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コロナの影響を受けてターニングポイントにある塾業界は今後どう変わっていくべきか|ALCS小川先生【オンライン指導情報共有会】

はじめに

まず自己紹介させていただきます。私はもともと首都圏の大手の塾で、全体の業務の責任者をずっとやっていました。校舎数的には、色々なブランドある中それらをひっくるめると100校舎ぐらいになると思います。それから、高校部の責任者もやりつつ、その中で新しく新しい高校部のブランド立ち上げもやったりしていました。

講師としてはもともとライブで、大学受験中心に、高校受験の早慶レベルも四半世紀ほどずっと教えていました。そして去年の1月に円満に独立しました。

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私が今やっているものは二つです。どちらもポイントは『look forward』、前を向いてやっていこうぜというのがコンセプトです。

1つが「大学受験のALCS」というもの。こちら埼玉県の加須市と熊谷市の2ヶ所でやってます。もう1つが、去年の終わりに「全国の学習塾、特に大手じゃないところが力を合わせて塾業界やっていこう」という意味を込めて社団法人を作りました。

ALCSとは?

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ALCSは「みんなが前向きに成長できる場所をつくろう」というコンセプトのもと、それを全ての軸に、本当にスタッフも含めて前向きにやっていける場所をつくりたいなあと思っています。ですので予備校とはまた一風変わっています。こたつがあったり、ちょっと不思議な感じの空間です。

ALCSは、大学受験部門だけでなく、FCとしてもコンセプトを共有して全国に少し広げております。

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予備校とは違い、ターゲットは、メインが大学受験をゴリゴリやる1個手前ぐらいの子達、それから真ん中くらいの子たちですね。「1人じゃなかなか勉強ができない」「家では進められない」「受験勉強ってどうすればいいの」というような子たちって本当にたくさんいますよね。そういった子達が、前向きに勉強できる場所を作りたいと思ってやっています。

ポイントとしては、我々は「サポート」に徹するという形をとっていることです。

私は元々ライブ授業で難関校レベルも教えていたり、ある意味ゴリゴリ指導していた側の人間ではあるんですけれども、本当に頑張って頑張って受かる子が大勢いるのももちろん、どうしても、燃え尽きてしまう子が出てくるんですね。

たくさん宿題を出したり、ひたすら勉強をさせて、瞬間的に成績を上げることはそんなに難しくないと思います。ただそうすると、受験が人生のゴールになってしまって、「もういいかな」となってしまう子も多くいる。だからこそ、私たちは「生徒が前を向いてやっていけるように」サポートする、というのを我々のコンセプトにしています。


塾のスタイルとしては、通い放題です。ですので本当にいつでも通える「第二の勉強部屋」みたいな感じですね。校舎の雰囲気もできるだけ明るく楽しく面白くして、生徒が来たいなっていう場所にしようと心がけています。

ALCSのシステム

勉強内容は映像授業を使っていて、人の役割はモチベーションアップだったり、学習時間が増やせるように持っていくということに努めています。

システムとしては、「通い放題」「映像授業」「週1回チュータリング」が中心です。チュータリングとは面談のことで、週1回曜日と時間を決めて、必ず行っています。

「映像授業」のいいところはいつでも受講できることです。「通い放題」のいいところはもちろんいつでも行けるというところなんですが、裏を返せば「いつでもできるから今日はいいかな」といった言い訳にも繋がってしまう部分があるので、「チュータリング」の枠だけは、あえて面倒くさい枠として固定していて、「ここだけはちゃんと塾に来なさいよ」ということですね。

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Studyplusを使っておりまして、あとで詳しく説明しますが、これが塾運営のプラットホームになってます。

映像授業に関しては、ウィングネットと市進さんのものを使っております。映像授業とひとくちにいっても何種類かあります。ひとつはカリキュラムになっていて体系だっているもの。もうひとつは辞書的な形で、スポットスポットに色々な講座があるもの。

うちは、基本的に現役生、公立高校の大学受験生が多く、学校のスピードが遅いので、カリキュラム型のものを選んでやっています。

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料金体系はこんな形です。元々の経験として、後出しで料金が増えていったりというのが塾ではよくあると思うんですが、それが良くないなと思っていたので、全部シンプルにして出しています

毎週必ず実施するチュータリング

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チュータリングについては、先ほども話しましたが曜日固定で週1回30分、月4回絶対にやります。チューターは担任制にして、この生徒にはこのチューターというのを決めています。チューターは全員学生で、卒業生ばかりですね。

