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コロナ過における塾業界とこれからの教育に必要な3つの力|基調講演【EDX EXPO】

新型コロナウイルス感染拡大を受けて、あらゆる産業でアナログからデジタルへの転換、サービスのあり方・働き方の見直しが迫られています。教育業界においても、少子化、採用難、地域格差、そして、新型コロナウイルス感染拡大と社会課題が広がる中で、未来の教育のあり方・先生の新しい働き方の模索が加速しています。

Studyplus for Schoolでは、教育(Education)とデジタルトランスフォーメーション(Degital Transformation※略称DX)をかけあわせた「EDX」を標語に、未来の教育の在り方・先生の新しい働き方に挑戦する教育事業者を広く発信する取り組みを行っています。

そして、この度、未来の教育のあり方・先生の新しい働き方を語る上で外せない、デジタル教材のオンライン展示会を開催することになりました。今回は基調講演として、弊社取締役COOの宮坂と、全国学習塾協会会長の安藤先生(以下敬称略)にお話をお伺いします。


コロナ過における塾業界と政府側の意向

宮坂:EDX EXPOでは通常、様々なICTツールを開発する企業の方と、それを導入している塾の先生方にお話を伺っていますが、今回は基調講演ということで、全国学習塾協会の安藤会長と、弊社取締役COOの宮坂よりプレゼンテーションをさせていただきます。

安藤:公益社団法人全国学習塾協会会長の安藤です。
まずは私から、塾業界におけるコロナ禍について振り返らせていただきます。
まず、2月末に学校休校がニュースで取り上げられ、その後経済産業省から自粛に対する要望を受けました。こちらからは、最終的に自粛するかどうかを判断するのは、それぞれの事業者であるとお伝えしましたが、結果、状況を鑑みて3月2日から約2週間ほど自粛される塾は多かったと思います。

その後、省庁から3月16日以降の自粛の可能性を打診されました。私からは2回目の自粛は事業者判断とはいえ現実的に難しいのではないかとお答えし、実際に3月16日から多くの塾が対策を講じつつ再開していきました。

4月以降、全国学習塾協会として、経済産業省、安倍前総理、民間教育推進議員連盟などに金融支援や財政支援について要望を出していきました。5月からは、家賃補助に関しての要望も出しています。こうした流れの中で、官邸も国策として、教育のオンライン化を進めていきたいのだろうという強い方針が感じられました。

オンライン化で求められる自律力

安藤:一方で現場を振り返ると、それぞれの塾でZoomや動画授業の教材など多くのツールを使われていたと思います。ただし、オンラインでの教育はやればやるほど、自らを律する力が非常に試されることがわかりました。生徒や講師が個としてありながら、離れた場所でどう繋がり、そしてどう律していくか。自律力が必要だと感じた方は、多いのではないでしょうか。

もし本当にオンライン指導だけでいいのであれば、通信教材だけでよいのかもしれません。しかし通信教材が生まれてから数十年経った今でも対面式が中心にあったことから、やはり一人では頑張れない部分もあるのではないかと考えます。そういう意味でも、オンラインがこれから拡大していく裏で、それぞれが自分を律する力を維持できるかどうかが不安としてあると思います。

動画授業についても疑問があります。偏差値65以上の生徒たちは有名講師の動画を好む傾向がありますが、多くの生徒にとっては、よく知っていて自分の名前も覚えてもらっている先生との、インタラクティブな授業を望む傾向があります。

これも自律力と関連しており、つまり身近な人からの励ましや勇気づけがあって、始めてオンラインでも頑張れるわけです。こうした人とのつながりは、オンライン化が進んでも大切になると思います。

そういう意味では、Studyplusがカバーする面は大きいでしょう。オンラインが進めば進むほど生徒の自律力をどう維持していくか、講師がそれをどうサポートしていくかがサービスとして求められます。そういうシーンで、Studyplusによるサポートは大きな役割を果たします。

また学校教育のオンライン化は、義務教育課程という平等に教育を提供しなくてはならない中で、貧困や脆弱なネット環境しか用意できない家庭への手厚い福祉が求められていくでしょう。そのように公教育の教育福祉的な色が濃くなると、民間教育は教育の本領、つまりより深く探究していくような部分に光が当たるだろうと思います。

