一人ひとりの自立度にあわせた指導法を構築|ゴールフリーLab【Studyplus for School Award 2021】
Studyplus for School Award 2021とは、少子化・採用難・地域格差という社会課題が広がる中で、未来の教育の在り方・先生の新しい働き方に果敢に挑戦する教育機関を表彰するものです。
昨年に続き今年も、受賞校によるプレゼンテーションを含むイベントをオンラインで開催いたしました。その模様をnoteでもお伝えしていきます。
今回ご紹介するのは、自立指導部門で受賞された、ゴールフリーLab(滋賀県)の松村先生の回です。
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複数のICTツールを使い演習を中心に学習内容を定着させる
弊社は、京都府京都市烏丸に本社を構え、幼児教育から小中高生の学習塾、大学生支援など幅広く手がけています。その中でも、ゴールフリーLabは、高校生と中高一貫校の中学生専用の自立型教育部門という立ち位置にあります。
校舎は二条城駅前と、草津駅東口にあります。教室内はカフェのような落ち着いた雰囲気にしています。基本的には、オープンスペースを利用し、人がいない方が集中できるという生徒は個別ブースを利用しています。
使用しているICTツールは、ベーシックウイング、アドバンスウイング、学研プライムatama plus、eトレ、河合塾ONE、そしてStudyplus for Schoolです。
当塾は、「自ら主体的に能動的に学ぶこと」をコンセプトにしているため、問題演習を重視しています。
こちらは、ラーニングピラミッドといって、学習の定着率を表した図です。研究の結果、人は、講義を通して全体の5%しか定着しないことが分かっています。だからこそ、問題演習にしっかり取り組むことが大切だと思っています。
学習の流れとしては、まずはベーシックウイング、アドバンスウイング、学研プライムゼミなどを使い講義を受けます。
次に、演習を行います。ベーシックウイングとアドバンスウイングの、練習問題や定着問題を使います。他にも参考書を使った勉強や、eトレの利用なども組み合わせて勉強するスタイルです。
生徒は入学時に年間計画表を立てます。そして、年間計画をもとに月間・週間計画を作り、それにそって勉強し、小テストなどで定着を確認します。また、毎週30分1対1で面談を行っており、調整が必要であれば計画を立て直し、それに沿って勉強していくサイクルです。
部活動が忙しい生徒は、なかなか計画通りに進められないこともありますが、そういった点も面談で話し合い、修正しています。
当塾は、コースを問わず全教科の勉強に取り組み、それぞれの科目について計画を作ります。その際、進路にあわせて毎週どれぐらい勉強する必要があるのかを算出し、提示します。自立型学習塾ではありますが、勉強の仕方が分からない状態で入塾する生徒がほとんどなので、受験や定期試験に向けたフォローも行います。
ですが、細かい勉強については指定せず、週の目標を達成するために、生徒が自分でスケジュールを組み、私やチューターに報告する形にしています。
導入により解決できた3つの課題
当塾ではStudyplus for Schoolを導入することで、3つの課題を解決することができました。
1つ目の課題は、生徒の全体的な学習内容や時間を把握できていなかったことです。
生徒の中には週1回、1つの授業しかとっていないこともあり、その授業以外の科目については実態が見えていませんでした。また、自習室で勉強するように言ってもなかなかやってくれず、ほとんどの生徒は授業のときだけ塾に来ていました。そのため通塾日以外に、どの科目をどれくらい勉強しているのかがわかりませんでした。
Studyplus for Schoolを利用してからは、履修していない科目についてもわかりますし、勉強にどのくらい時間を割いているのか、どういうバランスで勉強しているかがわかるようになりました。
2つ目の課題は、面談内容の引き継ぎにムラがあったことです。手書きの紙やExcelで引き継ぎをしていたものの、きちんと引継ぎできていることもあれば、うまく連携できないこともありました。
Studyplus for School導入後はカルテ機能を使い、テンプレートに沿って面談内容を書き残してもらっています。Excelなどを使わず管理を一元化することで、確認も楽になりました。
3つ目の課題は、生徒や保護者からの連絡手段が電話のみだったことです。進路相談や提案した講座の提案に対する質問、急な休みの連絡など、すべて電話に頼っていました。Studyplus for Schoolではメッセージを送れますので、(電話だけと比べて)コミュニケーションのハードルが下がり、生徒や保護者さんとも気軽に連絡できるようになりました。
