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小学生から高校生をオンラインで指導する|寺西共育塾【オンライン指導情報共有会】


新型コロナウイルス感染拡大の深刻化、そしてオンライン指導に関する事例が少ないことを受けて、Studyplus for School導入校で既にオンライン指導に取り組まれている方々にご協力いただき、オンライン指導に関する情報共有会を開催しています。ご興味がある方は、こちらからお申し込みください!


第7回は寺西共育塾の寺西先生にお話を伺いました!

寺西共育塾とは?


今回は寺西共育塾でのZOOMを使ったオンライン授業の様子を紹介させていただきます。

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うちは、写真のような一戸建てで塾を運営しています。
スタッフは塾長である私が1人と、アルバイトの講師の先生が1名、保護者の方に1人パートで来ていただいて昼間の掃除とか幼児のパズルとかを手伝ってもらっています。また、他に卒塾生や保護者の方、夫もたまに手伝いに来てくれたりしています。

 私自身は結婚で香川県に来まして、学習塾に7年勤めていました。その後独立して寺西共育塾を開き、今は7年目になります。生徒は、小学生は20名、中学生が30名、高校生が10名ということで、いつもだいたい60名から70名程度が通っています。

塾の場所は香川県宇多津町という所にありまして、人口は18,000人程度、中学校は一つだけです。宇多津町には高校はないので、高校のある隣町の塾の方がやっぱり高校生が多く、うちからの卒塾生もそっちに流れる傾向にあります。

小中高それぞれで導入している学習ツール


うちの塾では集団授業と映像授業を組み合わせて指導をしています。

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使っている学習ツールは、小学生は「パズル道場」「デキタス」「eトレ」さなるさんの「@Will」、学書さんの小学生ワークとかに付いている映像の「Eduplus」、イースクエアという会社のオンライン英会話を使っています。

中学生は「eトレ」、「@Will」、私自身が作っているYoutube、「デキタス」「Eduplus」、AIが音読を判定してくれるアプリ教材「ELST」。今年度から「マイスタディ」という、授業をクイズ形式にすることができるアプリも導入しています。
高校生は「@Will」、準拠の映像教材の「教科書ナビ」、「マナボ」「Eduplus」「スタディプラス」「Eトレ」を導入しています。また、保護者とのコミュニケーションツールでは「Comiru」を使っています。

オンライン授業をはじめて導入したきっかけ

今うちの塾は、完全オンライン授業での対応です。まずは、オンライン授業にしたきっかけと流れについて話そうと思います。

オンライン授業の一番はじめのきっかけなのですが、実は私が去年の12月、乳がんになったことがわかり、入院して手術をするために、一週間くらい塾を休まないといけない状況になったということがありました。

ただ自分の中では、塾があるからこそがんを克服できるという思いもあり、無茶だったと今は思うんですがどうしても休みたくなくて、病院側にも頼み込んで個室を用意してもらい、手術の日以外は病室からオンラインでZoomを使って授業をしたんです。

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この画像は、私が病院にいて、生徒たちが塾にいるという当時の状態ですね。塾の方ではこんな感じで、私のすっぴんで、闘病中のイライラしている様子が塾の大きなモニターに映し出されて「おい、そこもう一回読め」みたいな感じで言ってるんですよ。この時の生徒から聞くと、「普段よりも迫力があったよ、先生」とかって言っていました。

病室に入ってくる病院の先生たちも、「こんなのが今はできるようになっているんだね。病院でもこういうのが導入できたらいいんだけどね」という感じでみんなびっくりしていました。

この時は、生徒の保護者の方にも協力してもらって、鍵の開け閉めやZoomの立ち上げなどのために代わりばんこで来てもらったりしていました

新型コロナウイルスの影響を受けた状況判断

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入院中は、Zoomも無料アカウントで、オンライン指導を行なっていました。

退院してからは対面の授業を行なっていたんですが、テナント料の関係で今の一軒家に塾を引っ越しまして、部屋がいっぱいあるので、Zoomは監視カメラ目的で複数使って対応していました。インフルエンザでお休みになった子などには、Zoomを使って授業に参加して頂いたりもしていました。

 そんなことをしていたら、2月27日の夕方に休校要請が出たんですね。「どうしよう、どうしよう」と戸惑いながらも、保護者の方からはすぐに連絡が来るだろうと思ったので、速攻当日27日に「塾は通常通りやりますよ」という連絡をしました。その際に、もし学校が休みになった場合は「塾は昼から開けて、夜は休みにしますよ」という対応についても記載しました。

 その後ちょうど、仕事の関係で中国の方とやりとりしていて、中国では学校が完全に休みになり、高速道路も全て止まっていたり、各家庭1世帯あたり1人しか買い物にいけないという外出規制がかかっていると。
その話を聞いて、きっと日本もそうなるだろうなと思い、アンケートで「学校が休みになった時に、塾に行かせたいか休ませたいか」というのを保護者に聞いてみました。すると、予想に反して「休ませたい」という方もいて、危機感を持たれていることがわかったので、2月中にオンライン指導の準備をはじめました。

