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生徒の自己客観を促進することで成績をアップさせる |能開センター盛岡校【Studyplus for School Award 2021】

Studyplus for School Award 2021とは、少子化・採用難・地域格差という社会課題が広がる中で、未来の教育の在り方・先生の新しい働き方に果敢に挑戦する教育機関を表彰するものです。

昨年に続き今年も、受賞校によるプレゼンテーションを含むイベントをオンラインで開催いたしました。その模様をnoteでもお伝えしていきます。
今回ご紹介するのは、集団指導部門で受賞された、能開センター盛岡校(岩手県)の佐々木先生の回です。

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不利な環境下でも難関大学合格へ導く

当塾は、「出会い・前向き・鍛え合い」「厳しさ・熱気・大笑い」を方針に、1982年に開校しました。現在は、小学生が112名、中学生が206名、高校生が72名在籍し、1クラス20~30名の集団指導をしています。2021年度の大学入試合格実績は、高校3年生約20人のうち、北海道大学が2人、東北大学が1人、一橋大学が1人、東京外国語大学が2人、千葉大学が1人、早稲田大学が3人、慶応義塾大学が1人、岩手大学が7人、岩手県立大学が7人となりました。

岩手県には大きな予備校もなく大学の数も少ないため、高校生は自分の未来が想像しにくく、大学受験に注力する雰囲気が出来上がるまでに時間がかかってしまうなど、高校生の学習環境がそれほど整っていません。そのあたりを大きな問題意識として持っているところです。

より深い生徒理解と、複数科目対応のためにStudyplus for Schoolを活用

以前、私たちは2つの課題を抱えていました。1つ目が、主な授業担当が非常勤講師であったため、授業をしない社員は生徒の学習状況の把握が難しかったことです。自分が授業に入った方が生徒の状況は理解できますが、リソースの問題でできませんでした。

社員も生徒の状況を常に把握し、生徒指導にきちんと責任を持てるようにしなければなりません。一人ひとりに伴走者やマネージャーのような存在が必要だと感じていました。

2つ目が、共通テストの5教科7科目、2次試験での複数科目を合格レベルにそろえることができなかったことです。特に東京大学への対策ができていませんでした。塾として国語・数学・英語のうち特に数学に力を入れていたこともあり、理科や社会まで生徒の実力を把握することが非常に難しい状況でした。

生徒の最終的な進路希望を確認し、2次試験で必要となる科目が確定したころには、対策のための時間が足りないということが多々ありました。そのため、生徒のこれまでの学習科目の記録にもとづいて、的確なアドバイスが必要だと感じていました。

これらを解決するために導入したのが、Studyplus for Schoolです。生徒に記録をつけてもらうことにより、絶対量としてどのくらい勉強できているかを把握し、さらにどの科目をどのくらいのバランスで学んでいるかがわかるようになりました。

導入してから気をつけていたのは、毎回の授業で「今週は先週と比べて伸びたね、頑張ったね」と声をかけたり、うまく勉強できていない時には「どうした?体調が悪いのか?」と気にかけることです。ずっと言い続けてきたことで、少しずつStudyplus for Schoolへの記録が浸透していきました。

Studyplus for Schoolの活用に当たり意識していたことは、結果だけを評価しないということです。結果が出るまでの過程を注視し、生徒の体調など目に見えないところまで配慮できるようになりたいと思っています。

Studyplus for Schoolを使って自己客観能力を高める

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Studyplus for School導入後、このようにアナリティクス機能の画面を印刷し、掲示しています。

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私からのコメントも入れて、生徒たちがいつでも見られるようにしています。ハードな部活をしている生徒にも、最低週20時間を目安に勉強しようと指導しています。高校2年生や高校3年生の生徒は、30時間を超えることもよくあります。生徒はランキング表を見て喜んでいる様子なので、有効的な使い方だと感じています。

このようなカタチでアナリティクス機能を使っているのは、自己客観をしてほしいという想いがあるからです。同じクラスの人が、どれくらい頑張っているのか。同じ志望校の仲間やライバルが、どれくらい勉強しているのか。他者を知ることで、自分を客観視してほしいと思っています。

また、自分の記録を見ることで何曜日に勉強ができない傾向があるのかといった規則性も見つけてほしいと思っています。それにより、部活ばかりになりすぎていないかも見えてきます。岩手県は中学生の部活加入率が98%と全国1位です。部活をするのが当たり前という認識のまま高校へ進学するため、早くからバランスをとれるようになってもらいたいと思っています。

さらに、他者を通して自分を見ることで、志望校合格のためにはあと何をどれくらい頑張らないといけないのかのヒントを得ることもできるでしょう。定期的に学習量と科目バランスの見直しを行い、目標を具体化するよう指導しています。

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スタディプラスが主催する、学習時間を競うS-1グランプリにも積極的に参加しています。2020年夏の回では、高校1年生が頑張り、2人の生徒が20日間で300時間を超えて1位・2位になりました。5位・6位・9位にもランクインし、本当に頑張りました。

ただ、上位に入ったことはもちろんですが、学校や塾以外の場で競い合えたことにも大きな意味があります。S-1グランプリのおかげで、生徒は自宅に帰ってからも、他者と繋がりを持ちながら勉強できました。チーム戦もあったため、メンバーを意識して学習に励めたと思います。S-1グランプリに参加することで、学校や自宅でも塾のことを思い出すことができ、塾と生徒たちの繋がりを持つこともできました。