予測できない未来を生き抜くための自己肯定感

宮坂:次に私からお話をさせていただきますが、まずは改めて自己紹介をいたします。私は現在弊社取締役COOという立場で、Studyplus for Schoolの責任者を務めております。大学時代は早慶外語ゼミという予備校で大学受験の英語の集団講師をしていました。

当時スマートフォンが普及し始めようとしていた頃で、これから子どもたちにもそういったデバイスが広がり、いよいよ教育にITが入っていくかもしれないという可能性を感じました。そこで、いずれ教育×ITに挑戦したいという思いで、後に史上最年少上場を実現したリブセンスというベンチャー企業に入社し、新規事業に携わりながら史上最年少上場を体験しました。その後、食べログに転職し、ネット予約事業の責任者などを務めておりました。そして3年前にスタディプラスに入社したという経緯です。

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ではここから本題に入らせていただきます。AIが現れてから、15年後には今の仕事の約半分が消滅するとか、9割の仕事は機械に置き換えられるというような話が出てきています。つまり、今の子どもたちは、私たちが体験してきた標準的な人生モデルというのを追求できません。

そして学習塾の未来を考えると、少子化が進めば進むほど、集団指導クラスを成立させるだけの塾生が集まりにくくなったり、求人倍率が高くなって個別指導を行うに足る講師の確保が難しくなったりという問題が出てきます。

これは塾コンサルタントとして著名な小林先生の記事からの引用ですが、自立指導は近い将来、集団指導や個別指導と並ぶ塾業界の大きな柱になるという予測も出ております。いずれにせよ、子どもたちも学習塾も変化しなければならない局面に来ていると、皆さんも肌で感じていらっしゃるのではないでしょうか。
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そういう中で未来の教育を考えた時、「人間とAI」は一つのテーマとしてあります。その中で最もバランス感があると感じた考え方が、こちらの画像にあるものです。

これは例えば、回転寿司をイメージすると分かりやすいでしょう。もともと寿司を握るという行為は人間がやっていて、そこにはノウハウややりがい、成長がありました、しかし、寿司を握るところは機械化されてしまいました。今、回転寿司で人間が何をやっているかというと、テーブルへの案内など機械のすき間を埋めることです。

これを大袈裟に表現すると、「そこにはノウハウなどほぼなく、やりがいも成長も見出すことはできない。ただ決められた時間だけそこで働き帰るだけ、という生活になってしまうのではないか」となるわけです。ユートピアではなくディストピアなのではという考えを記事で見かけて、もしかしたらそういう未来もあるのかもしれないと感じました。
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経産省のプロジェクトで「未来の教室」というものがありますが、上記画像のような考えが書かれています。「変化の激しい社会において、個人が責任を伴う『自由』を手に入れて幸せに生きるには」とありますが、この考えは先ほどのものとは真逆です。個人が責任を持って、自由を手に入れて幸せに生きると。

そのためには「自分なりの問いを立てて、自分のやり方で、自分なりの答えにたどり着く探究力」が必要」とあり、この考えに共感しました。

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他にも様々な理論が提唱されています。これはスタンフォード大学の教授が提案したキャリア理論です。私も10年前に、今この仕事をしていたと想像もしていなかったので、個人的にも当てはまると思います。そういう予測できない未来においては、今目の前にある出会いや出来事をベースに、自分のキャリアをどんどん良いものにしていくべきではないのかという理論です。

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この理論には、5つの行動指針があります。これを見て私は、この行動指針は自己肯定感があることが前提なのではないかと感じます。例えば自己肯定感がないと冒険しようと思いませんし、挑戦もできません。個人的な経験でも、自己肯定感がないと意見対立があった時、自分の意見が否定されることをネガティブに感じてしまい、相手の意見を立てられないと感じたこともありました。なので、自己肯定感がより大切になっていくのではないかと考えます。

2種類のスピード感:ベロシティとアジリティ

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宮坂:不確実な未来を生き抜く中では、実際に試さなければ分からないことが多くあります。だからPDCAを短期間にどれだけたくさん回していって、やればやるほど正解に近づいていくと思います。そういう意味ではスピード感がこれから大切になるのではないでしょうか。

