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ICTツールの真ん中に位置するStudyplus for School|ラボ寺子屋【Studyplus for School Award 2020】

Studyplus for School Award 2020とは、少子化・採用難・地域格差という社会課題が広がる中で、未来の教育の在り方・先生の新しい働き方に果敢に挑戦する教育機関を表彰するものです。 

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従来は、授賞式や受賞者によるプレゼンテーションを含むイベントを開催しておりましたが、新型コロナウイルスの影響を踏まえ、この度オンライン配信で受賞者によるプレゼンテーションを実施いたしました。その模様をnoteでもお伝えしていきます。

今回ご紹介するのは、スタートアップ部門で受賞された、東京都のラボ寺子屋の小泉先生の回です。

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生徒が10年後に「通って良かった」と思う塾になる

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ラボ寺子屋の小泉です。私は、学生時代に栄光ゼミナールでアルバイト講師として、初年度から週4~5日稼働していました。大学卒業後は、不動産と金融系の企業に入社したのですが、リーマンショックの煽りを受け、関連会社への転籍を余儀なくされました。

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その会社では、1日11時間ほど勤務し、サラリーマンとして様々なことを学びました。そこで学んだ「PDCAサイクルを回す」、「数値的根拠を持つ」といったことは、今でも塾運営をする中で活きています。

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当塾は、今年8年目を迎えた東京都板橋区にある学習塾で、もともとは小中学生向けの学習塾として開校しました。現在は、中高生をメインに、映像授業での指導と個別指導をハイブリッドで行っています。映像授業は、Assistやベリタスアカデミー、atama plusなど複数のツールを組み合わせています。

最近のモット―は、「健康で文化的な教室経営」です。場所が東京ということもあり、超スモール経営を心掛けており、生徒は30名弱、社員が1名、スタッフが3名、他に業務委託の方が2名います。

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当塾で、大切にしていることは、5つあります。1つ目が、「10年後に通っていて良かったと思われること」です。生徒たちが働き始めた後に、思い出してもらうことを意識しています。そのため、単に成績を上げるのではなく、成績が上がるまでの過程を大切にします。

2つ目は、「親の代わりであるという意識を持つこと」です。保護者からすると、「これだけお金を払っているのだから」という思いを持つのは当然です。保護者と同じ観点を持ち、当たり前のことを当たり前にできるようになる指導しています。

3つ目は、「魚を釣ってあげるのではなく、魚釣りを教えること」です。当塾では、勉強を教えるのではなく、勉強のやり方を教えます。長い時間勉強することも大切ですが、結果的として、成果が出ているかどうかの方が大切ですし、今やっていることが、きちんと知識として身につくことなのかを、きちんと考えさせるようにしています。

4つ目は、「論語と算盤理念的、先義後利、顧客は社会」という考え方です。それぞれ名著などで語られているものですが、この3つの考え方を用いて塾を運営しています。「顧客は社会」とは、つまり、塾の先生は、将来のためを思い、社会で活躍する人間を育てることが仕事だという考えです。

5つ目は、「なんとかなる」ではなく「なんとかする」です。これは栄光ゼミナールの教室長がよく言っていた言葉です。楽観的になるのではなく、積極的にどうしたら課題を解決できるか考えることを大切にしています。

会社員時代に行っていた「業務改善」を学習塾でも応用

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当塾は、開業してから、複数の慢性的な課題を抱えていました。マーケティングもせず資金力もない状態で始めた上、講師にも恵まれず、生徒の学力レベルの多様化が進み格差がどんどん大きくなりました。

さらに、高校部設立の必要性を感じ、開始したところ、高校生への指導に多くの時間が取られるようになっていきました。

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その時に、一人のとある家庭教師を知りました。その先生は、大学生ながら家庭教師として独立しており、パソコンやスマホを活用していました。Googleカレンダーで宿題の期限を共有するなどしていたことから、自分もサラリーマン時代に、日々業務改善をしていたことを思い出したのです。

当時、問い合わせ内容を社内でどう共有するかの改善作業をしていたのですが、それと同じことをここでもやればいいのではないかと気づきました。この気づきは、今振り返ると大きなターニングポイントでした。

この年に、高校3年生を初めて教えることになりました。大学受験の指導ノウハウはほぼなかったため、受験コンパスを導入し、文系科目の授業以外は、学習管理をすることにしました。

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具体的には、目標を設定し、そのためにやるべきことを年間・月間・週間に落とし込みました。随時、進捗確認し、学習におけるPDCAサイクルを常に回すイメージです。

作業効率を上げコミュニケーション量を確保

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ここで新たに課題になったのが、ワンオペには限界があるということです。当時は、小中学生への授業もしていたため、仕事が増え大変な状況でした。そこで、何かしら仕組化や簡素化が必要だと思いました。

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そこで、Googleカレンダーに計画を入力させて共有したり、ハングアウトを使い、メッセージのやりとりをするなどの対策をとりました。生徒にテスト受けさせた際には、その結果を写真に撮り送ってもらうこともありました。