導入後の生徒の変化
Studyplus for School導入前後の違いを、ある生徒の様子を例にご紹介します。1人目の生徒は現在高校3年生で、入塾したのは高校2年生の2月でした。内部進学を狙っていたため、学校のテストの結果が非常に重要だったのですが、日頃から勉強する習慣はなく、テスト前だけ勉強していました。その結果、2学期の期末考査の平均得点率が62%でした。
入塾してから現在にいたるまで、ほぼ毎日通って勉強しています。その結果、学年末考査では平均得点率が75%ほどに上がり、無事成果を出すことができました。
2人目は、現在高校3年生で、もともと別の予備校に通っていた生徒です。こちらの生徒は、学校の課題をこなすのでいっぱいいっぱいで、定期考査の得点率も40%程度だったことから、予備校に通う意味を見出せず、当塾にやってきました。
入塾後は、ほぼ毎日通ってくれ、定期考査でも50%を取れるようになりました。大学受験では一般選抜を受けるため、正念場に向けて成功体験を生むことができてきていると思います。
学習記録と一緒に自己評価を書くことで定着度合いを見極める
自立型の塾を1年間運営してみて、新たな課題も見つかりました。1つ目はStudyplus for Schoolで学習記録をつけさせることが目的化してしまったことです。草津では自立型の学習塾はまだ珍しく、当塾を選んで通う生徒は素直に記録をつけてくれることが多いです。
しかし、記録をつけたものの、勉強したことが定着していないということはよくあります。そこで、学習記録をつけるときに、その日の勉強の自己評価をつけるようにしました。
初めから細かく書くのは難しいため、このように簡単な感想から始めています。書くことに慣れてくると、勉強したことについて自分がどう思ったか、できなかったことができるようになったなど具体的に書けるようになります。
先日、高校2~3年生の生徒とセンター試験の過去問を解く会を開いたのですが、こちらが指示せずとも自分で記録と感想を書いてくれた生徒がいました。この生徒は、もともと学習記録をそれほどつけるタイプではなかったので、とても驚き嬉しかったです。
2つ目は、これまで勉強の経験が少なかった生徒に対し、フォローが不足していたことです。多くの生徒は順調に学習を進められていたのですが、中には問題もありました。その生徒は高校の学習進度がかなり遅く、学習習慣が全くなかったのです。
学習習慣もなく、入試を意識していない授業を受けてきた生徒を自立型指導で進めていくのは難しいところもありましたので、他の生徒よりも勉強への意識づけを早い段階から行っていく必要があったと感じました。
勉強の意識づけ対策として、今年からは「センター試験 を解く会」を開きました。これは、4月末や高校3年生が部活動を引退したタイミングするくらいのタイミングで定期的に実施しています。
3つ目は、日頃からスマートフォンの電源を入れていない生徒がおり、Studyplus for Schoolをつけてもらえないということです。中には1週間まったく記録をつけない生徒もいます。特に、オンライン指導の生徒だと塾にも来ないので、様子も分かりません。
そこで、オペレーションとして、オンライン指導の生徒がいる場合は、ほぼ毎日オンライン自習室を開いて、そこで勉強してもらう必要があると思いました。
また、現在は最初の面談で「Studyplus for Schoolをつけなければ入塾の意味は薄くなる」と説明するようにしています。多くのICTツールを導入していることもあり、Studyplus for Schoolで一括して記録をつけて自己評価をすることで、学習の価値が上がると思っているからです。
生徒の自立度に合わせ管理と放任のバランスを取る
当塾は、あくまで自ら主体的に学習できるようになるための場でありたいと考えています。まだ主体的に学習できない生徒には必要に応じて管理をし、自分でできるようになったら少しずつ放任していくようにしたいと思っています。
これを実現するために、今後はStudyplus for Schoolでの自己評価記入を徹底していく予定です。自分のできているところ、そうでないところを評価・判断することで、成績向上につなげていきたいと思います。
また、チューターの指導力をさらに上げていきたいと考えています。週間面談は、基本的に大学生アルバイトのチューターが担当しているため、チューターによって差がでないよう、学校情報や最新の入試傾向などをしっかりと落とし込み、指導を充実させていきます。
これからもStudyplus for Schoolを使い、良い学習空間の提供や通塾しているすべての生徒が学習習慣を作って、それぞれの目標に向かって歩めるように頑張っていきます。