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Studyplus for Schoolのモデルオペレーションと私たちが目指す未来|基調講演【Studyplus for School Award 2020】

Studyplus for School Award 2020とは、少子化・採用難・地域格差という社会課題が広がる中で、未来の教育の在り方・先生の新しい働き方に果敢に挑戦する教育機関を表彰するものです。 

*Studyplus for Schoolの詳細はこちら

従来は、授賞式や受賞者によるプレゼンテーションを含むイベントを開催しておりましたが、新型コロナウイルスの影響を踏まえ、この度オンライン配信で受賞者によるプレゼンテーションを実施いたしました。その模様をnoteでもお伝えしていきます。

今回は弊社COOの宮坂より基調講演の様子をお伝えします。

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一人でも多くの生徒が自己肯定感をもてる教育を目指す

スタディプラス株式会社COOの宮坂です。Studyplus for School Awardは今回で3回目となりますが、例年以上の高い生徒の学習記録率を基準とし、定量的に受賞校を選出することができました。今回は受賞校に見られた共通点から、Studyplus for Schoolのこれまで、そして教育業界の未来についてお話しさせていただきます。

まず初めに、自己紹介として私がスタディプラスに参加するまでの経緯をお話しします。
私は小学生の頃、市進学院に通い中高一貫校を受験しました。
合格は難しいだろうと思っていた学校でしたので、入学後は学年でも最下位に近い成績で、6年間巻き返すことはありませんでした。
結果として自己肯定感は持てず、夢ができても「僕みたいな人間が」と諦めていました。
しかし、高校3年生の夏に早慶外語ゼミという予備校に通いはじめたところ、一夏で偏差値が40から70まで伸びたのです。ここで自己肯定感を取り戻し、勉強が好きになりました。

自分と同じように自己肯定感が持てずにいる学生をどうにかしたいと思い、大学入学と同時に早慶外語ゼミで英語を教えはじめました。教えることにのめり込んでしまい、1年ほど大学の授業に一度も出席せず、留年してしまうほどでした。
その甲斐あってか、習熟度テストでは全教室中トップの成績を生徒が毎回とってくれました。生徒たちは、成績が伸びるにつれて目の色が変わっていき、向上心や積極性が伸びる瞬間を度々目の当たりにしました。

一方で、とても勉強熱心だけれど不器用で成績が伸びない生徒もいました。
周囲の先生の中には本人の能力の問題と諦めていましたが、私は人の何倍も努力する生徒を見放すことはできず、こういった生徒たちには、授業以外でも無償で個別に教えたり学習計画を立てたりと、最も時間と労力を割いていました(結果的に自分が留年してしまいましたが笑)。

しかし、私が一人の講師として、この課題を解決するのではなく、全国の一人でも多くの生徒の努力を実らせたいと思ったとき、当時の私には解決する方法は見いだせませんでした。


教育×ITを通じて生徒のマインドに訴える

そうした中、当時iPhoneが出てきて、インターネットの活用に大きな可能性を感じ、漠然と「教育×IT」という部分でチャンスがあるのではと考えていました。ですが、具体的にどう変わっていくのかはよく分かりませんでしたので、まずはインターネットに関して学び、ものづくりできるような立場になろうと考えました。そこで一度予備校で働くことを辞め、リブセンスやカカクコム、食べログという会社で勉強しました。

7年ほど経ったところで、立ち返って「教育×IT」で挑戦しようと思い、EdTechの中でも、生徒の精神的な変化に関われるものに挑戦したいと思い、スタディプラスに入社しました。
しかし、入社してみるとStudyplus for School事業が上手くいっておらず、そもそも事業を継続するのか撤退するのかというところからのスタートでした。そんな時に、ユニバースクール湯浅さんやラボ寺子屋小泉さん、アルクス小川さんなどから「本当に良いプロダクトだと思うので、ぜひ頑張ってほしい」というお声をいただきました。そのように思ってくれる方がいるなら、まだ兆しがあるのかもしれないと思い、事業を継続しようと思いました。

そこからたくさん先生方に応援いただきながら、様々な改善を経て今に至ります。

仕事における人と機械の住み分け


私たちStudyplus for Schoolチームは先生方にプロダクトを提供してお金をいただきますが、それは一番大切なことではありません。「未来の教育を一緒につくりたい」というのが、私たちのモチベーションの源泉です。来年の売上が上がるよりも、3年後、10年後に「Studyplusがあったから日本の教育って変わったよね」と言っていただける方が嬉しく思います。