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Zoomを有料契約し、生徒の家にWiFiがあるか、タブレットやパソコン、スマホなどの端末を持っているかなどを確認しました

うちでは元々「Eduplus」を使って、中高生は全員映像を観ながら家でスマホから丸付け作業をしてもらったり、お休みの子の補修はYoutubeで動画を送ったりしていたので、生徒たちはある程度はオンラインに慣れているところはあったと思います。

また、2月からスタディプラスさんのオンライン勉強会には出させてもらっていたので、「今日は先生、Zoomっていうのでこんな話をしてきたんだよ」とか「こんな自習をやっている先生がいるんだよ」と生徒たちに話をしたりして、オンライン指導への興味を持たせていきました。

 その後、3月17日に隣町の丸亀市で初の感染者が出まして、「明日(18日)から21日まではひとまずオンライン指導に切り替えます」というアナウンスを流しました。

それから、「Wi-Fi環境、スマホ・タブレットが必要ですので、ない人は塾のを貸し出します。お知らせください。」と。Zoomの無料アプリをインストールしてくださいというのもお知らせしました。

その後のオンライン授業はうまくいっていて、一時ちょっと収束仕掛けて学校が始まったタイミングが一週間あったんですよね。ただ、東京大阪ではかなり感染者も広がっているから、塾をどうするか保護者にアンケートを流すと、「塾で受講させたい」という方が増えていて、ちょっと保護者も緩んでいるのかなと思いました。

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私自身はこの時、放射線治療に通う中で「絶対に感染してはいけない」と先生に言われていたので、この一週間だけは開けるけれど、それ以降はもうオンラインにしようという気持ちでした。
そして、1週間後の3月28日、結局4月からは小学生だけひとまず完全オンラインにするという形に決めて、アナウンスをして、その後中学生も全員オンラインに切り替えていきました。

このように頻繁にお知らせが送られてくる形だったので、保護者の方も結構大変だったのではないかと思います。お知らせを送るとメッセージの既読率がわかるので、見ていない保護者の方には電話をして対応していました。

オンライン指導をはじめる準備

実際の時間割については、中学生は必ず13時から15時半の2時間半は強制で繋げることにしました。絶対昼間オンラインゲームをすると思ったので、そうなるなら塾と繋がっておこうと。
月曜日は中1は学校の宿題をする日、中2は理社をする日、中3は英数国をする日みたいな感じで割り振っています。本当は小学生を昼間の時間にしたかったんですけど、小学生はやっぱり保護者の人がいないとZoom開けないとか、小学生低学年とかだと手がかかるという話で、夕方の時間に持ってきています。

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実際始めるにあたっては、先ほどもお伝えした通り環境の確認をしたり、スマホやパソコンが使えない家庭には貸し出しをしています。普段から中古のタブレットをちょこちょこ買っていたのがよかったです。うちにある10台のタブレットのうち、今は7台ほど貸し出しています。高校生は@Willがパソコンじゃないと見られないので、高校生にはノートパソコンを貸し出しました。

4月からうちの塾でオンライン自習室を開講するために準備していたり、私が入院してオンライン授業をしていた時に、「先生入院してるけど、病院でこうやってしよるで」と生徒がお母さんに伝えて、様子を見に来てくれていたお母さんもいたので、スムーズに始められたかなと思っています。


オンライン指導をはじめる上で大変だったこと

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 では実際にどんなことが大変だったかというと、とにかく小学生の保護者です。中高生は自分たちでやってくれるのですごい楽だったんですけど、小学生は保護者の人にやってもらわないといけないんですね。それでお知らせ送るとお母さんたちみんな、「先生、私スマホとかってLINEとかしていないのに、無理無理!」って言うんですね。
「URL送るからクリックしたらいいだけなんで、LINEの友達追加より簡単ですよ」っていう説明をずっとしていました(笑)実際URLも送っているのに電話がかかってきて、「先生、この後どうしたらいいんですか?」というお母さんもいて、丁寧に説明してやっと繋がると、もう感動ですよね。

それから、時間の割り振りです。中学生は毎日するようにして、小学生は特に低学年だと1対2が限界だったので、時間変更してもらったりしていました。

あとは、オンライン用の授業の準備。やはり授業が普段の授業通りにはいかないと思いますね。うちは映像授業でそれぞれ好きなところ進めてっていう感じで進度もバラバラだったので、それらを一斉にして対応したり、教材も新しい新年度のものを渡すなどその準備がちょっと大変でした

そして、やっぱり来ました。「うちはオンラインもしなくていいので、休塾させてください」という声ですね。そういう方には、「見てください。こんな感じで普段よりも自習が見られたり、すごくいいんです。やってみてぜひ判断してください。」と説明して、わかってもらいました。