やっている内容は、Studyplusを活用して学習管理中心ではあるんですが、管理と言っても実際は「承認してあげる」「一緒に走ってあげる・伴走してあげる」というイメージです。ですので、私が生徒ごとに組んだ年間学習プランをチューターに渡して、チューターと生徒がある意味協力して、週の計画を立てて「じゃあ今週ここまでやろうか」という風に進めていくような感じです。

それから、チュータリングではStudyplus for Schoolのカルテ機能をフル活用しており、チュータリングの内容を毎回記入してもらっています。

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次にStudyplus for Schoolの話です。うちではStudyplus for Schoolを生徒の学習管理、そして校舎運営のプラットフォームとして活用しています。

「生徒の学習管理」という点でいうと、「管理」という印象が強いと思うんですが、実は管理ツールというより承認ツールだと思っています。「生徒がいつどんなことを頑張ったのか」をStudyplusで見える形にして、我々やチューターがそれを拾って褒めてあげる、認めてあげるということをしています。

そして、もうひとつ校舎運営のプラットフォームですね。生徒の学習管理以上に、私としては助かっていて、スタッフ間での情報共有ツールとして使っています。

実は今社員としては私1人で、熊谷と加須、30キロぐらい離れた2校舎を回しています。他のスタッフは全員大学生です。ですので、どうしてもその全員と頻繁に会うことが難しいので、情報の共有というのがすごい課題になります。

昔は紙で情報共有をしていたんですが、校舎に行って全員分の生徒のカルテを引っ張り出してきて、今週こうだったなというのを全て見て、その担当者と連絡をしてっていうだけで莫大な時間がかかるんですね。

それが今このStudyplus for Schoolに全部情報を集約してますので、どこからでも誰でも状態が分かる。だから、自分が担当してない生徒のチュータリングの様子も分かる。それを見てチューターはチューターで学んでいくっていうような感じでしょうか。

それから、生徒との連絡も全部これでやっています。まさに、校舎運営のプラットフォームですね

長い経験の中から編み出した大事にしていること


ここで一度大切にしていることをまとめたいと思います。

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私は、今まで経歴的に大手のたくさんの校舎に指示を出す立ち回りをやっていたんですね。塾の先生って、生徒のためにできることをあれもこれもやってあげようと、どんどん積み重なってしまうと思うんですよ。

良かれと思ってやっていることでも、どんどん複雑になってしまって、生徒にとっては実は面倒くさくて長続きしないとか、複雑すぎて塾長はできるけど他のスタッフにはやらせられないとか。そう言った経験から、いかに複雑さをなくすか、を大事にしています。

それから繰り返しですが、生徒もスタッフも全員が前向きに取り組めるかどうか。同じことを同じ時間にやるとしても、「うわ、これやらないと怒られるからやらなきゃ」というテンションなのか、「よしこれをこう頑張って志望校にいきたいな」という前向きなテンションかで効果も違うでしょうし、その先は全然変わってくると思っています。

あと、継続性ですね。一番目の複雑さとつながるんですが、続けてやっていかないといけない。続けるためにはシンプルにしなきゃいけない、ストレスを減らさなきゃいけないと思っています。

例えば、塾長1人ですべてを賭けてやれば、それはそれでいけなくないと思いますし素晴らしいと思います。でももし誰か人を使うとなった場合、その人が擦り減らないような仕組みにしなきゃいけないということですね。

最後がマージンですね。余白というか余裕というか。何かを組むにしても、マージンは取るようにしてます。全部マニュアルでガチガチにすると、何も考えずそれを追っかけるだけになってしまう人が出てきますよね。やはり工場のライン作業ではないので、相手は生徒・人ですし、実践する人たちに考える余地だったりとか余裕を作ってあげなきゃいけないと思ってます。

ですので、例えば先ほどのチュータリングに関しても、30分の枠、マニュアルとかも昔はなんか色々作りました、でも今はとてもシンプルで、「先週生徒たちがやったことを一緒に確認して認めてあげてください。褒めげあげてください。来週こうやろうよっていう約束をしましょう。」以上です。

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コロナ禍におけるALCSの変化


元々コロナを想定していたわけではないですが、人に依存しないモデルを作ってきたので、想定内ではありました。

ウィングネットも自宅で受講ができなかったのですが、今はコロナ対応で自宅で受講できるようになっています。スタッフ間のミーティングは全部ZOOMに切り替えています。Studyplus for Schoolを導入していたおかげで、生徒とのコミュニケーションは全く問題がないですし、なんならこういうモードになってから逆に増えています。