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スピードには2種類あります。いかにトップスピードを速められるかというベロシティと、方向転換までの速度を示すアジリティの2つです。

ベロシティはトップスピードの速さのことなので、限られた時間内にこれしか進めない人と、こんなに進める人がいるという違いが生まれます。アジリティでは、スタートからゴールに行く時、かなり紆余曲折する人もいれば、早く問題に気づいて修正して最短で答えに辿り着ける人もいるという違いがあります。

私はこれまでのキャリアで新規事業を立ち上げたことが多くありますが、事業を作るとき、答えが分からないのでたくさん失敗します。間違った方向に行くことも多いので、そういう意味ではアジリティの方が求められます。その後、事業が上手くいきそうで、あとは頑張ってやっていこうという段階では、ベロシティが求められます。
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何かサービスを作るとき、まずは作ってから考えようということになります。実際にやってみても、結果的にこの事業が成立するのかどうか分からないということが時々あります。これは検証基準が曖昧なのが原因で、あらかじめどうやったら上手くいっているかという定義ができていないためです。

しかし本来はBuild-Measure-Learnといって、構築して、計測して、学習していくというサイクルが必要です。何を検証すれば事業が成立するかどうかわかって、そのためにはどんなデータが必要で、どうすればそのデータが集められるかと逆算するのは、事業を作る時の鉄則となります。

この話は勉強にも通じるところあるのではないでしょうか。ただ漠然と勉強を始めるよりも、志望校はどこか決めて、そこから逆算して勉強を始めた方が効率的ですよね。


検証基準を明確化し課題を整理する
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宮坂:事業の話に戻ると、まず何を検証すれば事業やサービスが成立するかを決められるか考えることが大切です。そこで使えるのが、こちらのリーンキャンバスというビジネスモデルを考えるシート。以前、安藤先生の教室で起業家講座を共同運営したことがありまして、小学生から高校生まで幅広くご参加いただいたのですが、その時も生徒にはこちらのリーンキャンバスを作ってもらいました。

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実際に3年前にStudyplus for Schoolを立ち上げる際に作成したリーンキャンバスがこちらです。当時、Study」plus for Schoolはなかなか上手くいっていませんでした。そんな時に私が入社して、Studyplus for Schoolはどういう要素が揃えば成立するんだろうとまとめていきました。宮坂EDXEXPO.pptx-25

目標設定においては、SMARTというフレームワークを利用して、どういった目標を達成すべきかあらかじめ決めておきました。これは勉強も同じで、志望校に受かるためには、いつまでにそのくらい達成しなくてはならなくて、その過程の進捗はこの数字で分かるというように考えられます。


ただし何か一つ作ろうとすると3か月くらいかかり、その分検証を始めるまで時間が空きます。それに、一度作ったものをまた作り直すのにまた3か月かかることにもなるので、できるだけクイックに検証することが大切です。
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製品やサービスをできるだけ作らずに、仮説を試すというフレームワークも世の中にたくさんあります。例えば対象となるターゲット顧客にインタビューしたり、競合がすでにいるならそこの営業を実際にやってみて、こういう理由で使われないのかということを知るというやり方があります。こういった形で、できるだけ簡単にチェックするのもひとつのポイントです。

Studyplus for Schoolも一度開発をはじめると2~3か月はかかります。これをクイックに検証するため、ペーパープロトタイプをパワーポイントで作りました。
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こういった画面イメージを作って、パワーポイントを繋げて紙芝居のようにしました。あたかも実際に動いているように見えるものを作り、EDIXという展示会で披露して「これは売れるのかどうか」と検証したんです。プログラミングやデザインができなくても、こういうものを作って試すことは可能だと思います。
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インタビューも行いました。「今、学習管理しているか」「しているなら、Studyplus for Schoolを使いたいと思うか」などヒアリングを重ねて、何がStudyplus for Schoolの課題なのか整理しました。