しかし、まだまだアナログな面が大きく、非常に手間が多かったです。もっと余裕のある運営がしたいと思っていた時に、Studyplus for Schoolを知りました。

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すぐに問い合わせ、導入したところ、PDCAサイクルが大きく改善しました。そして結果として、業務効率がアップし生徒とコミュニケーション頻度が増えました。

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さらに、スタッフに任せることができる業務も増えました。面談もフォーマット化しておくことで、ある程度は、こちらが狙ったように実施してもらえます。また、スタッフに対しては、なぜこの方法なのか説明をし、理解してもらうことで、モチベーションが上がるように心掛けています。

Studyplus for Schoolにより、様々な業務で時間短縮ができたおかげで、小中学生の指導や保護者の対応などに時間が使えるようになりました。保護者も、「この塾はよく面倒見てくれるよ」と他の方に話してくださるため、広告を出さずとも生徒が増加しました。この経験から、学習の最適化へ関心が深まっていきました。

東京での学習塾経営の難しさと人材採用難

以前は、塾講師といえば他のアルバイトより時給が少し高めでしたが、今は、あまり有利性がありません。さらに、就職活動の早期化により都内では特に、インターンに行く学生が増えたことで、シフトに入れなくなり、人員が不足することもあります。

こういった背景から、人材が流動的になり、アルバイトの先生に依存するのは難しく、子供の数が減り生徒数も減っているため、自立型にシフトしていかなければ、生き残っていけないだろうと考えるようになりました。

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さらに、AIの活用という大きな変化もあります。当塾でも、atama plusを使っていますが、AI活用が進めば時間と場所の概念も変わると思っています。とはいえ、「AIは人間ができることのトレースしかできない」という考えが多いため、この人間にしかできない領域を見つけ、重点的にやっていこうと、私の中でもここ数年で教育観がかなり変化しました。

ICTツールはシンプルで仕組化できるものがよい

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他業界では、生産性向上に取り組む企業が多くあります。しかし、学校や塾などの教育業界では、それがなかなか進まず、長い時間勉強することが良しとされているままです。これでは子どもたちに、生産性という発想を養うことは難しいと思います。

大人になってからいきなりやれと言われても、相当大変です。また、終身雇用制度が崩れる中では、いろんな発想を持っている方が有利ですから、子供たちが10年後に求められる力は、知識量ではなく観察力や行動力、何かを工夫する力、課題解決力などになってくるのではないかと思います。

もちろん成績を上げることも大切ですが、部活が忙しいとか提出物が多いという状況下で、どうやって課題をクリアするのか。そのプロセス支えて、解決する方法探しに、伴走していけたらと思っています。

そして、生徒たちに指示するには、まず自分がやっていないといけません。そのためにも、当塾では、ICTの力を借りながら多様な課題解決に取り組んでいます。

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実際に、複数のICT教材を導入して、人の代わりを勤めてもらっています。Studyplus for Schoolは、当塾が活用しているICTツールの真ん中にあり、情報集約してくれています。

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こちらは、現在の塾の運営図です。午前中は、スタッフの報告書をチェックしたりStudyplus for Schoolを見たりしています。ここで注意しているのが、特徴があるコメントと何かしらの変化です。何か反応がほしいのかなと感じることには、すぐ反応するようにしています。

また、記録された時間もよく見ます。高校生は1時くらいまで映像授業を見ていることもあるため、どのタイミングで勉強しているのかを知り、勉強の生産性についてチェックしています。映像授業の場合、生徒の手入力ではなく自動連携して記録されるため、とても正確です。

複数のICTツールを使っていると、選ぶときのポイントについてよく聞かれます。基本的には、シンプルで、仕組化できて、来年違うスタッフが入ってきても同じようにできるかどうかを大切にしています。複雑にしないことがポイントだと思います。

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こちらは、スタッフに任せている内容です。

映像授業を使いスタッフはコミュニケーションに注力

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当塾では、小中学生にAssistを導入しました。これにより、模索していた個別最適化の状態に近づいたと思います。東京は、私立中学・高校に進学する生徒の比率が増えているため、生徒が塾に求めるものも多様化してきています。

その全てに応えようとするとコストがかかるため、ターゲットを絞らないといけません。ですが、ターゲットを絞ると対象範囲が狭まるというジレンマに陥いります。この部分を解消してくれているのが、Assistです。また、Studyplus for Schoolと連携しているため、管理も手間がかかりません。

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スタッフには、授業をしない分、生徒とのコミュニケーションを大切にしてもらっています。対話時間を確保できるため、しっかり様子を観察することができます。また、適切なレベルで勉強を進められるため、勉強が得意でない生徒も成績を伸ばすことができました。要因としては、反復演習がしやすく、一定のレベルに到達しないと次に進めないという仕組になっていることが大きいです。