ただ、うちはやはり校舎がみんなの居場所になっているので、入塾の経路は友人紹介が多いんですね。そうなった時に、学校が機能していないと生徒たちがお互いに顔を合わせることもないので、そう言った紹介の入塾が減ってしまいます。運営は大丈夫なのですが、その新規の入塾に関してはイタイですね。

学習塾は次のステージへ


コロナの影響を受けて、塾業界でもオンラインというのが本当に注目されました。でも、これは急に湧いてきたものではなく、もともとの既定路線で、塾業界はそちらに向かっていたんだと思います。

平安時代に塾のようなものができてから、塾の歴史というのはとても長いと思うんです。それからずっと人が人にものを教えてきました。そして15年前くらいまでは、塾1つの校舎に何百人物生徒が当たり前に通って、本当に塾がいい時代でした。

しかしその後子どもが減ってきていて、今ではもう後何十年かしたら子どもが半分になるだろうとも言われています。そんな中で、人が人を教えるという形で1000年以上続いてきたこの塾という文化の変わり目が、今来ていると思っています。

その大きな要因が、インターネットの普及、そしてスマホの普及です。今までは本当に人の力というのがとっても大事で、全ての役割を人が担って来ました。

例えば、1人の先生が、集団授業をしながら生徒1人ひとりのケアもして、学習管理もしながらモチベーションコントロールもしていたと思うんです。だからこそ物凄いスキルが必要でした。今ももちろんすごい先生がたくさんいますが、間違いなくそういう人は減ってきていると思います。

一昔前はアルバイト講師もいっぱいいましたよね。昔からやっている先生なら分かると思うんですが、大学あるだろ、という時間になぜか塾にいて、授業終わっても3時ぐらいまで帰らない、みたいなアルバイト講師っていましたよね。そういう先生も少なくなっていると思います。

そうなってくると、人への依存というのを切り替えていかなければいけないんだろうと思います。そこで今、今までなかったICTというツールが出てきています。

先ほどお話しましたが、私は今1人で2校舎回している状態です。各校舎には週1,2回ずつしか行ってないです。それでもしっかりと校舎が回って生徒が勉強して、受験もそこそこ受かっております。この塾を作ったのも、スペシャリストに頼らないモデルを作らなければいけないと思ったからです。


アフターコロナの塾業界で大切なこと


今こういった状況の中で、多くの塾で「ZOOMの双方向授業に対応しなくては。」と必死に方法を探っている先生がたくさんいらっしゃると思います。私が知っている大手の塾でも、全部の授業を教室からオンライン配信にするという風に一気に切り替えているところもあります。

今であれば、「こういう非常事態に塾がすぐ対応してくれた」「家でも受講できるなんてすごい」となかなかいい評価だと思うんですが、これももう少しすると上手くいくところと行かないところの差が出てくると思います。

要因として大きいのは、ライブの劣化版になってしまうこと。例えば、塾長がすごいスキルを持っていたりしたら、ライブと同じようにあるいはそれ以上に生徒たちからコメントを息出せるなどして、保護者と生徒をガッチリ掴めるなどもあるかもしれません。しかし、それを他のスタッフ、大手であれば時間講師や普通の社員でも上手くいくか。

言い方が悪いかもしれませんが、今までは塾という密室の中の授業だったので成立していたものが、家庭に直で配信となると、生徒の後ろにはお父さんお母さんも一緒に観ていて、生徒が遊んだりお菓子を食べながら授業やっている様子を見る。そして「これで意味はあるのか」と疑問に思う人もいると思うんですよね。

それから、塾の授業の内容もそうですね。「この程度の内容に何万も払ってたの?」というクレームが出てくる可能性があるかもしれない。そうすると、本当にスキルのあるエースたちだけで授業を回すしかない、となってしまいます。ただ今度は、その少数精鋭だけで継続的にやり続けられるのか、と。

また、今はオンラインについては目新しさがあるので皆さん飛びついてはいますが、必ず飽きてくると思うんです。ですので次のフェーズは、ICTと人を融合させて、いかに継続的で質の高いものを提供できるかになっていくと思います。

やはり塾の業界は、いつの時代も人が大切だと思います。その、人の役割がちょっと変わってきたということで、今まではスキルのある先生が全て担っていた物を、このパートはICTにまかせた方が効率がいい、このパートは人がやらなきゃだめだという分担をすることが大事だと思います。

今まで腰の重かった業界が、こういったコロナの影響を受けて動き出したからこそ、前向きな意味で大きなターニングポイントになりますし、本質的に変わっていけるかというのが重要なのだと思います。

だからこそ、塾同士で手を組んで業界全体を良くできたら、子どもたちのためにもなるのだと思います。

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