機能が足りないのであれば、すぐに解決機能を加えれば買ってもらえるのか。やろうと思っても忙しくてシステムに触れないのか。学習管理を紙でやっていて問題がないからいらないのか。システムを作る前から課題を整理できました。
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次に、ベロシティについて。不確実性が高いIT業界においては、2日間考えて丁寧にやるよりも、1日で考えて2日で2件の施策をやる方が成功確率は高いと思われています。どうせ失敗するなら最速で失敗しようということで、企画と実行と検証というのをとにかくスピーディーにやります。細かい所まで作り込まず、上手くいったことだけ丁寧に作る姿勢が大切です。
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Studyplus for Schoolもスピード重視でやっていることがたくさんあり、企画書もないまま実行された施策は上記の通りです。先日、コロナで小中高一斉休校になったときにStudyplus for Schoolを無償提供したのも企画書がなく進めた案件ですし、電子書籍の配布や今回の展示会も「これをやったら先生も喜んでくれるよね」という思いで、まずはやってみようと着手しました。

平均値の教育と最大値の教育で伸ばす
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これまでの話をまとめると、不確実な未来で子どもたちが生きる上では、「自己肯定感」「ベロシティ」「アジリティ」の3つの力が必要だと思います。

まずは自己肯定感を持って、何か試してみようとか、相手の意見も尊重してやってみようと思うこと。そして始めた後に方向転換しやすくするために、目標設定して、すぐにチェック・方向修正すること。最後に、どんどんやってみようと思う精神。これらが大切なのではないでしょうか。

これからの教育を考える時、「平均値の教育」と「最大値の教育」の2つが大切だと思います。平均値の教育とはいわゆる落ちこぼれを出さないためのもの。義務教育は公教育して平均的に全員が高い理解度を積み重ねるものだと思います。ただ、学校の集団授業は画一的で、個別最適化できているとは言えず、結局落ちこぼれてしまう生徒も出てきます。

最大値の教育というのはこれと逆で、いわば吹きこぼれを出さないものです。可能性があって意欲がある生徒を、画一的なカリキュラムで教育しているともったいないという話があります。どんどん挑戦したい生徒には、画一的なスケジュールではなく次々チャレンジさせることが最大値の教育だと思います。

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この2つの観点から、私の方で様々な教材やサービスを整理してみました。自分のことを振り返ってみると、私は中高一貫の中学校を受験して、チャレンジ校にギリギリで合格。入ってみたら周りは自分よりも頭が良い人ばかりで、6年間落ちこぼれでした。だから中高時代は暗黒時代で、一瞬勉強を頑張ることはあっても、結局追いつけなくてどんどん自己肯定感も下がるばかり。将来の夢を考えることもなく、とりあえず大学に行けばいいというマインドで過ごしてしまって、今思うととてももったいなかったです。

私の学校では一度追いつけなくなったら追いつけないままだったので、もしこういった映像授業などがあれば、もっと違ったのかなと思うこともあります。表の左側に記載しているものは定期テスト対策などを中心に、きちんと自分の理解に合わせて進められていけるので、平均値の教育的に見て良い教材だと思っています。

それぞれの教材会社の方のプレゼンを聞いていると、学校の進度よりも早めに予習として受けていることが多いです。私は学校の授業を聞いていても分からなかったので真面目に受けていなかったのですが、たまに分かっていると楽しかった思い出があります。学校の授業は朝9時から夕方15時くらいまで受けるので、中高6年間という可能性を秘めた期間に毎日6時間を無為に過ごすのはとても残念なことです。だから塾で予習してきちんと理解した上で学校に送り出すのはすごく価値があると思います。

最大値の教育についても、例えばベリタス・アカデミーやテラトークなど、やろうと思えば自分でどんどん先に進める教材です。ユニバーハイスクールさんでは高校1年生の頃からベリタス・アカデミーを観て、高校2年生の序盤ではもう受験対応のところまで終わっているという生徒もいました。

京大個別会原町本校さんでも、定期テスト対策のコースと受験に特化したコースがあり、キャリアや自分の夢が定まっている生徒ほど、受験対策の方にスライドしていくという話を伺いました。そういう意味でも中学・高校部門はより高い次元で挑戦するために必要な教材だと思います。

先生の役割はティーチングからコーチングへ
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最後のまとめです。様々な事情がある中で、一人の先生・一つの教室であらゆることに対応するのは難しくなってきています。そういう意味でEdTechの活用というのは避けられません。

多くのサービスやデジタル教材を使っていくと、先生の役割はティーチングから、教材を利用して自己肯定感・アジリティ・ベロシティを育むというコーチングにシフトするのかもしれないと感じています。

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