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高3から他塾への流出増加に直面。仮説検証の中で見つけた、「生徒が本当に必要としていること」|日米文化学院【Studyplus for School Award 2022】

独自の工夫をこらしながらStudyplusサービスを上手に活用し、新しい教育の在り方に取り組まれている塾・学校を表彰する「Studyplus for School Award 2022」。昨年に続き今年も受賞校によるプレゼンテーションを含むイベントを5月10日から約1ヶ月にわたり開催いたしました。

今回は、集団指導部門でご受賞された「日米文化学院(千葉県)」 柳田 浩靖先生のご登壇回を振り返ります。

登壇校紹介

■登壇者

日米文化学院 代表
柳田 浩靖 氏

■日米文化学院とは

1982年開校の学習塾。指導対象は小学生から高校生。教育理念は、「『困難に立ち向かい、一人で学習できる子ども』を育成し、その結果、『地域のリーダーとなる人』『日本社会を動かす人』『世界規模で活躍出来る人』を生み出す指導を実践する」。
集団指導がメインで、高校生向けに映像授業を取り入れている。Studyplus for Schoolは2021年12月に導入。
HP:https://nichibei-school.net/about/

塾のことを理解した卒塾生を講師として採用し生徒をフォローする

柳田:当塾は1982年に父が創業し、私が2代目を務めています。私が代表に就任した時、経営状態は芳しくなく生徒数は50人程度でした。そこでまずは生徒数250人を目標にして経営を続けたところ、10年で超えることができ、次に300人の壁にぶつかりましたが、2019年には突破できました。

一方で高校生の人数が少し減ってきていたことに危機感を感じていたこともあり、Studyplus for Schoolを導入しました。

もともと、各方面から「Studyplus for Schoolは良い」という話は聞いていました。しかし私は「普段からコミュニケーションを取っているし、生徒にスマートフォンをあまり使わせたくない」と感じ、正直言って必要性をほとんど感じていませんでした。

そんな中で導入を決めた背景は、創業から1教場主義を掲げていたことが挙げられます。ずっとこの思いを持ってやってきたのですが、これを実現しながら事業を拡大するには、生徒数、売上増には垂直展開が必要だと思い、高等部を開始。基本的には内部性の持ち上がりを中心に、いかに続けてもらうかを考えていました。

当塾では先代から「戯れに人は雇わじ」という教えがあり、私と身内2人以外は学生講師主体で運営しています。ですので、講師が塾のことをよく理解しているかどうかが、塾の運営に非常に影響します。そのため、現在20人以上の学生講師がいますが、すべて元教え子を採用しています。そういった意味では、高校部は講師の養成機関として機能していますね。

また、当塾の特徴は地元で気安く(来易く)勉強できることで、自習室だけは常に充実させていました。高校3年生には、特別部屋も用意していました。
価格も1教科1万円くらいの安価で、実績も出ていたので問題ないと思っていました。

生徒が本当に求めていることは、管理ではなくコミュニケーション

こういった工夫をしていたのですが、ここ数年、高校3年生になってから他塾や予備校に生徒が流出するケースが増加。コロナの影響もあり、人数が減っていきました。

人数が減っていった理由の仮説として考えたのが、全教科に対応できないということです。アットウィルや学びエイドなどの映像授業を導入していたものの、初めからほかの予備校への入学を考えている生徒には響きません。

 また、当時は「宿題をチェックしてほしい」と言われても、大学に行くならそんなものは自分でやるべきだと思っていました。しかし時代に合っていないですし、「もしかすると、生徒は管理されたがっているのではないか?」と考え、受験コンパスを導入し、運用してみましたが、上手くいきませんでした。生徒は管理されたがっているというわけではなく、こちらが言ってもやらないということがわかりました。

 次に、河合塾と併塾していた卒業生講師に話しを聞いたところ、「ューターがいるのが良いのでは?」という意見が出ました。普段から悩みや相談できる人がいる環境を作ろうと思い、チューター制度を導入し、LINEを使って連絡したり、悩み面談をしたりといった業務をお願いしました。

 しかしチューター側が「自分たちの存在意義がわからないので、辞めます」と言い出しました。というのも、当塾の良さは中学時代に教わっていた講師と高校生になってからも話すことができることで、生徒はわざわざチューターに質問や相談をしないというのです。

