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私たちが目指すスタディログと自己調整学習|スタディプラス【EdTech ONLINE EXPO】

新型コロナウイルス感染拡大により、教育業界においてもDX(デジタルトランスフォーメーション)が加速していることを受け、Studyplus for Schoolでも、「EdTechオンライン展示会」と称して、未来の教育の在り方・先生の新しい働き方に挑戦する教育事業者を広く発信する取り組みを行っています。

今回は、2021年11月に開催した講演の中から、株式会社スタディプラス取締役COO宮坂が担当した、基調講演の内容をご紹介します。

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スタディログと自己調整学習を実現するまでのヒストリー

スタディプラスの宮坂です。今日からEdTech ONLINE EXPOを開催するにあたり、まずは私から基調講演をさせていただきます。

当社は創業から11年が経ち、来年12年目を迎えます。2010年の創業時、当社は株式会社クラウドスタディという社名でした。代表の廣瀬が大学時代にビジネスプランコンテストで優勝したことをきっかけにスタートし、2011年に個人向け学習管理サービス「Studylog」をリリース。当時は、スマホアプリではなくWebサービスのみでした。

しかしながら、勉強記録をWeb上でつけるだけではユーザー数が増えず、2012年に学習管理SNS「Studyplus」をスマホアプリで公開。同じ目標を持つライバルと切磋琢磨できる環境が整い、ユーザー数が増え始めます。

その後、社名をスタディプラス株式会社に変更。さらに、複数の教育系アプリを連携させるStudyplus APIが公開されました。2015年には、会員数が100万人を突破し、2016年に法人向け学習管理アプリとしてStudyplus for Schoolをリリース。現在Studyplusの会員数は500万人を超えています。

当社の理念は「学ぶ喜びをすべての人へ」です。そして、この理念のもとスタディログと自己調整学習を普及させたいと思っています。ここで言うスタディログとは、Studyplusで勉強記録を日々つける体験のことで、自己調整学習とは学習者が自ら目標を設定し、その達成に向けて行動を能動的に変化させていくプロセスを指しています。

不確実性が高まる時代においては、さまざまな社会課題を解決できるようになるためにも、一人ひとりが課題や目標を設定してその解決に向けて行動できるスキルが必要です。それができなければ、やりがいを持って仕事をする機会に恵まれなくなる可能性さえあります。そうならないよう、子どもたちには自己調整学習を身につけていってほしいと願っています。

上記は、スタディログと自己調整学習の普及において、具体的にどのようなプロセスがあるかを表したものです。これらを身につけるのは簡単なことではありません。事実、多くの生徒たちは授業についていくことに手一杯で受け身になってしまっており、自分で計画を立てて学習を進めていくところまでできていません。

私たちはこの点に課題を感じ、スタディログと自己調整学習の普及に尽力していますが、不可能とさえ思える挑戦だと思います。

実際、Studyplusの前身であるスタディログも、うまくユーザ数を増やすことができていませんでした。また、Studyplus for Schoolのリリースから現在を振り返ってみても、すぐに事業が上手くいったわけでは決してありません。私はリリースから1年経った2017年に入社しましたが、最初のミッションはStudyplus for Schoolの立て直しでした。当時はかなり行き詰っており、撤退する議論さえありました。そのため、現在1,000教室を超える全国の教室でStudyplus for Schoolが導入されていることは、当時からすると考えられないことでした。

ですから、対個人と対法人の2つにわけたときに、それぞれにスタディログと自己調整学習が定着するためにサービスを改善することに尽力することにしました。

一人で勉強を継続するのは非常に難しいため、コミュニケーションを通した学習の継続に焦点を当て、対個人においては生徒間のコミュニケーション促す、Studyplusをリリースし、対法人に関しては、講師と生徒のコミュニケーションで学習を継続させるためStudyplus for Schoolを開発しました。

そして、勉強記録を手動でつけるのでは不便なため、デジタル教材の学習記録を一元化できるStudyplus APIを開発し、教育機関で導入されているデジタル教材を連携するためにStudyplus for School APIを公開しました。

