全国のライバルから刺激を受けながら「自分だけのストーリー」を作り上げる|進学予備校Eureka【Studyplus for School Award 2020】
Studyplus for School Award 2020とは、少子化・採用難・地域格差という社会課題が広がる中で、未来の教育の在り方・先生の新しい働き方に果敢に挑戦する教育機関を表彰するものです。
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従来は、授賞式や受賞者によるプレゼンテーションを含むイベントを開催しておりましたが、新型コロナウイルスの影響を踏まえ、この度オンライン配信で受賞者によるプレゼンテーションを実施いたしました。その模様をnoteでもお伝えしていきます。
今回ご紹介するのは、高校生部門自立指導部門で受賞された、北海道の進学予備校Eurekaの鈴木先生の回です。
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逆境のなかでも対象を小中学生から高校生にシフト
進学予備校Eurekaの鈴木です。私は、大学生の頃から塾講師のアルバイトをしており、指導歴は22年ほどです。集団指導や個別指導、映像授業収録などを経験したのち、7年前に当塾を開校し、自立型指導を始めました。
当塾の7年の歩みをご説明します。初めは、小中学生を対象に、進学塾Aquaの名前で運営していました。当時、まだ自立型学習はメジャーではなく、どちらかというと良いイメージは持たれていませんでした。ICTツールをいくつも試しましたが、保護者からは、「パソコンを使って勉強するんですか?」と疑いの目を向けられることが多かったです。
また、小中学生を対象としつつも、ずっと高校生の指導をしたいと考えていました。いつかは大学受験の指導にシフトしようと思い、まずは中学校3年生の生徒に、高校入学後も継続してもらうことを目標に掲げました。
転換点は、2年前にありました。北海道地震が発生し、当時借りていたテナントから退去せざるをえなくなったのです。これをきっかけに、駅から近いテナントを借り直し、高校生をメインとした予備校にシフトしました。このシフトは、私にとって大きな挑戦でした。というのも、同業者に、「高校生をメインで教えたい」と話すと、「自分もやってみたが出来なかった」という声が多かったのです。
しかし、「高校生は難しい」と多くの人が言うため、逆にチャンスでもあると感じました。あまり人が手をつけていないフィールドだからこそ、そこでうまく差別化できれば、結果が出せると思ったのです。当塾のような小規模塾が、高校生を指導することは特に珍しかったため、より一層準備に励みました。高校生を対象とすることにより、卒塾生が大学生になって講師をするという流れをつくることができました。北海道大学が近くにあるため、そこに合格させることができれば、そのまま講師を確保できます。採用の手間が省けますし、私のことや当塾のやり方を知っている教え子が講師になるため、連携がしやすくなります。
そして、高校生指導に注力した結果、2019年は過去最高の進学実績を出すことができました。しかし、新型コロナウイルスにより、春の新規生徒募集がほとんどできませんでした。現在は、何とか今年を乗り切ろうとしているところです。
映像コンテンツを使った勉強の一般化
私は、独立前から映像授業を多用していました。15年ほど様々なものを試しているため、精通している方だと思います。
最近は、多くの生徒がYouTubeを使って勉強するようになっています。実際のところ、今やYouTubeはGoogleに続き第2位の検索エンジンです。特に、勘の良い生徒はスマホを使いこなし、YouTubeで疑問を解決したり、調べ物をしています。札幌の中高生でさえ、この状態ですので、関東・関西の都心部では、もっとこの傾向が強いのではないかと感じています。また、動画内に人が出てくるか否かはあまり関係ありません。面白おかしい内容でも、真面目な内容でも、生徒自身に合っていれば視聴するようです。そして、20分を越える長い映像は、倦厭されてしまします。
しかし、勉強が苦手な生徒は、映像授業が合わないことが多いようです。動画で説明を聞くよりも、隣に座り、直接説明してあげる方がより理解に繋がります。
記録をつけることでより勉強しようという気持ちが芽生える
生徒に限らず、誰しも記録をつけると自分の行動が目に見えるため、もっと良くなろうとする習性があります。ライザップでも、食べたものの記録をつけることでより良い食習慣に変わっていく人が多いそうです。
私も実際に記録をつけてみました。今年、ある国家試験を受けたのですが、グラフ化することで全く勉強していない日があるとそれに改めて気づかされます。また、同じ試験を受ける他者の勉強時間を知ると、「あの人は週に40時間も勉強しているのに、自分はできていない」と刺激も得ます。
Studyplus for Schoolを導入することで、これと同じ効果が生徒に出ると確信しました。ただ勉強するより、記録をつけながらライバルの動向を知ることでモチベーションが上がるため、学習管理アプリは非常に効果が高いと思いました。さらに、面談がしやすいというメリットも導入後に感じました。
また、生徒とのコミュニケーションが増えました。自立型指導では、コミュニケーション面の課題が出やすいのですが、話題をつくることが出来るため、非常にありがたいです。講師側からコミュニケーションを仕掛けることができるツールだと思います。
勉強の記録をつけることは、「自分だけの勉強ストーリーを作る」ということです。この話は、新しい生徒が入塾する時に必ずしています。勉強記録は大学受験だけでなく、就活でも役立ちます。面接で自分のアピールポイントとして、数年間の頑張りを面接官に見せるのは良い手法です。また、継続して頑張っていることを知ってもらうことで、応援してくれる人も増えると話しています。
入塾してからも、よくこうした話をしていましたが、最近はあまり口に出さずにいたためか、記録率がみるみる下がりました。こちらから、「記録をつけて」と定期的に言わなければ、すぐに落ちてしまいます。