実施する上でのトラブル


実際に始めてから出たトラブルはありました。

まず、残念ながら生徒が一人退塾になってしまいました。この子はいつも昼にお友達同士でオンラインゲームで繋がろうという風になったらしく、どうしてもそっちを優先したいということだったので、そっち優先でいくということは、この状況にならなくてもきっと退塾していたかなと思い割り切りました。

それから、小学生の対応がとても大変でしたね。うちではパズル道場をやっていて、オセロのような対戦をするんですが、それらをどうやってやろうかと。これは今も奮闘中です。

また、高校生に13時から夜の19時までいつでも繋いでいいよ、という自由な感じにするとなかなか繋いでくれなかったです。ですので、今は時間で強制しています。


オンラインでの指導の様子


では、今から実際の授業の様子をいくつか用意しましたので、ご覧ください。
こちらは、高校生の子が生物の映像授業を受けている様子です。

Zoomで画面共有すると、観る方は映像がカクカクしてしまうということなので、映像を流しているのをタブレットでこういった感じでで映しています。

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同時に、別の部屋では中3生の子たちが歴史の映像授業を受けています。

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また別の部屋では、奥のパソコンで中2が自習をしていて、手前の画面で中1の数学の授業をしています。初めの方は、学校から宿題が出ていたので、それを塾の授業の中で、教科書をPDFで映しながらやっていました。

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次に、小学生の高学年の授業ですね。Zoomのブレイクアウトルームを活用して、「問題を解く部屋」と「解説をする部屋」に分けて、3人以上指導可能にしています。

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次は、小学生の低学年でやっているパズル道場です。毎週土曜の1時開始で、この流れはみんなで問題に挑戦した後、各自でテキスト問題を家で解いて、最後に対戦をしています。
ブレイクアウトセッションで2チームに分かれて、それぞれみんなで話し合いながらやっていく形です。
もともと土曜日ということで習い事でおやすみする人も多かったこともあり、パズル道場に関してはオンラインにした方が欠席する人が減りました。

パズル


また、小学生の丸付けはこんな風にやっています。

小学生丸つけ

こんな風に、生徒にも同じ問題を持たせて、生徒に読み上げてもらって双方で丸付けしていく形でやることもあります。

丸つけ

 こちらはタッチペンでの指導ですね。うちでは今、surface2台とiPad3台使って指導しています。surfaceは塾の複合機からスキャンしてすぐにデータ飛ばせますし、surfaceはPDFでもそのまま書き込みができるのですごく便利です。iPadの場合は写メを撮って、iPadのペンシルで書き込めます。

タッチペン

それから、先ほど高校生がなかなかZoomを繋がなかったというお話したんですが、それを受けて英単語講座を、追加料金を取らずにこの期間に開講することにしました。百式英単語という単語のテキストを私が気に入っていて、それを全員に持たせています。写真のように、iPadで流している音声をZoomからみんなで聞いて、それぞれがミュートにしながら音読していっています。

英単語講座


保護者の反応


実際にオンラインにしてみて、保護者の方がどう思っているのかは、先日アンケートで聞いてみました。「オンライン授業にすると知った時、どう感じましたか?」という質問には、やっぱり接続が不安だった方、子供がきちんと勉強できるか不安だった方もいました。不安じゃなかった方は、Zoomをすでに会社で使っていらっしゃったそうです。

それから、「今はどう感じていますか?」という質問では、不満に思っている人は一人もいませんし、「きちんと勉強できているようで良かった」と。また、「塾をオンラインにして良かったと思いますか?」というのも、全員そう思ってくれているようです。

中学生に関しては毎日繋いでいるので大変なのもあり、保護者の方から「毎日繋ぐのがしんどい」という声が多かったら、あわよくば減らそうかなと思っていたんですが、「毎日で良い」という声が圧倒的に多かったので、結局月曜から土曜まで毎日しようという感じですね。

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まとめ

まとめです。なんとか一日一日こなしている感じはあります。
各学年毎日強制で繋げていますが、1学年は学校の宿題をやる自習です。自習でやったこともきちんと報告してもらったり、高校生はスタディプラスを記録をつけてもらって、毎日保護者に報告しています。

保護者もやらざるを得ないとなったらやってくれますし、私もブレイクアウトセッションのやり方とかも最初はわからなかったですが、実際触れて慣れていくしかないなと思っています。ガラケーからスマホに移行するときに少し抵抗があったのと同じですね。

私の個人の意見ですが、きっと1学期中くらいはこの状況は収まらないんじゃないかと正直思っています。香川県もすごい勢いで感染者が増えていっています。

給料が減ったりなどもあるので、お子さんがいるご家庭は特にしんどくなってくるんじゃないかと思います。ですので、もしその月謝が払えないという家庭が出てきた時にどうするかも考えなくてはいけないと思います。また、今この状況の中でもありがたいことに新規のお問い合わせっていうのをいただいているんですが、いきなりオンラインというのもどうかと今は思っていて待っていただいているので、その対応をどうしようかなども今考えている最中です。

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今後もオンライン指導に関する情報共有会を開催していきますので、ご興味がある方は、こちらからお申し込みください!