「なぜやるのか」自ら考え、学習できる力を育てる|canspeak【Studyplus for School Award 2021】
Studyplus for School Award 2021とは、少子化・採用難・地域格差という社会課題が広がる中で、未来の教育の在り方・先生の新しい働き方に果敢に挑戦する教育機関を表彰するものです。
昨年に続き今年も、受賞校によるプレゼンテーションを含むイベントをオンラインで開催いたしました。その模様をnoteでもお伝えしていきます。
今回ご紹介するのは、自立指導部門で受賞された、canspeak(大阪府)の水江先生の回です。
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自分で考え行動する力を育む
当塾は大阪の東淀川にあり、英会話をメインとして5教科の指導を行っています。対象は、幼児から社会人です。授業体系は少人数制のグループで、学年ごとに区切り個別指導をしています。
指導方針は、「子どもたちの”生きるちから”を育む」「勉強を通じて子どもたちの”考えるちから”を鍛える」「”考”動」の3つです。
というのも、長年子ども達を指導する中で、受け身で、自分の考えややりたいことがなかなか言えない子が多いと感じました。これは、英語を教える上では非常にネックになります。だからこそ自分のやりたいことを自分で考え、宿題もただ与えられるのではなくなぜやらなくてはならないかを考えて行動できるようになってほしいと思い、こうした方針を定めました。
指導については、まず少人数授業を受けてもらいます。もともとは12名まででしたが、コロナ対策として今は8名までにしています。オンライン指導の場合は20名を超えることもあります。
次に、宿題と、それとは別に毎日課している英語の課題について、学習計画を立てます。以前はアナログで行っていましたが、今はStudyplus for Schoolのスケジュール機能を使って計画を立てています。アナログから脱却したことで、用紙をなくしたり忘れたりといった課題をクリアすることができました。
そして最後に、記録をつけて学習を振り返り、また授業を受けるという流れです。
学習記録を定着させるための2つのポイント
学習記録を定着させるためのポイントは2つあります。1つ目は、「型から入る」ことです。中学生は、自ら考え行動するのがまだ難しい年齢です。ある程度こちらで型を決めてあげることも大切になってきます。例えば、宿題に関しては「学習記録がついていなければ、宿題はやっていても忘れたとみなす」という少し厳しめのルールを作っています。
特にコロナ禍では、学習進度の遅れが生まれたことで、宿題の重要性が高まりました。そこで、宿題をやったらスライドのように写真を送ってもらい、私が丸付けと添削をして返すという流れにしました。この時には、送信と学習記録の記入をセットのルールにしました。
私からは、「いいね」を毎日つけ、記録の内容についてもコメントしています。例えば、「英語 2時間」という記録に対しては、「何のテキストを何ページやったの?」などフィードバックをしています。生徒によって、記録の粒度には差があります。
学習記録を定着させる2つ目のポイントは、記録をつける意味を繰り返し問うたり伝えたりすることです。ガイダンスでは具体的な使い方を説明し、1人に対して何回か説明するようにしています。授業では、みんなで一斉に記録をつける時間を作り、そこで「記録する意味は何だと思う?」と考えさせています。
私が思うStudyplus for Schoolで記録をつける大きな意味は、「自分で振り返りができる」ということです。何ができていて、何ができなかったのか、自分で理解することができます。また、時間の使い方がうまくなります。
宿題についてもただ出すのではなく、「宿題は、何のためにある?」と考えてもらっています。こういったことを、特に中学1年生が入塾した際には、繰り返し伝えています。
私は、フィードバックなどの作業を午前中にすることが多いのですが、生徒が塾にくる直前に記録がつくことも多いので、そのタイミングで改めてチェックしています。すると、朝は宿題の記録がついていなかったのに直前に書き込まれたことで、宿題をやっつけで慌ててやったということも分かります。そのような生徒には改めて、なぜ宿題をしないといけないかについて話します。
スケジュール機能から生徒の学習環境を把握する
スケジュール機能では、まず1週間分の計画をチェックし、予定とのズレを確認させます。そこで、内容が難しかったからなのか、部活動で忙しかったからなのか、面倒になったからなのかなどズレの原因をチェックし、どう改善したらいいかを確認しています。
ちなみに、当塾では、春休み中からStudyplus for Schoolのカレンダー機能を徹底的に練習させたことで、現在は問題なくこの機能を使うことができています。スマートフォンに使い慣れていない生徒には、初めは紙に書き、その内容をスケジュール機能に入力しながら慣れてもらいました。
一人ひとりに合った指導を通して記録づけを習慣化