こうした多様なサービスを作る中で学習塾や学校の方々とお話しする機会が多いのですが、現場ではまだまだデジタル教材が普及していないと感じています。ごく一部のデジタル分野に明るい先生方が積極的に使っている段階で、まだ一般的な学習塾や学校では浸透していません。だからこそ、紙教材の学習記録をデジタル化するということにも注力する必要があると考えています。

そこで、個人向けにStudyplusブックという教材サービスを展開しました。これはStudyplusで使える電子教材サービスなのですが、紙の教材をご注文いただくと、無料で電子版の教材も使えるようになる「ブックコード」という仕組みもあります。紙のレイアウトそのままの状態で電子化されており、生徒の自学自習用としても活用可能です。

このように、この10年間はスタディログと自己調整学習の実現に向けて多くのサービスを展開してきました。

公教育と私教育をつなぐ取組み

私たちはStudyplus for School APIを開発し、法人向けデジタル教材の学習記録一元化に取り組んできました。2021年度上半期は新たに、aim@、オプティマスタディ、河合塾oneとの提携が決定。主要な教材の方々にはご協力いただけており、Studyplus for Schoolと連携しているデジタル教材を使った塾を作り、小学生から高校生まで対応することもできるようになりました。

また、文部科学省が開発したオンライン学習システムのMEXCBTとの連携も決まりました。学校現場では、GIGAスクール構想に基づき生徒に一人一台の端末を配布しましたが、学校ごとに、そして同じ学校の中でも教科ごとにバラバラなツールを導入してしまい、一元管理ができていません。

デジタル教材の各社は民間同士で、お互いを牽制し合い一元化が難しい状況が続いていたため、文部科学省が旗振り役となり学習eポータル標準モデルという標準仕様を公開しました。この仕様にStudyplus for Schoolが対応しています。

学習eポータルを一言で説明すると、「先生、生徒、保護者がアクセスでき、多くの情報を一元的に管理できる窓口」です。また文部科学省が開発したCBTシステムでは、全国学力調査のテストや教育委員会が作成したオリジナルのテストなどが蓄積されています。これを活用するには、学習eポータルを経由する必要があります。

Studyplus for Schoolが参入した理由は、デジタル庁が発表した、教育データ利活用ロードマップの検討状況にあります。

上記が実際に公開されたものです。学習eポータルはMEXCBTとつながり、今後、生徒の学習ログがたまっていきます。その保存場所がPDSというもので、これは生徒が個人所有します。

PDSは生徒が個人的に持っているものなので、生徒が許可すれば民間事業者もアクセス可能です。Studyplus for Schoolのような独自ポータルもPDSと連携できるため、公教育である学校と私教育である学習塾の教育の連携実現を目指し、学校領域にも展開を始めました。

目指す世界観の実現に向けた取組み

2021年4月、Studyplus for Schoolはコンテンツ配信機能をリリースしました。これはオリジナルコンテンツが配信できる機能で、早速いろいろな活用をしていただいています。

総合型選抜専門塾のAOIでは、授業動画を配信できるようにし、総合型選抜専門の指導者がいない現場でもオンラインで良質な対策を提供することが可能となりました。湘南ゼミナールでは、授業の欠席者向けに動画をアップしていましたが、Studyplus for Schoolでその動画を視聴でき、学習記録を自動でつけられるようになっています。

また、2021年秋には、先にもご紹介した個人向け教材サービスStudyplusブックがStudyplusの中に組み込まれました。

この機能では、月額980円で参考書200冊以上が使い放題です。また、ビューアを起動させてい時間も学習時間として自動的に記録されます。

これを応用させた機能として、Studyplusブックコードをリリースしました。対象となる紙の参考書を購入すると、無料で電子版を使うことができます。今年は、30万人のコードが対応しており、全国550の学校で採択いただいています。

今後の展望として、まずは最近リリースした機能をしっかり活用いただけるようにしていきたいと思っています。

今後もいろいろな課題はあるとは思いますが、一つひとつにしっかり対応していきたいと思います。そして、定期的にこのようなイベントを開きながら、スタディプラスが今、何を考えているのかを発信していきたいと思っています。

公式の場でなくとも、もっとカジュアルに情報交換をしたいとも考えているので、SNSなどでもご連絡ください。これからも、スタディプラスをよろしくお願いいたします。