ですが、プロダクトがあれば教育が変わるかと言うとそうではなく、やはり先生方がいらっしゃるからこそ効果が最大化されます。私たちにとって先生方は、お客様というより共に創っていくパートナーです。一緒に、対等に、未来の教室を共創していくという気持ちで取り組んでいます。

この想いを詰め込んだものが、去年から年に一度発行しているビジョンブック(VISION BOOK)です。

現在、学習塾も子どもたちも難しい状況にあります。その中でみなさんと私たちでパートナーシップを組んで、革新と実行により課題を解決することを目指しています。
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本書の前段では「未来の教育は」という大風呂敷を広げています。

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子どもたちの未来について考えた時、AIの進化と機械化が進む中で、彼らが大人になった時に今ある仕事は残っているのかという不安をよく耳にします。AIがすべての仕事を奪うかというと、そうはならないとい思いますが、仕事の役割は変わり「機械化できないことを人がやる」ようになるのではないでしょうか。
寿司屋を例にすると、寿司を握ること自体はすでに機械化されています。しかし、予約管理や配席管理など臨機応変さが必要な部分は今も人間が行っています。他の仕事も、このように分業されていく可能性が高いでしょう。

個々の成長に合わせたマネジメント

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この現状を踏まえ、現在、経産相では「未来の教室」というプロジェクトを進めています。このプロジェクトでは、決められたことをそのままやるのではなく、自分なりの問いを立てて、自分なりのやり方で、自分なりの答えにたどり着く探求力を養うことを目的としています。

私は、シチュエーショナル・リーダーシップ理論(SL理論)についてとても興味を持ちました。
これは会社で言うと、部下の成熟度・発達度に合わせてマネジメントも変わっていくべきというものです。

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個々人の成長に合わせたマネジメントや役割を変えていく上で、S1・S2・S3・S4というステップに分かれています。S1は具体的に指示し、きめ細かく監督するというような指示型マネジメント。応援するというアクションはなくて、指示だけです。

S2はコーチ型マネジメントで、指示命令はするが提案もさせて、それを支援もするというやり方。S3は援助型マネジメントで、あくまでも部下の主体性を重じて、困ったことがあったら援助します。S4は、すべてを委ねるやり方です。

このように、部下の成長に応じてマネジメントの仕方を変えていくことは、未来の教育と重なるところがあると思います。最初は決められたことを決められた通りに行うところからスタートして、最終的には自立して自分のやり方で自分の答えにたどり着くところにも持っていく。そのため、都度、先生の役割も変わっていきます。

子どもを子ども扱いせず、大人と同じように扱うことはすごく大切だと思います。手取り足取り教えてあげるのではなく、一人の大人として向き合ってあげることも重要だと思います。

ティーチングからコーチングへのシフト

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また、未来の学習塾を考える上で、デジタル教材が普及してきていることはポジティブな要素だと思っています。
集団指導では、習熟度別のクラス編成が必要となりますが、採用難に加え、少子化が進みクラス編成が難しくなっていることから、上位もしくは下位クラスをデジタル教材で実施することができ個々のレベルやペースに合わせた指導ができるようになります。

また、質問をする中で生徒の思考プロセスを磨き上げる作業は欠かせないため、質疑応答に時間を使うことができるようになります。

他にも、個別指導で5教科7科目を個別のコマで教えることは難しいため、例えば、社会と理科はデジタル教材で勉強してもらうという形もあります。

近年では、このような工夫が究極まで進み、講師が教えていた部分をすべてデジタル教材に置き換えた、自立型学習塾も出てきました。

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一方で、デジタル教材を導入し、ティーチングをデジタル化した際に、コーチングが欠落してしまったという問題が全国で起きました。実際にStudyplus for Schoolを入れたいとお問い合わせいただく方々も、「映像教材を入れたものの、生徒がなかなか勉強してくれない」という悩みを抱えた方が多くいらっしゃいます。