また、チームを組んだことにより生徒がリーダー性を発揮して、毎朝「今日も頑張ろう」「今日は学校で〇〇があるが、それに負けずにちゃんと入力しよう」とメッセージ機能でメンバーを動機づけし合っていました。

Studyplus for Schoolを最大限活用できる塾独自のイベントを開く

当塾では、Studyplus for Schoolを使った独自のイベントも複数実施してきました。その一つが、M-1グランプリというものです。

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これはゴールデンウイーク中、生徒の累積学習時間と暫定ランキングを発表していくというもので、毎日全員に向けて結果とメッセージを発信しました。

生徒の記録から学習時間や科目バランスをチェックし、「最近どうしたの?」「最近、英語を頑張っているな。ところで数学は?」などコメントすることで、あまり話せていなかった生徒ともコミュニケーションを取りやすくなりました。

また、生徒が適切なタイミングで復習しているかも注視しています。例えば、模試はすぐに復習することが大切です。生徒の記録を見て、模試から時間が経っているようであれば、早めにやるよう面談などで促しています。

次に、魅惑のアナリティクス展と題して、2020年11月10日から16日までの1週間、生徒たちのアナリティクス画面を印刷してコメントを入れて掲示しました。

このイベントを開催したきっかけは、授業の前に責任者とミーティングを開き、Studyplus for Schoolを見ながら「この子はこれぐらい頑張っていたんだね」など確認していた際に、「こんなに入力してくれているのに、自分たちが生徒を理解するだけに使うのはもったいない」という話になり、イベントが開かれました。

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こちらが一例です。コメントにも書きましたが、試験が連日続いている状況だと次の日の試験に向けての勉強をするものですが、試験直後に復習した方が実力は伸びます。それを見つけているため、「すごいね」と褒めています。

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こちらの生徒は勉強時間は伸びているのですが科目を入力していません。せっかく頑張っても何を頑張ったかわからなければもったいないので、その点についてコメントしています。他にも、様々な生徒のアナリティクスを展示しました。

このイベントの目的は、自己客観の促進です。どういう学習バランスが美しいか、自分の課題に対応したバランスになっているかを確認し、個性あふれるバランスになってもいいと伝えました。生徒は自分の記録が掲示されると喜びますし、そこにコメントがあると真剣に読んでくれます。

また、同じ校舎で学んでいる小中学生に高校生の学習を見せることも目的の一つです。「高校生は一週間に50時間も学習するのか」と驚きます。早い段階から自分が高校生になったときの姿を想像してもらえるようにしたいと思っています。

生徒理解を深め、講師の存在価値を底上げする

Studyplus for Schoolを活用してみて、見えてきたことが2つあります。1つ目は、成績上位者の方が入力率が高いということです。成績上位だから入力率が高いのか、入力率が高いから成績上位なのか、因果関係ははっきりしません。

しかしいずれにせよ、記録をつけることで自己客観ができ、自分がやるべきことの優先順位を判断でき、計画を立てて実行し、成績上位になるという流れがあることは明らかです。一人ひとりの生徒にこの流れを作ることこそ、私たちがやるべきことだと思っています。このプロセスにおいて、Studyplus for Schoolは非常に重要な役割を果たしています。

2つ目は、講師による生徒理解が深まるということです。生徒の実態が分かり、塾では頑張っていても自宅ではほとんど勉強していなかったなどということがわかるようになりました。また、生徒のタフさも見えてきて、学校で運動会があった日に2時間も勉強しているとか、大会前で部活が忙しいのに毎日欠かさず勉強していたなどがわかります。多科目の準備が必要な大学入試や、大学卒業後、変化に富んだ社会で活躍していくためにも、非常に重要です。

当塾では、2021年度から校舎での授業を辞め完全にオンライン化しました。全国の生徒がインターネットを通じて配信される授業をリアルタイムで受講する形式になりました。

また、自宅の環境が整っていない生徒のために校舎にもPCや大型モニターを準備しています。また、オンラインゼミの復習や類題の演習、学校の課題、進路相談などを行うために、バックアップ演習というものを設け、週1回は通塾をしてもらっています。

このように、環境が大きく変わっていく中で、Studyplus for Schoolの重要性はますます高まってきています。これまで直接会うことで入ってきていた情報がなくなってしまうからこそ、Studyplus for Schoolを活用し、密に連絡を取ることが必要だと感じています。また、そこでのやり取りによってバックアップ演習の価値を上げていきたいと思います。

私たち講師の存在価値を上げるためには、生徒に対する理解を深め、生徒の学習状況などの事実に基づいて効果的に声をかけることが必要です。週1回しか会えない中で、より意味のあるコミュニケーションをとっていくことができるのは、Studyplus for Schoolがあるからです。

オンライン化を進めてみて、当塾だけでなく世の中の教育現場もどんどん変わってきていると感じています。初めは混乱も見られましたが、今ではオンライン授業が当たり前という認識です。

これからも、生徒をもっと理解し、生徒にとって価値ある存在になれるよう取り組んでいきたいと思います。Studyplus for Schoolは、この目標を達成するためにとても有効なツールだと感じています。


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