映像授業を軸に塾運営を支えるICTツール|Assistを活用したオンライン指導実践例【オンライン指導情報共有会】
新型コロナウィルスの感染拡大により、学習塾業界は教育サービスを提供できず、事業の継続が困難となるリスクが発生しています。これを防ぐために急速に高まっているのが、オンラインでの指導体制の整備の重要性です。
新型コロナウイルス感染拡大の深刻化、そしてオンライン指導に関する事例が少ないことを受けて、Studyplus for School導入校で既にオンライン指導に取り組まれている方々にご協力いただき、オンライン指導に関する情報共有会を開催しています。今回は青山英語学院システムの有澤さん、翔優館の秋間先生、ラボ寺子屋の小泉にお話を伺いました。
Assistの開発について
有澤:青山英語学院システム開発部課長の有澤です。本日は当社の学習塾用IT教材「システムAssist(以下、Assist)」についてご紹介します。
今年で設立39年になる青山英語学院は、2005年からAssistを開発していました。当時は、少子化の時代を迎えることが明らかであるのと同時に、フランチャイズで1:2の個別指導の学習塾が一気に増えてきた時代でした。子どもの数が減るのに塾が乱立する中で、ウェブ教材を活用すればこの時代を上手く乗り切れるのではないかと考え、Assistの開発を始めました。
そこで開発チームでは、「運営の質を落とさず損益分岐点を下げていくことで、塾の利益をしっかり確保できるシステム」を作ろうという目標が出来ました。ある程度できた段階で直営教室で運営と試験導入をして、色々な進化を経て今の形になっています。
Assistといえば映像というイメージを持たれることも多く、実際に映像教材も配信しています。ただ私たちのポリシーとしては、塾運営システムだと考えているんです。開発のときも、「Assistを使って塾の運営を助ける」ことを目標に設計していました。
先生の手間が少なくなるAssistの映像授業
有澤:Assistには色々な機能がありますが、はじめに映像授業についてご紹介します。対象学年は、小学校4年生から高校3年生まで、科目は国数英社理の5科目です。
映像授業は基本的に通年用の教材と基礎学力用の教材があり、通年用は文理さんのウィンパス、基礎学力用のものは新興出版社さんの『ホントにわかる』『教科書トレーニング』にあわせて映像を作成しました。
通年用と基礎学力用以外には、夏期講習や冬期講習、中学3年生用の受験向けや入試直前のテスト形式の問題集、英検・その他検定試験対策用の教材もあります。生徒たちは手元にテキストを置いて、動画を見ながら画面に書かれていることや、先生が言ったことを書き込む授業スタイルです。
当社としてはただ映像教材を出すだけではなく、これが塾運営にどう活用できるかを考えていました。そこで作ったのが、学習指示書というシステムです。これは簡単に言うと、映像教材をどう利用するか生徒への指示が登録できるというもの。
まず使用する学校の教科書・科目・学年をシステムの中に入れます。例えば最初に多項式の計算・例題1を登録すると、1年間を通じて自動的に残りの例題2、例題3とセットされます。
また、確認テストも工夫しました。テキストの表現と確認テストで使われる表現が違うと、それだけで生徒がつまづいて先生に質問にいってしまい、対応が増えてしまいます。なので、テキストは似たような文章にして、数学なら計算する数字だけが違うという形にしました。生徒たちは確認テストが解けなければ、同じ単元の例題を解きなおして、やり方を理解してまた確認テストを受けるという流れになっています。
確認テストに合格しなければ再テスト、再々テストを作成するので苦手な生徒は何度でも繰り返して勉強ができます。
映像以外の教材も充実しているAssist
有澤:映像授業だけでなくプリントも作っていますが、これもウィンパスに合わせています。特に定期テスト前は自分はどの単元ができていないかを発見することが大切ですが、一つの単元についてプリントを解いた後、合格すれば次の単元、不合格だと同じ単元の違う問題が解けるようになっています。
その単元を解くためのヒント動画がセットで出てくるので、先生に質問しなくても自分でそれを見て理解できるのが特徴です。教科によっては、学年、テキスト名、教科書のページ数を入力すれば簡単にテストプリントも作れます。
また、定期テストの予想問題も作成可能です。学年、科目、教科書、テスト範囲のページ数を入れると、私たちの持っているデータベースを利用して問題を作り、PDFでダウンロードできるようになります。
その他にも、Assistには色々な機能があります。例えば、授業開始と終了のメールを一元化して送れるシステム。「授業が終わりました」という内容に加えて、その日の学習内容と達成度も送れます。他にあるのが、生徒の視聴履歴や面談資料、生徒とのメールのやり取り、課題提出フォームなどです。
