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オンライン指導を行って気づいた効果と学び|進学塾MUGEN【オンライン指導情報共有会】


新型コロナウィルスの感染拡大により、学習塾業界は教育サービスを提供できず、事業の継続が困難となるリスクが発生しています。これを防ぐために急速に高まっているのが、オンラインでの指導体制の整備の重要性です。

新型コロナウイルス感染拡大の深刻化、そしてオンライン指導に関する事例が少ないことを受けて、Studyplus for School導入校で既にオンライン指導に取り組まれている方々にご協力いただき、オンライン指導に関する情報共有会を開催しています。今回は進学塾MUGEN小牧先生・坂元先生にお話を伺いました。

進学塾MUGENについて

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小牧:進学塾MUGENの小牧です。今回は弊社の坂元良と、塾についてやオンライン指導についてご紹介します。私たちは鹿児島市でいくつかの塾を運営しています。役員2名と社員15名、非常勤講師が50名ほどおり、生徒は小1年から高3、既卒生までです。

私は18歳の時に学習塾でアルバイトを始めて、その後正社員になり、教室長や国語科の教科長などを務めました。30歳で九州・山口に展開する大手塾さんに転職して、教科長・教室長・学区長・エリア長・教務部長、取締役などを務めさせていただき、その塾が鹿児島と宮崎に進出するのにあわせて鹿児島に戻り、M&Aを受けて退職をした後に43歳で進学塾MUGENを創業したという経緯です。

現在、小中学部の塾は鹿児島市内で7校舎運営しています。それに加えて高等部のハイスクールMUGENが1校舎、通信制高校のサポート校であるMUGEN高等学院というものもあります。

私たちの企業理念は、「全ての人の、無限の可能性を引き出し、夢を実現する」です。そして「私たちは、全従業員とその家族の、物心両面の幸福を追求します」「私たちは、主体的で対話的な深い学びを追求します」「私たちは、まず自らが社会に貢献すると共に、社会に貢献する人々を育てます」という企業使命があります。

特に2番目の「主体的で対話的な深い学びを追求する」という理念が、今回のオンライン指導にも生きていると思います。

MUGENの創業は2008年、リーマンショックの年でした。2011年には東日本大震災があり、その後も日本は甚大な災害に次々に襲われてきた歴史があります。中でも特に東日本大震災の時は、「たとえ災害に襲われても従業員を守ること、生徒たちの指導を継続できることをとても大事にしなくてはいけない」「少なくとも1年は、収入がゼロでもやっていかなければいけない」と決心しました。それ以来、知識、情報・資金、人材・チームといった備えを経営の根幹に据えています。

コロナ禍を受けた対応

2月24日に北海道で緊急事態宣言が出されて、学校や塾に生徒が通えないという報道を目にしました。そこで経営会議を開き、鹿児島でも同じことが起きたらどうするかを検討しました。

27日に全国休校の要請が発表され、オンラインで指導を継続することを決断。翌朝から全社員を集めた緊急ミーティングを開きました。そこで決まったオンライン指導の方針は、単に動画を配信したり宿題を出したりするのではなく、勉強自体をサポートするんだということです。不安を抱えている生徒や保護者に安心を伝えて一緒に頑張ろうと決めました。

3日後に説明会を開くことにして、それまでに「オンライン指導のシステムとやり方を構築」「生徒保護者用の各種マニュアルを作るために、協力各社に連絡」「高校生まで入れると、600名ほどのためにオンライン授業用テキストの編集・印刷」「全ご家庭に説明会の開催を連絡」といったことを進めました。

3月2日、今後の指導に関する説明会を開きました。緊急開催にもかかわらず参加率は各校舎90%以上ということで、この数字が生徒と保護者の不安を現していると思います。3日からオンライン指導を開始して、93%の生徒がこちらを選び、残り7%は通塾を選びました。通塾を選ばれたご家庭は、デバイスやWi-Fiといった環境の問題があったと思います。

16日に改めてオンライン指導と通塾を選べる形にし、21日の春期講座からは原則として通塾、希望者のみオンライン対応にしました。4月6日から一学期講座が開校しましたが、ここも春季講座と同じ形です。

4月16日に全国に緊急事態宣言されたことを受け、17日に緊急社内ミーティングを開きました。通常授業は夜間にオンラインで対応し、朝サポというものを始めることにしました。これは小2から高3までの希望者に向けた、朝9時から午後3時は共に学ぼうという企画です。

