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塾が大切にしていることから始めるオンライン指導|藤わら塾【オンライン指導情報共有会】

新型コロナウィルスの感染拡大により、学習塾業界は教育サービスを提供できず、事業の継続が困難となるリスクが発生しています。これを防ぐために急速に高まっているのが、オンラインでの指導体制の整備の重要性です。

新型コロナウイルス感染拡大の深刻化、そしてオンライン指導に関する事例が少ないことを受けて、Studyplus for School導入校で既にオンライン指導に取り組まれている方々にご協力いただき、オンライン指導に関する情報共有会を開催しています。今回は藤わら塾の塾長の藤原先生にお話を伺いました。

藤わら塾について

藤わら塾の藤原です。10年前から岡山で、藤わら塾という自立学習型の塾を運営しています。塾を始めたきっかけは、12歳下の弟とその友達を教えていたことです。だんだん生徒が増えて学力差も出始めたので、一斉に教えるのではなく自立学習型で各々の勉強をサポートしていくようになりました。

現在の生徒数は20名ほどで、従業員は2名です。ずっと私一人でやってきたのですが、今年の4月に1人採用しました。

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うちでは2つのプレハブがあって「自習教室」と「授業教室」に分かれており、コロナ禍になる前は生徒がそれぞれの教室に通っていました。自習教室は生徒が自分で予約をして、自習するという流れです。受験期前になると、学校帰りに寄って4~5時間くらい使う生徒が多いです。

授業教室では、生徒がチェック表という進度表を見てその日やるべきことを確認し、自分で勉強を進めていきます。一つ終わったら私のところに来て、間違っている部分を確認し、また戻って続きをやるというサイクルの繰り返しです。

藤わら塾ではチェック表を重要視しています。これは、生徒たちが何をどうやって進めていくかを、レベル別に一学年分まとめたものです。生徒たちは教科ごとにこの表を持っているので、毎日これを見ながら進めて、終わったところには蛍光ペンを引いてもらっています。

内容としては、例えば「国語の教科書の内容を映したプリントを読む」とか、「数学のこのページの問題を解く」など書いてあります。どの教科をどのタイミングで進めるかは生徒次第です。ただ得意な教科ばかり進めることもあるので、その場合は「英語もやろう」など声掛けをします。

毎回こちらから言われたものをこなすのではなく、生徒の主体性を引き出したいと思ったので、生徒自身で管理する形にしています。

オンライン指導の種類

藤わら塾のオンライン指導を説明する前に、私なりにオンライン指導をチャートにまとめてみたのでそちらを共有します。

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まずはオンライン指導するかどうかという分岐点があります。私はずっとリアルでの対面が好きでやってきたのですが、こういう状況になってオンライン指導を始めました。やらないという選択肢もあると思います。

次に使っているICTツールです。うちで使っているのはZoomですが、LINEやYoutube、Google classroomなども使われていますね。タブレットやペンタブレットの有無も分岐点で、私はパソコンとタブレットが両方あるとやりやすいと感じています。タブレットやペンタブレットがない場合は、教材に書き込みながら解説がしにくいため、オンライン自習室として生徒が勉強しているのを見守る形になるのではないでしょうか。

タブレットがあってなおかつ動画作成もするなら、オンライン集団授業が出来ると思います。ホワイトボードを映して授業することで通信予備校のように教えることも可能です。

藤わら塾の場合、タブレットはありますが、動画作成はしていません。チェック表という進度表を作って、オンライン自立学習型で運営しています。もし進度表がなければ、個別型で1対1の指導が出来ると思います。

コロナ禍以前のオンライン指導

私は、コロナ禍より前からオンライン指導を始めていました。そのきっかけは、私の弟が野球教室をしていることです。彼から、「野球は上手いけど勉強はできない子がいるから、サポートをしてもらえないか」と相談を受けました。そこで藤わら塾と野球教室のコラボという形でリモート授業を始めて、野球教室の子どもたちに受講してもらったんです。

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正面の大きなテレビに私が映ります。生徒の席にはタブレットとiPhoneを置いてあるので、顔と手元の両方が見える状態です。教室全体を映すのに、Fire7に魚眼カメラを付けたものを使っています。これで何をしているか常に見えますし、こちらからしっかり指導もできます。実際に始めてみて、ほぼ対面に近い形でできるようになりました。

このコラボレーションには、できるだけお金をかけずにコンパクトに始めるというコンセプトがありました。だから新品の機材をあれこれ買うのではなく、いただいたものや中古のものを活用しています。

オンライン指導への切り替えと学校休校が始まるまでの流れ

野球教室では先んじてオンライン指導を始めていましたが、藤わら教室ではコロナを機に始めました。岡山では入試の時期が少し遅いので、3月中旬まではできるだけ少人数にして通常通り運営しました。

その後一週間くらいお休みをいただいて、状況が変わらなさそうだということで春休み明けまでは換気、アルコール消毒、人数調整などをしながら授業をしました。岡山では春休み明けから学校が通常通りスタートするということでしたが、都心での状況を見てこちらも同じようになるだろうと思ったんです。