AssistはStudyplus for Schoolと連携しており、Assistの動画を視聴すると自動的にStudyplus for Schoolに視聴履歴が表示されます。生徒からするとその履歴にいいねを押してもらえるのが魅力のようです。
私の子どももStudyplusを利用していますが、テストした問題を自分で採点し、写真に撮って載せています。するとStudyplusを介してみんなに見られるので、「ちゃんと勉強しなきゃいけない」と痛感したようです。さらに適当だった採点も人に見られると思うと恥をかかないように真面目に取り組むようになりました。
翔優館でのAssist活用事例:翔優館について
秋間:翔優館の秋間です。私は1993年から2005年まで神奈川県の大手学習塾で2005年まで勤務して、集団指導をしていました。一緒に働いていた仲間と共同経営で塾を立ち上げて、2005年から2015年までそこにおり、その後独立。2016年3月に翔優館を開校しました。授業のコンセプトは、TeachからCoach、つまり教えるから導くということです。
小学生はいくつかコースがあり、学年や科目に応じて分かれています。中学生は5科目指導で、集団指導・個別指導・自立型をミックスした形です。授業科目以外に、探究授業を週に1回50分設けています。Assistは2019年から中学生に導入しています。
高校生は3つのコースがあります。成績Apを利用した高1~高2向けのスタンダードコース、学習管理型で高1~高3向けの大学受験マネジメントコース、それから高1~高3向けの少人数制で授業を行う数学塾コースです。高校生はコース問わず全員にStudyplusを導入していましたが、コロナ禍を受けて中学生も使い始めました。
翔優館でのAssist活用事例:Assistの導入とメリット
翔優館を立ち上げる時、一人で全学年・全科目を指導するのは大変だろうと思いました。生徒のレベル層が広いこともあり、一つの教材、一つの授業だけで対応するのは難しいと感じたのです。そこで個人に合わせた教材が選択できるAssistを導入しました。
導入して良かった点は5つあります。一つ目がテキストの種類の豊富さです。レベル設定ができるので、この生徒は数学が苦手だからこの教材を使おうなど、生徒に合わせて変更できる点が良いと思います。
二つ目が、進捗管理。煩雑な作業も必要なく簡単にできるのが魅力です。
三つ目が、確認テスト。映像教材は観せっぱなしになってしまいがちですが、Assistには確認テストがついているので理解度をチェックできますし、できていないところは反復学習ができます。
四つ目は、適切に宿題が出せること。授業に合わせて宿題を出しても、たまにまだやっていない部分が問題入っていることがあります。しかし、Assistならやったものだけを宿題に出すことができます。解説も入っているので、質問対応する時間が減りました。
五つ目が、定期テスト対策。オリジナル問題が作成できて、テスト前にしっかり対策することができます。
翔優館でのAssist活用事例:オンライン指導でのAssistの活用
秋間:コロナ禍を受けてオンライン指導を始めるとき、できるだけ通常と同じような授業をしたい、ただ映像を観せるだけでなく双方向型の授業をやりたいと思っていました。
流れとしては、3月に学校が休校となりましたが26日までは通常通りのやり方をしていました。26日の春期講習からオンライン指導が少しずつ始まり、生徒にはLINEの公式アカウントで授業の指示を出していました。学習状況の把握に使ったのは、Studyplus for Schoolです。
4月6日の新学期開始時にはZoomも導入し、画面を繋ぎながらLINEで「今日はここから初めて」など指示を出していきました。5月の連休明けには生活が乱れてきたこともあり、オンライン自習室を始めました。
オンライン指導の中でのAssistの使い方は、まず授業が始まったら宿題の写真をLINEで送ってもらい、それを講師が丸付けします。生徒は映像授業を見て、例題、確認問題、基本問題を解いていきます。
単元が終わったら生徒から「確認テストです」と連絡してもらい、講師が確認テストをLINEで送って、生徒は解いたノートを送り返します。合格すれば次に進み、合格しなければ再テストです。
Assistの進捗画面は見やすく、今どの単元をやっていて、理解度はどの程度かが視覚化されています。進捗率が何%なのか一発で分かるので助かります。
またオリジナルの確認テストチェックシートを作っていて、生徒ごとに確認テストで何点取って、次はどの単元をやるか一覧にしています。エクセルを使っているのですが、ハイパーリンクの機能で単元名をクリックすると自動的にPDFが立ち上がるようにしました。解答もリンクしてあるので、講師はすぐに丸付けができます。