内容としては、「朝の1コマ目は学校の宿題をみんなでやろう」など決めておいて、そこからはどういう勉強をしたいかによっていくつかのメニューから選びます。

実は朝サポは一日500円しかいただいていないので、経営的には見合っていません。ただ、3月の学校休校時に保護者から「朝から子どもと揉めた」「子どものことが気になって仕事が手に付かない」、生徒から「授業がないから昼夜逆転してしまう」という声が上がっていたので、それに応えるために始めたものです。とにかく塾としてサポートすることで、朝から気持ちよくスタートして良い1日にしましょうという計画でした。

22日の休校とともに朝サポを開始し、原則オンラインで希望者のみ通塾、25日から完全オンライン指導のみに移行しました。学校分散登校の検討が5月7日に発表されましたが、基本的には原則オンライン、希望者のみ通塾でやろうと思っています。

また、新しく入塾する生徒に関しては、来塾いただいて三密を防ぐ形で説明など行っています。やはり対面からスタートしないと、コンセプトなどなかなか伝わりません。その後、指導はオンラインでやるという形です。

オンライン指導で利用している機材とICTツール

坂元良:教務部長の坂元良です。私からは具体的な指導方法などについてご紹介します。

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まず機材についてですが、基本的にノートパソコンを使っています。ノートパソコンは画面が小さいのでプロジェクターとつなげることが多いです。質問対応には、コメントを書き込めるペンとタブレットがあると便利だと思います。

生徒が利用している教材は、ウイングネット、atama+、SRJのみんなの速読・速読英語・TERRACEなど。そして、ZoomStudyplus for Schoolをすごく活用しています。塾のノートパソコンでホスト機能を持つ者がZoomとStudyplus for Schoolを起動しておいて、ホスト以外の講師はiPadを使ってStudyplusのコメントをやり取りします。

プロジェクターにStudyplus for Schoolの画面を出して、ノートパソコンではZoomの画面を出すという使い方が多いです。まだ工夫している途中になので、これから変わっていくこともあるかと思います。

小牧:Studyplusはもともと高校生に導入していましたが、4月からは小中学生にも使ってもらおうと考えていました。しかしコロナが拡大し始めた頃に、Studyplus for Schoolを無料で全員に開放すると宣言があったので、もう3月から一気にやるぞと。担当の池上さんに早朝から深夜までやり取りしていただいて、こんなに一緒になってやってくれるんだと非常にありがたく思いました。

高校生の記入率はもともと高かったのですが、オンライン指導を始めてからの方が上がりました。また、学習時間も伸びています。

中学生はコロナ禍以降に導入したのですが、記録よりもコミュニケーションメインで使っています。学習計画を立てて常に記入する形にすると、デバイス依存のきっかけになってしまうのではと危惧しているんです。特に小中学生はまだ保護者の監督下でスマホを使っていることも多いので、授業中の使用に限定しています。

坂元良:現在、生徒が解いたプリントは、写真で撮ってもらってStudyplusで送ってもらっています。それをこちらで内容確認して、アドバイスや承認をして返却するという流れです。複数枚送ると確認に時間がかかるので、生徒にはできるだけ一枚ずつ送るよう伝えています。

それでも時間帯によっては非常に多くのプリントが一度に来るので、時間がかかることもあるんです。そこはちょっと対応を検討しないといけない部分です。

オンライン指導の具体的な内容

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私たち進学塾MUGENで、常に大事にしている言葉が4つあります。オンラインに変わってからも、この基本をしっかり続けて行こうと意識しました。

オンライン指導で特に大切なことは、リアルタイム性です。生徒からの質問や相談に先生たちが瞬間的に対応して、頑張りを承認したり勇気づけたりできるシステムを作りたいと思いました。

オンライン指導は7校舎で行っているのですが、校舎ごとではなくいくつかまとめて一つのチームを作っています。これによって人件費などのコスト削減ができますし、力のある先生がリードができる上、人数の少ない校舎や学年にも細やかに対応できます。

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こちらは現在のオンライン指導の時間割です。学年ごと入る時間帯を決めることで、場の効果を最大限に引き出すことが可能です。また共通の話が生まれやすいですし、一緒に過去問を解いてみんなで競争もできます。こちらとしても教務的な内容を指導しやすいというメリットがあります。

オンライン指導で注意していること

オンライン指導では、画面上では生徒が一人で勉強しているように見えても、すぐ横には保護者がいます。だから呼び捨てをせず「さん」付けをしたり、言葉遣いにも気を付けようということを社内で統一しています。

次に、大人しい生徒への配慮について。Zoomの画面上ではたくさんの人がいて話すのが恥ずかしいと思われることもあるので、ブレイクアウトセッションなどを利用しながら対応しています。

質問しやすい雰囲気を作ることも重要です。生徒が困っていることをちゃんと言える環境を作れるかが、オンライン指導の大切な部分。画面上で伝えることもできますし、Studyplus のメッセージやZoomのチャットも使って質問を送ってと、毎時間伝えるようにしてます。

