学ぶ目的に気づかせ自立学習へ導く完全オンライン指導|ドリームラーナーズ【Studyplus for School Award 2020】
Studyplus for School Award 2020とは、少子化・採用難・地域格差という社会課題が広がる中で、未来の教育の在り方・先生の新しい働き方に果敢に挑戦する教育機関を表彰するものです。
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従来は、授賞式や受賞者によるプレゼンテーションを含むイベントを開催しておりましたが、新型コロナウイルスの影響を踏まえ、この度オンライン配信で受賞者によるプレゼンテーションを実施いたしました。その模様をnoteでもお伝えしていきます。
今回ご紹介するのは、高校生部門自立指導部門で受賞された、鳥取県のドリームラーナーズの石原先生の回です。
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エンジニアなどの仕事をしながら塾を運営
ドリームラーナーズの石原です。私は、大学で一度上京し、卒業後数年東京で働いたのち、故郷の鳥取県に戻り教育関係の仕事に就きました。その後、独立し、現在は当塾を運営しています。
ドリームラーナーズの運営の傍ら、他塾で非常勤講師をしたり、学校で学習指導についてのアドバイザーをしています。他にも、県の教育委員会の会議に出席したり、非常勤のエンジニアをしたりと、複数の仕事をしています。
塾のある鳥取県倉吉市は人口が少なく、中部地域は看護大学が1校ある以外、他に大学はありません。そのため大学生がおらず、運営においては何事も一人でやるしかない状況です。
また、大学受験を目指すような高校もそれほど多くありません。近隣に2校ありますが、1学年合わせて320人ぐらいです。私は、そのうち1校の卒業生で、今でも先生と交流があります。
しかし、それらの高校の通塾率は高くなく、生徒・保護者とも、勉強は学校でなんとかしようとする雰囲気があります。その中でも、両高校は2020年度からGoogle Crassroomやスタディサプリを使い始めました。少しずつ、オンラインツールの活用が進んでいます。
学習コーチングと個別指導の2つのスタイル
当塾の指導スタイルは、学習コーチングと個別指導の2つです。教室での指導はほぼなく、面談の時だけ自宅兼教室に来てもらうという形です。そのため、県外の生徒もいます。新型コロナウイルスの関係で全てオンラインで完結できるようにしたため、入塾から卒塾まで直接顔を見ないという生徒もいます。
学習コーチングでは、Studyplus for Schoolで記録をつけてもらっています。そして、週に1回、その週の勉強について自分で総括コメントを記入させています。面談は月1回、1時間程度です。LINEを使い、質問対応していますが、頻繁に質問をする生徒もいれば全くしてこない生徒もおり、まちまちです。また、教材は、オリジナルの教材を使っているわけではなく、市販のものや、各種WEBサービス、YouTube動画などをおすすめしています。
個別指導コースでは、添削やテストを行っています。現在は、1対1で行っていますが、オンラインでの1対多の授業も検討中です。指導の際は、文字に起こしてやりとりすることを心掛けています。
こちらは自宅兼教室の様子です。右側にある椅子の辺りに机があり、そこで面談をしています。私がほぼ全ての業務を担当していますが、妻が小学校の英語指導者資格を持っているため、英会話の指導は任せています。
生徒数は、コーチングのみが13人、個別指導も受けている生徒が4人です。その他は、英会話を受ける生徒が2人、面談のみの生徒が1人います。学年はバラバラですが、浪人生と受験生が多いです。予備校に通いながら通塾している生徒や、自宅浪人生として勉強している生徒、仮面浪人している生徒もいます。
生徒の「なぜ大学に行くか」を一緒に深堀する
当塾では、授業をするのではなく勉強のやり方を教えています。というのも、「塾にさえ来ていれば成績が上がる」という思い込みを避けたかったからです。やり方を教えて本人が自分で勉強しない限り、成績は上がりません。これは、生徒も保護者も分かってはいることですが、あらためて、ここをしっかり理解してもらいたいと思い、教材の使い方などを主に指導しています。
