メンタルトレーニングを通じて生徒の元気を生み出す|井手塾大潟教室【Studyplus for School Award 2021】
Studyplus for School Award 2021とは、少子化・採用難・地域格差という社会課題が広がる中で、未来の教育の在り方・先生の新しい働き方に果敢に挑戦する教育機関を表彰するものです。
昨年に続き今年も、受賞校によるプレゼンテーションを含むイベントをオンラインで開催いたしました。その模様をnoteでもお伝えしていきます。
今回ご紹介するのは、自立部門で受賞された、井手塾大潟教室(新潟県)の佐藤先生の回です。
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コンセプトは「勉強のジム」
当塾は、「勉強のジム」をコンセプトにしている自立学習型の学習塾です。スポーツジムでトレーニングの内容や休憩のタイミングをトレーナーが指示するように、当塾では勉強の内容などを講師が指導しています。
この指導方法にした理由は、これまでの経験にあります。私は大学進学のタイミングで石川県に行きましたが、しばらくして地元新潟に戻り学習塾を始めました。初めのうちは経験もなかったため、生徒に厳しく接してしまい、担当していたクラスから複数人の退塾者を出してしまいました。
この出来事がメンタルトレーニングやコーチングについて学ぶきっかけとなり、指導法に導入しました。今もこの分野の勉強を続けており、2021年7月に、大谷翔平選手が行っていた原田メソッドの認定パートナーの資格を取得しました。
また、私は新潟に戻ったタイミングでジュニアの卓球チームを立ち上げ、16年ほど指導してきました。原田メソッドはそこでも活きており、卓球の指導で学んだことを塾の指導にも活かしています。
例えば、卓球の強いチームは監督があまり細かい指示を出しません。基本的に、先輩が後輩を教えることが多いです。練習内容も特殊なものではありません。大切なのは内容よりも、上手な選手の感覚を普通の選手がどうやって再現するかということです。
指導するうえでは、パフォーマンスの方程式というものを大切にしています。パフォーマンスが向上するかどうかは、何を、どんな気持ちでやるかによって変わります。強いチームと同じ練習メニューをしても、気持ちの違いによって結果は変わるものです。
そこで今回の発表では、Studyplus for Schoolで何をしているかはもちろん、どんな気持ちで取り組んでいるかについてお話します。
メンタルトレーニングを通して生徒の自立を目指す
当塾では希望者のみStudyplus for Schoolを導入しており、現在使用しているのは6名です。
Studyplus for Schoolを導入することで、教室に来ることがメンタルトレーニングになるという環境にしたいと思いました。メンタルトレーニングでは普段は意識していないことを意識させることで心を整えます。
例えば、いつもは自分が呼吸をしていることを意識しませんが、あえて意識してゆっくり呼吸をすることで、心拍数が落ちてリラックスできます。勉強においても、生徒たちは自分が何をどのくらい勉強したか意識していません。そこでStudyplus for Schoolを使い、どんな思考でどんなことを考えたのか思い出していくことによって、自分の心を整えていけるようしたいと思いました。
その思考が深まった段階で、「どうしたらもっと良くなるんだろう」という考えにたどり着いたら、これはもう立派な自立の状態です。そこを目指して、Studyplus for Schoolへの記録を通してメンタルトレーニングとしたい考えています。
さらに、Studyplus for Schoolの導入にあたり、他の導入塾さんなどとつながりをつくりたいと思っていました。実際に、勉強会などでコミュニケーションを取ることができ、遠方に行くときには教室見学もさせていただいています。
Studyplus for Schoolは言葉と同じ力を持っていると思います。同じサービスを使っている人がこのような機会に集まり、たくさんの塾が「こんな塾です」「こんな生徒がいます」「こうやってStudyplus for Schoolを使っています」と紹介しあい、たくさんの人が意思を通じ合わせています。
成績をあげるコミュニケーション機会の創出