最後に、とにかくリアルな教室と同じ環境だと思ってもらえるようにしています。

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リアルな教室と近づけるため、生徒の頑張りを承認できるようにいいねとコメントのつけ忘れは注意しています。また、生徒が送ってくれた記録は隅から隅まで見て、間違った丸付けをしているところをチェックするのも大切。間違いを見つけた時はZoomで指摘するので、「2番が違うよ」と言うのではなく、「この問題もう一回、模範回答と見比べてごらん」というように、生徒のプライドを傷つけないように気を付けています。

コメント機能もよく利用していて、「英語の単語覚えるまで書いて、よく頑張ったね」と、具体的に頑張りを承認して、勇気づけするのがポイントです。

Zoomでもいくつか工夫している点があります。一つ目は、授業の管理者はとにかく明るくいこうということ。明るく話すのはもちろん、物理的な明るさも非常に大切なので、ビューティーライトなど使って表情を明るく見せています。

二つ目が、授業中カメラをONにして、みんなと一緒にやっているという雰囲気を作ることです。頑張ってる生徒にはスポットライト機能で、「付箋を貼ってやり直しをしてるよ」「辞書調べたら付箋貼ってるよ」など共有します。

授業終了時にはミュートを外して、みんなで「今日も頑張った!みんなに拍手」と拍手で終わるようにしてます。最後に、休み時間から授業に切り替える時、チャット機能を使って「好きなYoutuberは誰?」とか、授業に関係ない話でとにかく盛り上げていくんです。

三つめが、共有の方法です。Zoomには画面共有機能がありますが、それを使わず紙芝居型で共有しています。こちらについては、坂元志穂からご説明します。

坂元志穂:人材/開発事業部長の坂元志穂です。紙芝居型の共有について私からご紹介します。オンライン指導ではZoomの準備に時間がかかって時間差で部屋に入ってくる生徒もいるので、そういう生徒に今何をしている時間かを伝える必要があります。

そういう時に紙を見せて、理解してもらうという形です。こちらの画像の、上の写真に現物が映っています。

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手書きだから簡単に増やせるので、どんなパターンにも対応できるように色々と揃えています。授業の最初だけではなく、みんなが集中している時に承認のコメントを出しておくと、それに気づいた生徒がニヤっと笑ってくれることもありますね。

小牧:画面共有すればきれいはきれいなんですが、心が伝わらない部分もあると思います。こういうやり方をした方が温かさが伝わるから、そこが大事かなと。

坂元志穂:日ごろ塾で行っていたコミュニケーションをどうオンラインでやっていくかを考えた結果でもあります。それに、パワーポイントは見せたいスライドだけではなく、余計なスライドも見えてしまいがちです。無駄な情報が多いと生徒も集中力を保ちにくいので、紙の方がある意味楽ですね。

オンライン指導で見えてきたこと

小牧:オンライン指導を始める前、生徒と保護者に期待度を5段階評価で伺いました。その結果、最も多かったのは星3つ、つまり普通くらいというレベルですね。星1つと2つの割合は合計10%あって、一割の方は全然期待していなかったということになります。そして実際にやってみた結果がこちらです。

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星1つと2つの方は半分の5%になりました。理由も指導内容というよりは、デバイスがうまく使えないというようなものが多かったです。そして高評価が増えて全体の7割が星4~5つになりました。

特に移動時間がかからない点が気に入っていただけているようですが、これは見方を変えると自粛期間が終わった後に、移動という体力的・時間的・物理的なコストを払ってでも通いたくなる塾かどうかが問われるということだと思います。

その他にも、オンライン指導の良かった点をたくさん挙げていただきました。オンライン指導において普段のMUGENを再現するという狙いは、ほぼ果たせたと思います。

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朝サポも評価が高く、95%の人が星5つをつけてくれました。実は朝サポは、入社1年の先生と入社1ヵ月の先生が担当していたんです。2人が交互にシフトしていたのですが、先生の成長にもつながったと思います。

ここで、オンライン指導を始めてからうちの講師が書いたブログをご紹介します。

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オンライン指導と社会人基礎力

オンライン指導をするうえで、いわゆる社会人基礎力と呼ばれているようなものはすごく大切だと思います。

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「前に踏み出す力」として、主体性・働きかけ力・実行力。「考え抜く力」として、課題発見力・計画力・創造力。「チームで働く力」として、発信力・傾聴力・柔軟性・情況把握力・規律性・ストレスコントロール力。

正解のない世界を生きる生徒達には、こういったスキルが重要になるのではないでしょうか。だからこそ、私たちはこうした力を追求しています。今こそ大人が手本になって、こうした姿勢を示すべきだと思います。