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まずは、できるだけ塾で勉強してもらう体制を整えることが重要だと思っています。なぜなら、デジタル教材を使用する自立型学習塾では、指導の部分はデジタルに任せて、その分コーチングを加えることが大切だからです。学習時間の最大化がポイントになります。

事業の在り方や働き方を変えるデジタルトランスフォーメーション

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昨今は、コロナの影響でどの業界でもテクノロジーを活用して業務改革しなければならないという気運が高まっており、学習塾にもこうした流れがあります。そこで、塾業界におけるデジタルトランスフォーメーションを、図のようにまとめてみました。

デジタライゼーションというのは、今までアナログだったものをデジタルに置き換えるだけです。例えば、先生が教えていた授業を映像授業にするなどが当てはまります。また、コロナ過で、今まで塾でやっていた授業をZoomなど使用し実施することも当てはまります。

デジタルトランスフォーメーションとは、デジタルなものを導入するだけでなく、事業のあり方や働き方まで変えてしまうものを指します。Zoom授業で例えるなら、生徒だけでなく、先生も自宅にいながら指導できるようになります。そうすると、育児と両立できずに辞めざるを得なかった女性社員の方が、働く機会を得ることができるというのが、デジタルトランスフォーメーションです。

私たちStudyplus for Schoolが目指しているのは、まさにこの部分です。デジタルツールを導入して終わるのではなく、そこから事業のあり方や先生方の働き方まで変えていくことができたらと思っています。

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デジタルトランスフォーメーションのなかでは、ティーチングからコーチングへの転換が重要になりますが、ここで、先ほどのSL理論が活きてきます。S1からS4へのステップで成熟していき、自立していく体験を生徒にさせること。段階を追って成長させていくことで、ティーチングからコーチングへの転換が測れるのではないかと思っています。

Studyplus for Schoolを活用するモデルオペレーション

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Studyplus for Schoolは、生徒さんがこの「自立」を獲得していくためのツールです。こちらは高校生1500名に実施したアンケートの結果ですが、「Studyplusを使ってから学習時間が増えた」、「ライバルや友達の学習記録を参考にするようになった」、「振り返りをする習慣がついた」という意見が多くありました。これは、誰かに言われたからではなく、自ら主体性を獲得していきながら成長していったという証だと感じます。

しかし残念ながら、一人で使っている場合、1か月の継続率は30%しかありません。70%は記録が続かなく離脱してしまっています。
自ら主体性を獲得し続け得る生徒さんは3割しかいないということになりますが、大人でも人から言われなければ始めないということも多いですから、この数字が特別悪いという話ではありません。つまり、これがSL理論でいうS1だと思います。

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一方で、Studyplus for School Awardを受賞された先生方にアンケートをさせていただいたところ、年間を通じて学習記録率が90%程でした。先生が介在することで、生徒さんが記録を継続できていまる状態です。つまりAwardを受賞されている教室の生徒さんは、すでにS3かS4レベルで、生徒たちが主体性を獲得しています。

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Awardを受賞校のみなさまに、どのようなオペレーションをすることで記録率が90%になったのか尋ねました。その中で5つの共通点を見つけました。

1つ目は、学習記録を教室のルール・義務にしていること。
ルール化することは、生徒さんの主体性を奪っていると見えるかもしれません。しかし、これは大人の世界でもあることだと思います。例えば、私も部下にはお客様との話は記録をつけなさいと伝えています。これは部下に主体性がないからでも、主体性を奪っているからでもありません。むしろ、記録をつけることで自らの振り返りができるため、そこから力を身につけさせたいと思っているからです。
生徒さんにも「これ、どう思う?」とコミュニケーションをとると、ライバルに比べると今の自分はどうなのかなど考えることができ、主体性を身につけることができると思います。

2つ目は、オンラインでのフィードバックを毎日実施していることです。
データを見ると、毎月最低でも24日はログインしています。さらに、生徒一人に対して月に28件「いいね」をしています。先生が見てくれているという感覚がなければ、生徒さんも勉強記録をつけなくなるものです。そのため、「いいね」やメッセージで「毎日見ているよ」というサインを出すことは大事だと思います。

3つ目、4つ目は、学習進捗と学習計画を定期的に確認していることです。
オンラインだけでなくオフラインでも情報を共有しようという意識が生徒さんにも伝わります。

5つ目は、学習時間ランキングの掲示です。初めは、先生に言われ学習記録をつけ始めた生徒も、ランキングを出すと「周りと比べて自分はどうか」という意識を持つようになります。

