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学習のPDCAを回し自走できる生徒を育てる|株式会社Y.E.S. ESL International Japan ステップアップスタディサロン【Studyplus for School Award 2022】

独自の工夫をこらしながらStudyplusサービスを上手に活用し、新しい教育の在り方に取り組まれている塾・学校を表彰する「Studyplus for School Award 2022」。昨年に続き今年も受賞校によるプレゼンテーションを含むイベントを5月10日から約1ヶ月にわたり開催いたしました。

今回は、自立指導部門でご受賞された「株式会社Y.E.S. ESL International Japan(東京都)」「 ステップアップスタディサロン(東京都)」の大庭玄徳先生、木原吉隆先生のご登壇回を振り返ります。

登壇校紹介

■登壇者

株式会社Y.E.S. ESL International Japan
ステップアップスタディサロン
大庭玄徳 先生
ステップアップスタディサロン
木原吉隆 先生

■株式会社Y.E.S. ESL International Japan / ステップアップスタディサロンとは

株式会社Y.E.S. ESL International Japanでは、高校生、既卒生、大学生を対象に、留学のためのマインドセットや語学力の向上を行う。ステップアップスタディサロンでは「計画を立てて勉強し自ら目標達成できる人になろう」というコンセプトのもと、自立型学習を提供する。

Y.E.S. ESL International Japan HP

ステップアップスタディサロン HP

自ら計画を立て、それを達成できる人になることを目指す

大庭先生:初めまして、大庭です。私は学生時代に留学を経験したことをきっかけに、現在も留学に関する仕事に携わっています。これまではフリースクールや個別学習塾、通信制高校などで指導した経験があります。現在は留学支援や人材育成を行う株式会社Y.E.S. ESL International Japan(以下、Y.E.S.)におり、2021年からは木原先生と共に、オンライン学習サロンであるステップアップスタディサロンを運営しています。

木原先生:私は個別指導塾や通信制高校での指導を経験し、ステップアップスタディサロンの責任者として活動しています。

大庭先生:Y.E.S.は日本とアメリカに法人があり、私は日本オフィスで留学のための準備をサポートしています。正規留学の学生と関わることが多いので、語学の準備だけでなく長い留学を乗り越えて目的を達成してもらうためにも、渡航前に心構えや日本人としてのアイデンティティの確認などを行っています。

ステップアップスタディサロンは、木原先生と個人で立ち上げたものです。オンライン運営でコーチングによる学習マネジメントを行い、目的ごとにテーマの異なるワークショップを開いています。塾ではなくサロンという名前なのは、「学ぶ人は主体的に学習しに来てもらいたい」という思いがあったからです。

ステップアップスタディサロンでは、計画を立てて勉強し、自ら目標を達成できるようになることを目指しています。毎週カウンセリングを実施しており、CLSというコラーニングスペースの提供と、Studyplus for Schoolによる学習管理が軸です。ほかには個別レッスンをとったり、ワークショップに参加できたりします。

講師は、学習に関するコーチングを提供しています。このように学習におけるPDCAを回し、そのお手伝いをするのが仕事です。

PDCAを円滑に回すため、毎週30分カウンセリングで進捗確認をし、3ヶ月に一度、目標達成コンサルティングとして中長期的な視点を持って話します。このカウンセリングやコンサルティングでStudyplus for Schoolが非常に役立っています。

学生の目標達成のため、このようなサイクルで行っています。これらの記録は、すべてStudyplus for Schoolに記録をつけています。ポイントは、生徒がいつでも参加できるオンライン学習スペースCLSを運営していることです。ここに「いつでも来ていいよ」と言ってもなかなか来ないので、目標達成のためにどんな計画がいるかを考えて、いつCLSを利用するかも一緒に考えています。

授業の報告はLINEの公式アカウントをつかうやり方が根付いていたので、今でも毎日LINEでレポートを報告しています。

CLSは原則、カメラをつけて手元を映しています。平日は 18 時と20 時にグリーティングを行い、オンラインに参加している全員でメリハリの挨拶をしています。そこで、連絡事項伝達とスタッフからは勉強などのやる気のきっかけになるようなお話を5分程度しています。