Assistを導入してから、スタッフに求める資質も変わりました。TASUKE塾の﨑山先生がプレゼンの中で、「スタッフの学歴や学力は関係ない」と仰っていたことに共感しています。それよりも、人間性や責任感、危機管理能力といった非認知力の方が大切だと思います。

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高校生には、ベリタスアカデミーを導入しています。Studyplus for Schoolと連携している点が、導入の決め手のひとつでした。特に、ベリトレといって単語や英文法、古文単語などの基礎的な勉強を定着させることができるところが気に入っています。

ある予備校の先生は、ベリタスアカデミーがこれだけ伸びたのは、単にオンライン教材だからではなく、演習ができて知識の定着までシステムが組まれているからだと仰っていました。これはその通りで、アウトプットの部分までカバーできるのは、非常に魅力的だと思います。

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高校生に対しても、基礎学習の時間を圧縮できるため、その分、発展的な勉強をしたり、生徒と対話する時間を設けられています。

「見えない」記録にも注目する

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Studyplus for Schoolとオンライン教材を連携させることで、言語化されてない生徒の日常の生活を察することがきます。コメントがなくても、この画面を見るだけで生徒が勉強しているかどうか分かり、特にコロナによる休校期間はありがたかったです。

当塾は、3月から5月まで教室は閉鎖しました。基本的に、自宅で勉強してもらい、課題提出するために教室に来る形にしました。このやり方ができたのは、Studyplus for Schoolで生徒の進捗が分かっていたからでした。

例えば、小学生に向けて教科書の解説授業をオンラインで配信している時でも、中学生が映像授業を見始めたことが分かります。また、こういった情報が集まることで、面談時に「あの時、ちゃんとできていたね」と承認してあげることができました。

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さらに、正答率も簡単にチェックできるため、具体的なフォローが必要な単元も分かります。例えば、この生徒は間接疑問文の問題を67%しか正解できていないので、この後フォローしようと気づけます。

勉強の記録がStudyplus for Schoolでまとめられると、生徒に何かあった時にすぐ気がつきやすいです。また、記録されたことだけでなく、記録されなかったことに注目することも大切です。

ある生徒はやるべきことをやっておらず、記録がついていませんでした。話を聞いてみると、模試の結果が良くないことを気にして自信がなくなり、全てに消極的になっていたそうです。

見えるものだけに注目するのではなく、このように見えない部分にどう対応するかが、人間しかできないことだと思います。面談などで、こうした情報を活かしていきたいと思っています。

また、卒業生の記録も有効活用していきたいです。連携を解除しても、過去のログは残るため、記録をきちんと蓄積していくと現役の生徒たちに話す際に、すごく説得力のある資料になると思います。

スタディプラスで広がるコミュニティ

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Studyplus for Schoolを導入して多くの機会をいただき、それがきっかけで仕事の幅が広がりました。来月もある研修会で登壇するのですが、それも私がスタディプラスでのイベントで登壇し、その模様がnote記事にアップされたことがきっかけでした。

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また、以前Studyplus for School主催のCounter Nightというイベントでも多くの人と出会い、そこから業務提携なども生まれています。

例えば、現在業務提携でお付き合いをしている「ナカジュク」さんともここで出会い、今7教室運営されているうちの1教室をお預かりして、提携しています。ここでは、オンライン校のような形で、苦手な科目のフォローなどを教室の垣根を超えて行ってます。

他にも、質問対応や、進路指導を行ったり、Studyplus for Schoolのタイムラインやメッセージを見ながらアドバイスやフォローなどをさせていただいています。

私にとって、Studyplus for Schoolは水のような存在です。普段は、当たり前の存在で意識することはなくても、なければ困ります。塾によって色んな使い分けができるため、様々ある機能の中でも自分たちにとって必要なところだけを使うようにすると良いと思います。あまり気負わず、使えるところ使うという方針がおすすめです。

また、私はICT教材を複数使っていますが、これほどスタッフがフォローアップしてくれる企業はそうそうありません。これだけは当たり前ではないと思います。

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当塾では、3年以上使っていますが、同じ悩みを持つ仲間ができたり、新しい仕事ができたり、相談相手になってくれる点がメリットだと感じています。そして、声が届く企業だと思います。私も色んな希望を伝えましたが、実際に機能が増えていき、その様子を見ていることも面白かったです。

スタディプラスの方々は、会社の人というより、同じ方向を向く仲間だと感じますし、他のStudyplus for School導入塾さんも、きっと同じ方向を向いているのではと思っています。だからこそ、見学していただいたり、相談していただいたり、様々な要望に応えたいと考えるようになりました。

塾業界は、現在大きく変わっており、その変化に関われているという実感があります。ダイナミックな仕事をさせていただけて、とてもありがたいです。

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今後の展開として、小学生と中学生にそれぞれ上記のことを注力していきたいです。さらに、塾としてB to Bの仕事もしていきます。何かを貶めたりするわけではなく、協調するわけでもなく、一緒に助け合っていくことが理想です。今いるコミュニティならそれができると思っています。

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