当塾には小学生から高校生まで40~60名の生徒がいますが、学年で区切らず同じ教室で勉強しています。教室の壁際にはパソコンを置いており、そこで調べ物をしたり、リスニングの練習をしたりします。当塾ではいくつかのICTツールを利用しておりますが、eトレの「eトレリンク」を使って、自宅で学んでいる生徒もいます。
集団授業は先生の力量によってクラスを盛り上げたり、生徒とコミュニケーションをとるなどしやすいですが、自立学習の場合、こちらから声をかけられる生徒は少なくなりがちです。
そのため、コミュニケーションを形にするためにこのようなノートをとるようにしています。生徒が書いたことに対してコメントを返しており、交換日記のような形で運用しています。このノートを書く量と成績の伸びは比例関係にあります。
こうしたコミュニケーションは塾にいるときにできるものですが、塾にいない生徒へ対しては、Studyplus for Schoolを活用しています。理由は、自宅からでも簡単にコミュニケーションが実現できるからです。
生徒が元気を出すきっかけ作りに積極的に取り組む
これから塾運営をするうえで、ポイントとなるのは元気だと思っています。生徒は保護者や講師に「勉強しなさい」と言われて暗くなることがあります。生徒自身は勉強をした方がいいとはわかっているはずですが、「こうした方がいい」と思っていることをすぐできるわけではありません。
また、実際に取り組むには「やる気が必要だ」と言われます。しかし、もし「やる気がない」と言われたら人格否定をされているように感じると思います。そのため、私は、やる気より元気が必要だと思うようにしています。
元気になるために必要なものは心の栄養です。これを、ストロークと呼んでおり、これは人と関わることで得られるものです。ストロークがたくさんほしければ、自分から良いストロークをたくさん打つことが大切です。
そこで、塾でチェックインというストローク交換の場所を作りました。チェックインでは、こちらから急に「頼むよ」と指名して、そこから1分間自由な内容を話してもらいます。大切なのは人の話を聞く態度で、聞く側には「目をハートにして聞いて」といつも言っています。
内容をしっかり理解することより、肯定的な態度をとることの方が大切です。相手が自分の話を積極的に聞いてくれることで、ストロークがもらえます。この取り組みはテレビでも取材されました。また、チェックインでの話が面白いということで、自分の居場所を築いている生徒もいます。
Studyplus for Schoolの「いいね」やコメントも、ストロークの一つです。ストロークを増やすことで、いい雰囲気を作っていくことができますし、大人同士でも心の栄養が満たされれば怒ることもありません。
ただ、単に褒めて育てるという方針ではありません。褒めることも叱ることも必要で、叱るときには相手の人格を否定せず「この部分を直せばいいんだよ」という言い方を心がけています。
生徒が元気を出す方法もデジタル化していく
これからは、不登校の生徒が塾で学べる仕組みを作りたいと思っています。実は、下の娘が小学校の時に不登校になりました。本人はもちろんですが、親としても悩みました。そんな経験から、学校でいじめにあってしまった子どもたちにも、むしろ「いじめがあったからこそ、こういうことができた」と思えるような明るい未来を見られるような仕組みが必要だと思います。
また、そういう生徒とその保護者に対して、コーチングをして行きたいと思っています。原田メソッドの目標設定の授業をしっかり組み込み、対応していきたいと思います。
目標設定に関してはすでに注力しており、例えば「定期テストの日をワクワクしよう、楽しくしよう」というコンセプトの勉強会を開いたことがあります。
この勉強会では50分間、目標設定をするための授業をし、それぞれが目標を書いて、そのために今日何をするかを決めています。単に勉強を教えるだけでなくこうした授業も取り入れると、生徒はより頑張れるようです。
当塾では、アチーブノートというものをつけています。これは原田メソッドなどのエッセンスを入れたもので、達成したい目標などを書きます。アチーブノートをつけることで過去の自分と今の自分を比べ、自分の成長に気づくことができ、生徒が元気になります。
今後はこのアチーブノートをデジタル化して、毎日つけていきたいと思っており、デジタル化の方法として、Studyplus for Schoolを使っていこうと思っています。記録をつけやすい状態を作り、生徒をもっと元気づけていきたいと思います。