ワークショップも実施しており、小学生から高校生まで同じテーマで参加します。様々なテ ーマで実施しますが、直近の回では、「円安と日本経済」をテーマにして行いました。また、 緊急事態宣言などがゆるまったタイミングで勉強合宿をやりました。希望参加にしましたが、「対面でやるイベントも効果があって大切だ」と実感しました。

生徒に主体的に学ぶ姿勢を持ってもらうため、オンラインでの運営を決意

大庭先生:次に、ステップアップスタディサロンをなぜ始めたかについてお話します。現在の世の中の教育課題として、主体的な学びをいかに実現するかが大切です。働き手も、主体的に働くことが大切になっています。また、グローバル化の促進も実感しています。世の中の動きに敏感になり、自分から考えて行動することが大切な要素です。そういう力を身につけてもらうには、どんな形にするべきか考えました。

たくさんの塾を見学し、自立型の学習スタイルが最適だと思ってやり方を模索しました。その時に「オンラインで実践できるのではないか」と思い、完全にオンラインでの運営にトライしてみました。

オンラインで運営するメリットとして、家賃などの固定費がかからないことが挙げられます。基本コンテンツは月額880円で利用できるという料金設定にできたのも、コストを押さえられたことが大きいです。

また、CLSは木原さん一人で管理できます。個別指導の塾をやっていた時は、生徒が2~3人ごとに講師が1人必要でしたが、CLSは先生1人が見られる範囲が広いです。

講師の働き方改革も、オンラインで実現できます。私は先日九州に出張があったのですが、出張先でも仕事ができました。去年、木原先生と同じタイミングで東京を離れてみるという取り組みもしましたが、Wi-Fiさえあれば問題なくできました。

Studyplus for Schoolの導入で解決した3つの課題

大庭先生:Studyplus for Schoolの導入前、上記の図で赤丸に書いたような点が課題としてありました。そんな中でStudyplus for Schoolを取り入れたことで、まず非同期型のサポートができるようになりました。そして、生徒が塾以外の場所で行っている主体的な取り組みを見える化し、コーチングを効率的にできるようになり、これら3つの課題を解決することができました。

日々の運用については、記録や計画は生徒が入力し、講師がそれをチェックをします。週1回のカウンセリングの後にカレンダー機能で翌週の予定を立て、CLSに参加するときは学校の宿題などその時に応じて修正します。

生徒は記録入力だけでなく、できるだけ自己分析をします。講師は「いいね」をつけたり、コメントを書いたりします。面談記録はカルテに残し、カウンセリングでは講師からの問いかけに自分で言語化して答えます。

また、スタディプラスが主催する、学習時間を競うS-1グランプリにも参加しました。全国にいる自分と同じ学年の生徒がどのくらい勉強しているかがわかるのは、生徒にとって大きなメリットです。

ステップアップスタディサロンをやってみて、手厚いサポートは意外とオンラインの方がしやすいのではないかと感じています。出勤や退勤の時間が不要なため、距離と時間の問題 を超えることができます。自立型という指導形態についても、思い切って不要なタスクを捨てれば、成功できると思います。一方で、コーチの手腕は日々の研鑽が必要不可欠です。

Studyplus for Schoolを活用し勉強や部活で目標を達成

木原先生:Studyplus for Schoolを上手く活用したケースを2名分ご紹介します。まず、中学校1年生で入会した生徒で、この子は小学生の頃に2度失敗した英検3級を目指していました。

課題として、勉強のムラがあり、やるときとやらないときの差があるうえ、学校、部活、学習塾、英会話をこなしていてとても忙しい状況でした。

これを解決するため、すべての予定はカレンダーに入れてもらい、計画的にやるように促しました。寝る時間や起きる時間も相談し、忙しい中でもどこで時間がとれるか確認。塾に来ていない時間の行動も、一緒に決めていきました。

また、音読を少しずつ早く正確に読めるようになるため、毎回のタイムを記録することをルール化。毎回、自分の課題や改善点と合わせて時間を記録してもらいました。初めは60秒くらいかかっていたのですが、「もっと全力でやれると思う」などフィードバックしていって、少しずつ速くなりました。それを受けて本人も、「もっとこうやった方がいい」など気づきが生まれました。