これら5つが、Studyplus for Schoolを運用する上でのモデルオペレーションとなります。

モデルオペレーションを各塾にとって最適な方法で導入

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このアンケート結果を、さらに踏み込んで調査しました。
先ほどのモデルオペレーションをどれだけ実施しているかご回答いただき、学習記録率と合わせて集計・分析した結果がこちらです。

横軸は右に行くほど学習記録率が高くなりますが、モデルオペレーションと学習記録率には極めて高い相関関係が見られました。私たちも初めは手探りでしたが、最近ではこうしたデータから、どうやって学習記録をつけさせ、主体的に成長してもらえるか、定量化でき始めているところです。

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私たちが目指すデジタルトランスフォーメーションは働き方やサービスのあり方の改革ですが、改革というのは導入と継続がセットになっていなければいけません。
そのため、モデルオペレーションをどれくらい高い強度で実施できているかが次のテーマになります。

先生方にお話を伺うと、まずはStudyplus for Schoolの利用を生徒さんに奨励している段階から始まります。次にStudyplusを使うことがルール化され、義務になります。しかし、生徒さんが使っているだけでは継続しないため、先生方にも活用していただくよう推奨しています。これを業務化し、毎日のログインを義務づけることが次のステップです。
最後に、業務日報や指導報告書などにStudyplus for Schoolをチェックしたかという項目欄を設けるなどしていただくすると、徹底度合いが上がってくると思います。

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塾によって業態は様々ですが、自分たちの業態にどう馴染ませていくかは、各塾でのオリジナリティにあります。

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今回のAward受賞校には、私たちも直接足を運ばはこばせていただきましたが、やはりひとつとして同じ塾はありません。みなさん5つのモデルオペレーションは踏まえているものの、体現方法は異なります。
私たちの役目は、モデルオペレーションを各塾の業態や理念に最適な方法で導入して、高い強度で接続・継続できるお手伝いをしていくことだと思っています。

「波に乗る」ことを恐れない

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私たちは少子化やコロナ禍など、様々な波が押し寄せる中にいます。そしてこれからも、この波は続くでしょう。しかし、波が来てから沖に向かうのでは、波に乗ることはできません。もともと沖にいた人だけが、「波に乗る」ことができます。

波が来るかどうかも分からない中でわざわざ沖に繰り出す不安もあれば、沖に到達するまでにも別の波が押し寄せてきます。そのため、波を乗り越える忍耐力や、沖にたどり着いてからじっと大きな波を待つ忍耐力が必要です。

私たちが教育や塾を変革しないといけない状況は、この波を越えるというものにすごく似ていると感じました。「なぜわざわざデジタル教材を使わないといけないの?」「なぜ自立学習やコーチングをやらないといけないの?」と言われても、今は過渡期のため分からない方が多いと思います。

その中で、わざわざ沖に向かうという不安もあれば、新しいことを始めるときの抵抗力もあります。加えて、沖にたどり着いてからも、すぐ成果が出ることはほぼありません。

Studyplus for Schoolは、正直まだ赤字の事業です。ここまで数億円の赤字を出しながら、これから来るか来ないかも分からない波を、ただじっと待っているというような状態です。そこに至る過程では、社内でも「Studyplus for Schoolやっている意味あるの?」という意見が出ることもありました。

ただ、いつかは分からないとしても、「ティーチングからコーチングへの転換」という波は必ず来ると思っています。その波が来るまで辛抱強く、未来の教育というのはこういうものなのではないかと、導入校のみなさまんと一緒に手探りで模索できればと考えています。
導入校の先生方には、熱い思いを持った方がものすごく多くいらっしゃいます。
実際に、私たちから厚かましく何度もイベント登壇をお願いしている先生もいらっしゃるのですが、いつも快く協力してくださっています。本当に温かいお客様に恵まれていると感じていますし、このご縁を大事にしたいと思っています。私も先生方も未来の教育についてはまだ分からないところがあるとは思いますが、一緒に具体化してつくりあげていきたいと思います。

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Studyplus for Schoolについて資料請求はこちら、製品についてのお問い合わせはこちらをご覧ください。

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