Studyplus for Schoolを使った生徒への指導事例について紹介します。一人目の生徒は、中学校2年生で基本的にまじめですが、途中でガソリンが切れてしまうような子でした。出だしはいいものの、後半で予定通りにいかなくなってしまうことが多かったです。
これを解消するため、学校へ行く前にその日にやることを確認するという流れを作りました。また、1日にすごく勉強する日もあれば、何もやらない日もあったのですが、自分で考えてなるべくバランスよく進められるようになりました。
次に、中学校2年生の生徒の事例です。この生徒は、スケジュールにズレはなく計画通りに進めることができ、宿題を忘れることもありません。もし学習時間が少し伸びたり短くなったりしたら、それについても「早く終わったので、何々の復習しました」と書ける、珍しい生徒です。
最後に、中学校1年生の事例です。こちらの生徒は、入学してすぐに緊急事態宣言があり、中学校生活がどういったものなのかわからないままでした。そういった背景もあり、宿題をやらないことが多かったです。
そこで、Zoomを使って手取り足取り指導しました。他の生徒の記録を見せながら、やり方も一から教えました。それでもあいまいな記録しかなかったため、面談で「先週、自分が何の勉強をどのくらいしたかわかる?」と質問し、「わからないなら、記録をつけても意味がないよ」と説明しました。
また、「先生のためではなく、自分のために記録をつけるんだよ」と何度も言いました。繰り返し伝え続けたことで、今はしっかり記録をつけられるようになっています。
勉強のやり方を明確にし生徒の気持ちを楽に
Studyplus for Schoolを使うようになり、生徒たちは自分で予定とのズレや不足を意識し、調整できるようになってきました。また、塾に来る前に、慌てて宿題をこなす生徒が減っています。
デジタル化したことにより、「計画表の紙をなくした」「宿題をやったけど、どこに書いたかわからなくなった」というような言い訳ができなくなったこともメリットです。
私は、Studyplus for Schoolを使うことで生徒の成績向上に寄与するという実感が持てました。例えば、ある生徒は、得意教科は点が上がっていましたが、不得意教科は成績が伸び悩んでいました。そこで記録を見せ、得意科目ばかりやっている事実に気づかせ、勉強時間と成績の伸びが比例していることも説明しました。
その後、生徒はStudyplus for Schoolの機能を使いこなし、苦手な教科もバランスよく勉強するようになり、安定して得点を取ることができるようになりました。
その結果、当該生徒は、「勉強が楽になった」と言うようになりました。これは、勉強自体が楽になるということはなく、計画を立てることで自分ができない部分がわかりやすくなり、そこに集中できるという意味です。
実際に、手当たり次第に勉強することがなくなり、わからない部分を放っておくこともないため、成績も伸びています。成績に伸び悩んでいる生徒こそ、Studyplus for Schoolを利用することで自分の足りないところに気づくことができるようになると思っています。
家庭内コミュニケーションも増やせるツール
私は、生徒が失敗することは構わないと思っています。大切なのは、失敗した後に、どうしてダメだったのかを考え、もう一度チャレンジすることです。学習計画を立てることは、この考えて動く「”考”動」に繋がります。
最終的な目標は、塾がなくても自分で勉強できるようになることです。これは保護者にも入塾の際に話しており、そのためのツールとしてStudyplus for SchoolやLINEを使う必要があると説明します。
LINEの運用としては、生徒たちの記録が見返しやすくなるよう、塾から生徒の学習記録やテストの結果を送るだけにしており、保護者からのメッセージはご遠慮いただいています。
LINEでは、生徒が小テストを受けたらすぐに結果を送っています。保護者からすると、子どもは塾に行っているものの実際に何をしているかわからず不安になることも少なくないため、記録を送信することで見える化を実現しています。その他、アナリティクスは、月に1回、4週間分をまとめてコメント付きで送っています。
単語テストの結果は生徒には伝えず保護者にお送りし、生徒が帰宅してから合格したかどうだったかを伝えてもらっています。中学生にもなると保護者との会話を控える生徒も増えるため、コミュニケーションのきっかけになればと思っています。
Studyplus for Schoolを導入してから、いつでも生徒の学習内容を見て、どんな勉強をして、どこまで進んでいるのかが明確になりました。そして、何より保護者にも、生徒の頑張りを共有できるようになったことは大きな変化です。保護者からも、無駄に怒ったり「勉強しなさい」と言ったりすることがなくなり、楽になったとの声も増えてきました。
また、私の日々の業務も、とても楽になりました。生徒のスケジュール管理がタブレット一つでできますし、宿題の管理も簡単です。これからもStudyplus for Schoolを使いこなして、生徒指導に役立てていきたいと思います。