当塾の近隣エリアの生徒たちは、受験に向けて1~2年生のうちから何をやっておけばいいのか、3年生になってから何をすればいいのかなどの指導を、あまり受けられていません。そのため、その点についても、しっかり教えたいと思っています。
私自身、学生時代に勉強はしていましたが、進路については、ほとんど何も考えないまま進学してしまいました。そのため、進学後に非常に苦労しました。ですので、生徒には、早いうちから「自分はなぜ大学に行くのか」も踏まえて、進学後のことや将来の展望などを一緒に考えて行きたいと思っています。
この想いに至ったきっかけは、東京で高校生を相手に進路指導や学習指導をしていたことです。地元に戻り、浪人生の指導をした時、東京の学生とは進路への意識に大きなギャップがあると感じたのです。
地元の生徒は、「なぜ大学に行きたいの?」という質問にまともに答えられません。これは進路指導不足もありますし、本人が「なんで大学に行くんだろう?」としっかり考える機会がないことが原因です。これでは勉強に本気になれず、面倒になり諦めてしまいやすくなります。
学校では、将来について「夢は何?」と聞くことはあります。ただ、この質問だけで、「私はこういうことをしたいんだ」とはっきり分かる生徒は多くありません。夢と大学で学ぶことを結びつけられないことがほとんどです。
そのため、志望校を決めろと突然言われても、「よく分かりません」となってしまいます。こういう状況に陥った地元の浪人生や高校生を見ていて、この現状をなんとかしたいと思いました。そのためにも、もっと一人ひとりに、「あなたは何がしたいの?それに向けて、何が必要なの?」と話さなければいけないと思い、面談をしています。
面談では、どうやってお金を稼ぐか、何かしら将来への展望があるか必ず聞きます。もちろん、学問的にやりたいことがあり、将来お金になるかどうかわからないけど行きたいという生徒がいれば、その意思を尊重しています。
ですが、夢がなく、なぜ大学へ行くか分からない生徒もたくさんいます。そういう生徒は、「これは絶対にやりたい」と思える強烈な何かを持っていないとダメだと思っています。まずは、そこを解きほぐさなければいけません。
大学に行く動機は、様々あっていいと思います。単に東京に行きたいとか、テニスがやりたいからテニスが強いサークルや部活がある大学に行きたいとか、オーケストラがやりたいなど、なんでもいいのです。
誰が聞いても納得するような、口に出しても恥ずかしくない目標しか持ってはいけないという思い込みを取っ払い、どういう風に自分の人生を生きていきたいのかを一緒に考えます。
ですから、私が面談で話すことは少ないです。生徒が何を考えているかを知り、そこで初めてアイデアを出します。生徒は最初から目標や希望、動機などを詳しく話せることは少ないですが、一緒に展望を考え、徐々に明確にすることができたらという気持ちでやっています。
なぜこうした活動をオンラインでやっているのか、理由はいくつかありますが、まず複数の仕事をしたいという想いがありました。そのため、自分が立ち上げた塾に、全ての時間を費やすという考えは最初からありませんでした。
そして、最初からオンラインで行うことで、色んなICTツールをある程度使うことを前提にできます。生徒や保護者も、「インストールってなんですか?」、「アプリってなんですか?」というような方はあまり来ないのではないかという狙いもありました。
生徒募集の方法は、地域のフリーペーパーに載せているだけです。WEBサイトとnoteを使い、4月までは毎日発信していましたが、最近はあまり更新していません。ですが、それらから問い合わせもありますし、実際の入会にも繋がっています。
週に一度必ず自分の学習を総括させる
塾では具体的に、どんなことをしているのかご紹介します。まず、毎週の総括について、これは実際の画面ですが、右の生徒のように、総括といってもあれができていない、これができていないという指摘から始まります。初めはできないことが多くて当たり前ですので、一つひとつにどうやったらできるようになるか、具体的に返しています。
左側の生徒は、ある程度慣れてきた生徒です。自分がどういう風に問題に取り組んでいるか、どうやったら点を伸ばせるかなど、少し抽象度の高い話をしています。このように、生徒のステージに応じて総括の内容も変わります。