オンラインでも今までと同じようにやりたかったという望みは、いろんなICTツールを使って実現しました。振り返ってみて、Assistを使っていて非常に良かったと思います。
ラボ寺子屋でのAssist活用事例:ラボ寺子屋について
小泉:ラボ寺子屋の小泉です。ラボ寺子屋は板橋区にあり、今8年目に入りました。生徒数は30名前後で、中高生がメインです。映像授業をメインに、定期面談とチュータリングを組み合わせた自立学習型指導を行っています。
一日の流れは、このようになっています。
atamaplus、ベリタス、Comiru、学びエイドなど色々と使っていますが、基本的にStudyplusをプラットフォームにしてデータの集約をしています。今月からは新しくオンラインの英会話を導入しました。
塾として大切にしていることは様々ありますが、特に「結果にこだわるからこそ、プロセスを大切に」という点をお伝えしたいです。「学習のクオリティを上げる」「生産性を上げる」という価値観を学生の段階で作っていき、働き始めた時にもその視点を大事に働いて欲しいなと思っています。
生徒には自分自身でPDCAサイクルが回せるよう、PDCAシートを作っています。自分で目標設定をして、実行したら振り返りをする仕組みにしているんです。
ラボ寺子屋でのAssist活用事例:Assistの導入とメリット
小泉:ラボ寺子屋は私一人で運営していたので、自立型の授業をやりたいと思いつつ難しさもありました。同時に東京では私立高校が実質無償化され、自立型で個別最適化していかないと市場ニーズに合致しないだろうと思ったのです。
そのためにツールなしでやっていくのは手間がかかりすぎるし、いろんなツールを組み合わせると情報が散らばってしまいます。この矛盾を解決するために、Assistを入れて情報を一元化をしようと思い、導入しました。
Assistを導入して、コミュニケーションに重きを置けるようになりました。対話する回数が増えたので、内面的成長に寄与できていると思います。
さらに演習量が確保できるようになりました。ベーシックな勉強を短時間で済ませられるので、意欲ある生徒はどんどん進められます。実際に、まだ5月ですが中3の生徒で中3の全ての単元をもうすぐ終わらせられそうな子もいるんです。一方で、意欲がそれほど高くない生徒も自分にあったレベルを設定して、スモールステップでの反復が容易になりました。
また通塾し放題という仕組みが実現できるので、スタッフに求める質が変わったり、振替日程が組みやすくなったりしました。
ラボ寺子屋でのAssist活用事例:オンライン指導でのAssistの活用
東京は3月2日から休校となりましたが、うちでは以前から使っていたZoomを通して翌日にアナウンスを出し、翌週から自宅学習に切り替えました。同時に、AssistとStudyplus for Schoolを連携し、すべての学習記録をStudyplusに集約させました。
休校中は学校の課題もかなり膨大だったので、塾の課題を進めることが難しいという問題に直面したんです。家庭での学習と塾としての学習をどう担保するか考え、個別最適化して私たちの方でペース配分をさせていただき、家庭でも納得感のある指導ができたと思います。
コロナ禍の対応についてですが、3月は朝から学校の課題をサポートして、午後からは塾の学習。午後の学習はAssistなしでは出来なかったと思いますが、この流れを確立することで生活リズムを崩さず過ごせたので、保護者の方から感謝の声もいただきました。
4~5月は学校から大量の課題が出たうえ、生徒の居住地が板橋区と練馬区の2つにまたがっていたので、それぞれの区の対応にあわせたフォローが必要だったのです。その中で各生徒の進捗状況を見ていかなければなりませんでしたが、AssistとStudyplusが連携していたおかげで、情報把握が非常に容易にできました。
これは実際の管理画面ですが、朝から学習しているということが分かるので、実際教室で会うとき「きちんとできていたね」「朝早く起きていたね」と承認することができます。
私は生徒に対し個々の頑張りを認め、勉強を支え、クオリティの高いサービスを提供したいと思っています。なのでAssistとStudyplusから得られる情報は必須だと感じています。
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今回は青山英語学院システムさんのAssistについてご紹介しました。どんな思いで開発され、実際に現場でどのように活用されているか、2つの事例でおわかりいただけたかと思います。
記事内にもありましたが、AssistとStudyplusは連携しており、より効率的な学習管理を実現しています。
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Assistに関してもお気軽にご連絡ください。