどん進めている状態です。姉妹で入塾し、当初は、「お姉ちゃんが賢くて、妹はだめ」など言っていたのですが、今は姉を抜かすほどの勢いです。

当塾では、テスト後にプロジェクターで、こちらの画面を見せながら、勉強時間と点数の関係、各科目何時間やったかなどを生徒と一緒に見ていきます。また、生徒同士で、「国語は何した?」、「これをやったよ」というような話をしています。

私は次のテストで、前回学んだことがきちんと反映されているかをチェックします。何をするかまでは、口を出しません。

中学生は、高校生と比べると素直なため、圧倒的に管理しやすいです。集団授業をしている点も大きいと思います。個別指導にはない場の空気があり、こちらが圧をかけなくても記録をつけています。

また、中学生に学習分析の練習をさせています。初めのうちは、コメントの書き方がわからず、「これをやった」、「あれをやった」というものばかりです。そういう生徒にも、自己分析をきちんとしてもらいたいため、高校生のコメントを見せながら、「こういう風に書こう」と練習してもらっています。

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学習時間よりも、自己分析ができているかどうかと、学習内容を要約する力があるかどうかが大切です。例えば、数学で、「ベクトルの問題は、こういうところに気をつけて、こう解いて」と教えた後、「この問題はどう解くの?」と質問します。そこで、「つまり、こういうことだ」と要約できるのかどうか確認しています。自分の中で消化して、理解するための考える力を重視しています。

質が高い勉強ができる生徒は、この力があります。多くの生徒は、1から10まで聞いて10だけを覚えようとします。一番大事な1の部分が抜けてしまうのです。そうではなく、勉強したことが、「つまり」どういうことだったのか、Studyplusでまとめるようにしてもらっています。

Studyplusの活用を生徒が自主的に行うよう導く

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当塾において、Studyplus for Schoolは、試験的に活用している段階です。保護者にも、そのように説明しています。常に全員が使える状態にしてはいますが、使いたい人はどんどん使って、使いたくない人は使わなくても良いと伝えています。押しつけるのではなく、使っている生徒がどれほど伸びているかを見せ、自主的に取り組めるようにしています。

もともと、私が業務の負担を減らし、効率的にしたいことが導入理由の一つでもあったため、きちんと活用している生徒には労力をかけていきたいと思っています。「もっと記録をつけて」とコメントする時間があれば、きちんとコメントを書いてくれてる生徒に時間を使う方針です。

普段、Studyplusを上手く活用できていない生徒で、成績が奮わず、「全然伸びないです」と言ってきたタイミングで、「記録はこういう風に書いてみて」、「勉強の仕方をこうしてほしいので、それができているかチェックするためにこういう風に書いて」と指示しています。

非アクティブユーザーへの対応と講師間の情報共有改善を目指す

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今後の課題として、Studyplus for Schoolと他サービスの連携ができたらと思っていたのですが、ちょうど先日、映像授業のウィングネットと連携できるようになったと知って嬉しかったです。当塾では、Google ClassroomやLINEなど色々なサービスを使っているため、情報があちこちにある状態になってしまっています。

他塾の先生も仰っていましたが、いつかは、それらの情報全てが一括で管理できるようになれば便利だと思っていました。そのため、Studyplus for Schoolがカバーする範囲が広がるのはありがたいです。

また、Studyplusを活用できていない生徒にどう対応していくかも考えています。使った方がメリットが大きいことは分かっているため、どう導いていくかが課題です。さらに、講師間の情報共有も対応できていないため、Studyplus for Schoolを使って上手くカバーしていきたいとも思っています。

現在、学習計画の作成をStudyplus for Schoolだけでなく、紙や口頭で行うこともあるため、これをStudyplus for Schoolに一本化していく予定です。しかし、スマホを持たない生徒もいるため、タブレットの貸し出しなど何か対応をしなくてはなりません。

オンライン指導をした時期には、Zoom、Google Classroom、Studyplus、LINEを活用し、スマホを持っていない生徒は保護者のものを借りてもらいました。その流れで、今でも、保護者のスマホから記録をつけている生徒は多いです。

将来的には、2教室目を出したり、高等部だけを独立させたり、個別指導部門を切り離したりといったことを考えています。新しい教室でも、Studyplus for Schoolが必要になるため、より一層活用できるように、しっかり準備していきます。

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