逆に言うと、ここで話す内容が変わらない生徒はなかなか伸びません。その時は、こちらから「今どういうことを考えながら勉強している?」など質問をします。基本的には、自分の言葉で総括してもらい、それに対するフィードバックで生徒に気づきを与えていくという方針です。
質問対応や添削もLINEで行いますが、生徒の要望に応じてZoomを使ってリアルタイム対応することもあります。
画像は、生徒から「こういう風に解いたんですが」とか「この問題が分かりません」と送ってもらったのに対し、文字で返しているものです。
学校で出された課題がよく分からなかった時にも、答えだけを教えるのではなく、答えにたどりつくため何を考えるべきかということを話します。単に、マルかバツをつけて正答をすぐ与えるようなインスタントな解答を求める生徒もいますが、それでは成績が全然上がらないと話します。なるべく思考過程や注目すべきポイントなどを分かるように話しています。
Zoomを使う時は、共有しながら行うのですが、最終的にこちらのものを渡しています。生徒に板書させると時間がかかるため、こちらが作った板書を元に考えてもらっています。
なぜ勉強するかを考えるために学習記録をつける
以前は、学習記録をスケジュール帳に書いて送ってもらっていました。ただし、これでは何をどのくらいの時間勉強しているのかや、勉強のバランスはいいのかなどが非常に分かりにくかったです。
今ではStudyplus for Schoolを導入したことにより、勉強の時間や科目のバランスが分かりやすく、さらにコメントもつけられるようになりました。以前は、スケジュール帳も生徒が持っているものを使っていたためバラバラでしたが、統一されたことによりチェックしやすくなりました。
学習計画は、あまりガッチリつくっていません。ある程度、勉強ができる生徒は、自分がどれくらいできるか把握しているからです。ただ、勉強し始めの生徒は自分のポテンシャルを分かっていません。計画を立てても、「できませんでした」となることが多いです。これを繰り返さないために、「まずは自分がどれだけやれるかを理解するため、記録をつけましょう」と伝えています。
そうすると、「自分はこれだけしかできないんだな」とか「案外できるな」と気づきます。これを理解したのちに計画を立てています。
いずれにせよ、初回面談での意義づけが非常に大事だと思います。田舎特有かもしれませんが、生徒は自分が何を勉強しているかを、あまり意識していません。ぼんやり勉強している生徒が多いです。
関心を持たせるためには、記録をつけるしかないと思います。自分は今の時点でどれくらい勉強できているのか、自分の関心がどれだけ勉強に向いているのかが分かるだけでなく、その上で何が足りないのか、方向性が違う可能性があるのではといった話をしています。記録し続けると具体的な改善点が出てくるものです。
当塾では、初回の面談で「今までどういう風に勉強してたの?」と質問します。これで、その生徒がどれだけ勉強に向き合っているかがまず分かり、それに応じて話を変えています。ある程度、勉強に関心を持っていて、自分の勉強も把握できていて、次はこうしたいと思っている生徒には、次の段階で気をつけるべきことや、具体的な参考書の提示をします。
なかなか成績が上がらず、また勉強にも関心を持たずに過ごしている生徒に対しては、「何のために塾に通っているの?」と声をかけています。厳しいようですが、ただ塾に通って参考書のおすすめだけを聞いても、成績は上がりません。一人の時間でどれだけやっているかが大事なので、そこに関してはかなり厳しく指摘します。
そうはいっても、不登校気味の生徒や病気でなかなか勉強できないという生徒もいます。そういう場合は、ある程度寛容にします。勉強できる時間に何するかと、最低限これだけはやるべきということを伝えています。
また、そういう生徒に関しては保護者とも面談をします。基本的には、私は保護者と話すことはないのですが、勉強以外の問題がある生徒に対しては、将来について本人も保護者も不安を抱えていることがあるため、どんな風に次のステップに進んだらいいのかうまく考えられないこともあります。そういう時には一緒に面談し、話し合います。
それ以外の場合は、対生徒だけで完結しています。生徒に、自分の口から親に話すように伝えています。進路の可能性はこちらから提示できますが、お金の面や実際どの大学なら通えるのかなどは、家庭で話し合わないといけません。