そこで4月6日以降、オンライン指導に切り替えました。オンライン指導をするにあたってそろえたのは、下記6点です。

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Zoom、LINE、Studyplusの使い方は塾で実際に対面で説明し、一通りやり方を教えてメッセージ送ってもらってから使い始めました。

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Zoomに関してはそもそもダウンロードの仕方がわからないという方もいたので、こういったダウンロード方法や基本操作をまとめた資料をお渡ししました。

機材は基本的に今まで使っていたものを利用したり、新しく購入するにも中古品を買うなどしてコスト削減しています。

こうした準備を整えてオンライン指導を始めたころ、学校はまだ休校になっていませんでした。だから生徒の動きとしては、朝学校に行って、帰宅したら今までの授業時間と変わらずオンラインで通塾するという流れです。この期間で、Zoomの使い方などはある程度慣れてもらえたと思います。

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オンライン指導に入る前にはこうした紙も配布して、どういった方針で進めるかを保護者にご理解いただきました。それに合わせて、オンライン指導やZoomなどのツールに不安を感じる方には、直接お話させていただいたんです。「こうなった場合は、こうする」と事前に説明しておくことで、ある程度安心された上で始められたと思います。

保護者からすると、突然オンラインと言われてもどうやればいいか、本当にできるのかなど不安が大きいわけです。しかしオンラインを始めてみると、こちらからきちんと指示も出せますし、保護者は生徒が家で勉強している姿も見れます。だからしっかり準備すれば問題ないと思えました。

オンライン指導案内の時には、こちらも配布しました。

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小学生対応は悩んだのですが、休塾するか、Zoomでオンライン指導を受けるか、課題対応かを選択してもらいました。

休校が始まってからのオンライン指導

学校が休校になってから今までは、毎日9時から4~5時間の授業を受けてもらっています。2か月休校が続くと、生徒本人も「そろそろ何かやらなきゃ」という気になりますし、保護者にとってもしんどい部分があります。だから朝から稼働することで、生活リズムを整えるという側面も持たせています。結果として授業時間はものすごく増えましたが、授業料は変えていません。

全体の流れとしては、まず授業がある日の朝、生徒にLINEを一斉送信します。そこでZoomの確認をして、Studyplusをチェックして、小テストの問題を渡します。9時~10時の間は小テストの時間です。合格点に達しない生徒は必要な授業をうけてもらうのですが、この時学年は関係ありません。例えば中3の生徒でも中1に内容確認が必要であれば、中1の授業を見てもらいます。

テストに合格した生徒はチェック表に沿って授業を見ます。授業時間は10時~12時と、14時~16時です。時間割は下記の通りです。

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オンライン指導の具体的な流れですが、生徒はチェック表を見て自分が何をするか自分で確認します。授業がスタートしたら、わからないところはZoomで質問します。

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一区切りついたところで、「このページが終わりました」とLINEでノートとテキストの画像を送ってもらい、それを確認してOKならスタンプをおします。出来ていないようなら、細かい指示をLINEで送ったり、Zoomで伝えたりします。

Zoomでの質問対応は解説が必要な場合、ミラーリング機能を使ってやり方を説明し、本人が理解できたらスクリーンショットしてLINEで送るという流れです。生徒はその写真を見ながらノートをまとめたり復習したりして、改めて解いたら再度LINEで送信。きちんとできていればOKということで、チェック表をクリア。この繰り返しです。

スマホがなくてLINEが使えない生徒は、タブレットを貸してそれを使ってもらっています。タブレットはLINE公式のやり取りだけでなく、勉強したところを画面共有で見せるためにも利用します。また、保護者ともLINEで繋がっているので諸連絡はこちらで行っている形です。

授業中は自分の課題ができた人から提出してもらいます。終わった生徒については「〇〇君できました」と声かけしているので、やる気のある生徒はそこで「一番に出そう」というモチベーションになっているかもしれません。

新たに立ち上げる事業「DooRu」

5月から、DooRuという塾の先生がオンラインで個別指導できるサービスを始めていこうと思っています。これは、教えたいのに教えられない先生と、教わりたいのに教われない生徒のマッチングをするというものです。

仕組みとしては、講師を選んだら受けたい授業を予約して、Zoomを通してオンライン上で授業をするという流れです。お気に入りの先生を見つけて、授業を受けられるようになればと思っています。

オンライン指導で大切なこと

オンライン授業を受けている生徒は、先生しか見えていません。自分の姿も見えませんし、どうしても受け身になってしまう部分が出やすいです。そういう中でどういったアクションをしたら積極的になれるかは、いつも考えているところです。

中でも、アナログなものを準備しておくのは効果的だと思います。例えばカラーボールを生徒に渡しておいて、「分かったら青色出して」と決めてかざしてもらうなどできます。Zoomのチャット機能などでもできるのですが、こういった部分がある方がコミュニケーションが取りやすいです。

そして何より、「オンラインで何ができるか」を考えるのではなく、「やりたいことをオンラインで実現するにはどうすればいいか」という考え方をするといいと思います。うちの場合、チェック表をどうオンラインでも使うかが重要でした。そのため、オンライン指導でも「どうすればチェック表を活用できるか」という観点から考えたんです。

塾によって大切にしていることはそれぞれあると思うので、それをオンラインで実現するにはどうすればいいかと考えてみることをおすすめします。