ですが、記録をつけなくても成績が良い生徒には、あまり言わないようにしています。テストの点数が高く、模試でもA判定ということであれば、勉強のペースを乱さない方が良いことから、やり方は任せるようにしています。成績が伸びていない生徒には、声掛けの必要があるため、改めて話していく予定です。
集客のためにブログ更新や異業種交流に励む
塾にとって、集客は永遠の課題です。特にコロナ禍では、いわゆるドブ板営業をするしかないと思っています。校門前配布を行い、ほぼ毎日ブログを更新しています。毎日更新することで、検索結果の上の方にHPが出てくるため、何とか続けています。
また、異業種の方と交流も大切です。保護者は、自分の子どもは知っている人に預けたいと思うものです。そのため、たくさんの人と交流し、私のファンになってくれる方を増やし、そこから塾に来てもらうようしています。
現在、高校1年生の問い合わせが続いています。入試後すぐに学校が休みになり、全く勉強していなかったところで授業が再開し、例年以上のスピードで授業が進むようになったからだと思います。
特に、進学校に入学した生徒は、本来は余裕があるはずでした。しかし授業が始まった途端に、全力でやらなくては追いつけなくなり不安になったのだと思います。
人が重要となる時代にオフラインに注力
コロナ禍では、オンライン指導をしていましたが、今後は、対面での指導に注力する予定です。新型コロナウイルスは、「100年に1度のウイルス」と言われているため、あと100年は何も流行りません。それならば、オフラインを優先した方がいいだろうと考えています。というのも、オンライン指導をしても資本のある大手には到底勝てません。あまり差別化もできず、強いシステムも作れません。そのため、補助としてオンライン指導もしつつ、オフラインをメインにしていこうと考えています。
オフラインにこだわる理由は、誰に指導してもらいたいかが重要になってきているからです。例えば、Youtubeで勉強する生徒もいますが、これは、「あのYoutuber」に教わりたいという思いがあるからです。
また、人は、「誰と話したいか」、「誰に相談したいか」という考えを持っています。だからこそ、そこで選ばれるような塾・人にならなければなりません。
さらに、今後、必要とされる人材も変わっていくと思っています。偏差値が高いから必要とされるのではなく、企業は別の要素も求めています。そのため、テストで高い点数を取ることはもちろん大切ですが、それだけでは良い仕事をできる人にはならないとよく生徒に話しています。
情報そのものの価値がなくなっていく
これは私の個人的な考えですが、今や情報そのものにさほど価値はなく、Googleで検索すれば大抵のことは分かるようになりました。しかし、こうした情報を上手く使えるかどうかは、生徒によって違います。偏差値が高い生徒は、参考書と教科書があれば充分ですし、中間層の生徒は、これに加え、映像授業があれば勉強できます。一方で、勉強があまり得意ではない生徒には、人が必要です。生徒によってやり方を変え、最適化させることが重要になります。
そのため、進捗管理と到達度・習熟度チェックは必須です。これは、人にしかできないことですので、ここに私たちの役割があると思っています。
価値あるものが変化している以上、塾の意味も変わります。例えば、ビックリマンチョコというお菓子は、お菓子そのものよりも付属のシールを求めて購入されていました。アイドルのCDも、握手券を目当てにする人が多いです。
このように、商品の意味をずらすことによって、価値が高くなることもあるのではないでしょうか。塾も同様に、意味を変えていく必要があるというのが私の見解です。子供の数がどんどん減っていく中で、塾の意味を変え、価値を高めていきたいと考えています。
塾で読み書きそろばん以外の能力を高める
今後、チャレンジしたいこととして、読み書きそろばん以外のプログラムを考えています。まず、「生徒に授業をやらせる」こと。個別指導の形で、例えば、中学3年生が中学2年生を教えるという形です。
次に、YouTubeを利用して英語のシャドーイングをしたいと思います。これは、コストも低いため、とりかかりやすいです。
そして、生徒の自己紹介動画を作成します。スマホを使って動画を撮り、教室に来た生徒やスタッフが見ることができる形が理想です。自立型指導は、生徒がバラバラに動いているため、スタッフは一人ひとりを把握しづらい状況があります。だからこそ、生徒一人ひとりのパーソナリティーが分かる動画を作っておけると良いと考えています。
さらに、面白い大人との接点を作りたいです。私の知り合いに、経営者やITに強い高校生などがいます。他にもプロスポーツ選手など、ユニークな方との交流を持ちたいです。
最後に、保護者向けにラジオ番組をつくることを考えています。ラジオは、何かをしながら聞くことができるため、忙しいご両親のお耳だけ貸していただけたらと思っています。動画と似た部分もありますが、動画より身近に感じてもらえるため、ラジオが良いと考えているところです。
これらの共通点は、読み書きそろばんでカバーできないという点です。4技能のうち、「読む」、「書く」を勉強する機会は多いですが、「話す」、「聞く」を鍛えることがありません。
生徒を見ていても、この力が足りておらず、学校でも、一人ひとりにスポットライトを当て、指導する場面が少ないです。そのため、情報を発信したり、人前で話したりする力を、当塾で身につけてもらえたらと思ってます。
今はまだ、古い価値観から抜けきらず、5教科7科目が重視されることが多いです。しかし、これ以外のスキルも、今後はどんどん重要になっていきます。例えば、「ケーキ屋さんになりたい」という生徒がいたら、中学生でも高校生でも、今すぐチャレンジしなければならないと思います。YouTubeで作り方は調べられますし、家で焼いて、それを売ることもできます。
しかし、「いい高校」、「いい大学」に行かなくてはダメという意識が、まだ根強く残っています。「いい会社」と言われる企業に就職したとしても、10~15年以内に希望退職を募られることも増えています。だからこそ、終身雇用のイメージを捨てて、感覚を変えなければなりません。そのため、偏差値だけにこだわらず、総合的な力を高める指導をしていきたいと思っています。
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