生徒の記録に対しては、必ず「いいね」をつけます。また、生徒には勉強内容と時間、勉強から何を得たかを書いてもらいますが、これらに対してはコメントを残します。他にも、ボヤキみたいな内容にもコメントでやり取りしたり、「教材なし、2時間」というよくわからない記録についても、「これは何をしたの?」とコメントして確認しています。
模試の振り返りもタイムラインでしてもらいます。こちらはその例ですが、きつい言い方をすることもあります。
記録をつけない生徒には記録の重要性を伝え続ける
中には記録を全くつけてくれない生徒もいますが、これついては、慌てなくてもいいと思っています。Studyplus for Schoolは勉強に関心を向けるためのものですので、そもそも勉強に関心が向いていない生徒は記録をつけません。そうすると、本人が自分の勉強を振り返る時間が生まれません。
特に、そこそこできている生徒が危なく、もっと伸ばさないといけないと分かっているのに、自分の勉強の記録をつけようとならないのです。また、そもそも勉強へのやる気がゼロという生徒も、記録づけは難しいです。
このような生徒たちには、何度も「記録は大事だよ」と伝えます。生徒が「勉強できなかったな」「テストができなかったな」と思っている時が一番チャンスだと思っているため、面談の時に話をします。
記録がついていない生徒との面談時には、まず「先週何やった?」と聞いてみます。すると、だいたい覚えていません。なんとなく勉強しているうちは、何をしたかどうしても思い出せないものです。そのため、「成績が上がったり下がったりするはたまたまで、単に記憶力の良し悪しだと思うが、それでいいのか?」と話します。「たまたまできたとか、自分のスペックだけに人生を左右されていいのか」、「どうにかして自分で良くしていった方がいいのではないか」なども話します。
また、あまりにも記録をつけないなら退塾についても言及します。こういう話をするとムッとされることもありますが、勉強に関心がないなら仕方ないと思っています。
Studyplus for SchoolやLINEのメリットは、私も生徒もお互い時間のある時に使えることです。それに加えて、リアルタイムでも使えるのもいいです。また、文字や画像などで履歴を残せることも大きいと思います。板書も共有できるため、「なんかよかったね」で終わらず、やったことを次に活かせます。
一方で、オンラインのやりとりは本人が反応してくれなければどうしようもありません。いくら話しかけても返事が来ないという点は、デメリットです。そのため、オンラインでもリアルタイムで対応すべき生徒が出てきます。そういう場合は、1対1ではなくなるべく1対多数で対応したいと思っています。
また、意外と地味な作業が多いです。コメント返しや総括に対する返信、「いいね」を押すなど、非常に地味です。私は仕事の合間に対応したり、朝イチでチェックしたりしています。夜遅くまで起きていることも多いので、23時頃に「いいね」することもあります。ただ、何時にこれをやるといったことはあまり細かく決めていません。
オンライン授業に注力しながら複数の仕事をこなしていく
現代はICTツールの発達により、ベテランの先生がいつでも映像授業を通して指導できるため、個人の指導力が不十分な塾は、どうやって事業をしていくべきか考えなければいけません。科目の指導部分以外のところでも、力をつけていかなければダメだと思っています。
これには、面談スキルなどが含まれていますし、生徒への声かけ、モチベーションの上げ方なども非常に大切です。科目の指導ができることは大前提として、生徒に「勉強をやるぞ」と思わせる技を持っているかどうかが、重要になっていくと思います。
当塾では、今後はオンライン授業に注力していこうと考えています。高校教師である妻から、学校でGoogle Classroomなどをどう活用しているかや、オンライン授業をどうやっているかなど聞くことができます。それを踏まえて、当塾では何ができるか考えているところです。
また、自分の仕事を塾一本に絞らないつもりです。塾をやりながらプログラム開発の仕事をしたり、他に何かアイデアがひらめいたら取り組んでみたり、色々なことに常にチャレンジしていきたいと考えています。
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