 こういった状況の中、城南進学研究社COOの千島さんが「Studyplus for Schoolを導入したら、生徒の食いつきが良い」と話しているのを聞きました。そのお話しの中で自分に刺さったキーワードが、「超多頻度コミュニケーション」でした。生徒が欲しているのは、管理ではなくコミュニケーションだと気づきました。

 また、Studyplus for Schoolなら、チューターも「いいね」を押したりコメントを書いたりと仕事があり、存在意義も見出せます。そこで、Studyplus for Schoolの導入を決定しました。

チューターもStudyplus for Schoolを活用し、生徒の気持ちを理解する

 当塾は費用の安さがウリの一つだったため、Studyplus for Schoolを導入することによる値上げに悩みました。しかし保護者にとって大切なことは金額ではなく、子どもを志望校に入れることです。効果と費用の折り合いをどうつけるか考え、思いついたのが「Studyplus for Schoolはeトレをセットにする」という方法です。

eトレは定期テスト対策にもなりますし、Studyplus for Schoolを使えば進捗状況の管理もできます。また、グループ面談の際にeトレによる「効果測定」も行うことにし、3点セットで5,000円値上げになると説明会を行ったところ、保護者の方々にも十分にご納得いただけました。

 Studyplus for Schoolの導入後、管理はグループ面談担当のチューターに任せました。導入にあわせて新たに4人採用して、現在は専門的に業務を担当してもらっています。

 チューターを研修するに際して、教育理念など運営の根幹については話せるものの、具体的な業務についてはどのように指導していくべきかが悩みでした。そこで千葉学習塾協同組合にも加入されているテラコヤイッキューの渡邉靖子先生にお声がけし、研修をお願いしました。現場でStudyplus for Schoolの使い方に精通した先生からの研修は本当に助かりました。

 次に検討したのが、チューターの勤怠管理についてです。Studyplus for Schoolの管理を任せるとすると、チューターが「いいね」を押す時間やメッセージを送る時間をどう管理するかが問題になります。そこで、チューターにもStudyplusを使って「いいね」やメッセージを送信した記録をつけてもらい、こちらでアナリティクスで管理するようにしました。そうすることで、生徒が「記録が面倒」と思う気持ちなどがわかるだけでなく、各機能の使い方も実感できています。

また、ラボ寺子屋の小泉先生と月1回面談をさせていただくことにしました。毎回、非常に濃い学びがあり、チューターも参加して勉強しています。

面談の時に各自のアナリティクスを分析し、生徒同士での改善作業をさせています。情報共有もさせて、同じような大学を目指している生徒同士で話す中で「こういう情報があったから、この大学に合格できた」という状況が生まれました。

退塾者の減少や上位校合格などの実績が生まれた


結果的に、Studyplus for Schoolを導入して退塾者が減少しました。高校3年生への進級タイミングで退塾した生徒は2人いますが、これは他塾に移ったのではなく別の私的な理由です。

 また、大学合格実績が向上しました。令和3年度は国公立大学への合格者が増え、自塾のシステムだけで東京大学や一橋大学などに合格者を出せたこと大きな自信につながりました。

 アナリティクスを振り返ると、最も記録を入力した生徒は東京大学に、2位の生徒は一橋大学に、4位の生徒は東京外国語大学に受かりました。記入率が高い生徒が結果を出したことで、生徒に大きな影響を与えていることがわかります。

Studyplus for School導入で描く、今後の塾運営のかたち

 当塾では最近、ブロードバンド予備校を導入しました。ほかのオンラインツールは管理が面倒でしたが、ブロードバンド予備校はシンプルでフォローもかなり手厚かったです。これから、ぜひStudyplus for Schoolと連携してもらえたら嬉しいです。

 また、自習室を充実させるために1年がかりの改装工事をしています。さらに、今後は小学生や中学生にもStudyplus for Schoolを導入しようかと検討しています。

 最後に、私たちがStudyplus for Schoolを利用する理由は、生徒達にPDCAを実践させるためです。これは社会人になってからも活用できるスキルです。また、利益と結果を生み出すことが出来なければ、IICTツールを使う意味はないと考えています。
 
 学習塾を運営する上で自分が大切にしていることはストーリーの蓄積です。色々な方との信頼関係が構築されて行くことはもちろん、「塾をやっていて面白い!」という感覚の持てるストーリーがあることが大事だと思っています。Studyplus for Schoolはフットワークの軽さも持ち味だと思うので、今後も引き続きよろしくお願いします。