また、Studyplusのカレンダーにいつ勉強するかを入力しました。もともとは勉強時間のムラがあったのですが、スケジュールをたてるとその通りにやりきる力がありました。そして無事、英検に合格。その後も、「決まっていた方がやりやすい」ということで引き続きカレンダー機能を活用しています。現在は、準2級にチャレンジしています。

次の生徒の事例です。当時中学校2年生で、まずは部活動でStudyplus for Schoolを活用しました。彼女はテニス部に所属していたのですが、非常にマイペースな生徒で、「テニスの試合で勝ったことがないから勝てるようになりたい」と言っていました。

ぜひ勝たせてあげて、成功体験を積ませてあげたいと思いました。そこで、部活についての計画を立てて実践し、振り返るというサイクルをスタート。練習が終わったら改善点を記録してもらい、「ボールの高さを意識する」など書いてもらいました。

これを繰り返した結果、練習試合で初めて勝てたという報告がありました。部活で勝つというのは小さいことのように見えるかもしれませんが、この生徒や私たちにとってはとても大きなことです。その後、公式戦でも勝つことができました。

これをきっかけに、普段の勉強の振り返りが具体的になりました。形から入ってしまっていて「課題は特にありません」と書くことも多かったのですが、部活で勝ってからは勉強についての記録も「ここをこうした方がいい」と具体的になりました。

今では部活で予選通過を目指しています。最初からこの目標を掲げても「本当にできるのか」と思ってしまったでしょうが、試合に勝てた今では現実的な目標として持つことができています。こういう変化は、当塾で最も大切にしていることの一つです。目の前の課題を一つずつクリアして、少しずつ理想の自分に近づけるようにしてほしいと思っています。

大庭先生:Y.E.S.の事例も紹介します。Y.E.S.では留学準備をしている既卒生の生徒が多く、勉強時間をしっかり取れます。現役生は受験に必要な国語などについても記録をつけてもらっています。現役生はグローバル併願に対応しているので、そこも含めて対応しています。

ある学生は、勉強の記録をずっとつけていました。しかし壁にぶつかり、TOEFLの点数が下がってしまいました。そこで行ったのが、勉強の振り返りの徹底です。フォーマットが決まっていなかったので、所感でもいいし、理解したことでもいいので書くように言い、それに私が返信しました。

これによりStudyplus for Schoolの連携が密になり、勉強の中身や取り組み方の把握もできるようになり、注力する点などを絞ることができました。結果として 2 ヶ月でスコアが 20 点向上。 進学する学校の基準に到達して、アメリカに行けました。投稿の頻度を上げるとこういった目に見える違いが生まれることを実感し、自己認識を深める大切さを感じました。今後は学習量とスコアの上がり方を蓄積していきたいと思っています。また、現役生に対しては学習の履歴を中心に、計画性や学習量の適正化に取り組んでいきたいです。

オフラインも大切にしながら課題解決のためオンラインツールを活用する

大庭先生:オンラインのコーチングを 2 年やってみて思うのは、勉強合宿の効果をお話したように、 たしかに対面の接点も大切だということです。一方で、オンラインという接点とコーチングという関わり方を探している保護者や学生はいて、我々にとっては遠方である関西などから問い合わせもあり、入会してもらっています。ここにニーズはあるなと、手ごたえを感じています。

また、ツールを導入したら何か変わると思うのではなく、自分たち自身が考えを変えていくことが大切だと思いました。塾や学校で運用するときも、「実現したいことは何か」を考えることが必要です。私は「もっと主体的に学んでほしい」「講師の長時間拘束を改善したい」「自分の働き方改革したい」という思いがあったのですが、そういうものを持っていると、ツールを導入したときに役立ちます。

今後は、スタディプラスを利用した繋がりでいろいろなことを学びたいです。教育課題の解 決のためには、塾同士の横の連携を増やしていくことが大切だと思います。個人で事業をす るようになるとどうしても外からの刺激が減ります。これからスタディアップサロンを担っていく木原先生も、いろんな先生方から学ばせてもらい、取り組みの質を高めて、生徒のために、社会課題の解決のために、やっていきたいと思っています。



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