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生徒は塾内でライバルと切磋琢磨しながら社会で活躍できる人材に育つ|総合学習室アビリティ高校部SAFARI【Studyplus for School Award 2020】

Studyplus for School Award 2020とは、少子化・採用難・地域格差という社会課題が広がる中で、未来の教育の在り方・先生の新しい働き方に果敢に挑戦する教育機関を表彰するものです。当初は、授賞式や受賞者によるプレゼンテーションを含むイベント開催を予定しておりましたが、新型コロナウイルスの影響を受け延期しておりました。

現在も予断を許さない状況を踏まえ、この度オンライン配信で受賞者によるプレゼンテーションの開催が決定いたしました。その模様をnoteでもお伝えしていきます。今回ご紹介するのは、高校生集団指導部門で受賞された、福島の総合学習室アビリティ高校部SAFARIの金子先生の回です。

総合学習室アビリティ高校部SAFARIのHPはこちら

文書名01_0707総合学習室アビリティ_紹介資料

総合学習室アビリティ高校部SAFARIについて

アビリティは1999年、マンションの一室を間借りして始まりました。7年後に法人化し、小学生・幼児を対象とした初等部を開始。震災を機に仙台の初等部専門教室をオープンして、中学部・高校部を統合した教室ができました。私は今、高等部で教室長をしています。

アビリティでは、生徒たちが社会に出たときに強みを生かして活躍し、社会に貢献して幸せに生きてほしいと思っています。そのための哲学や方法論を学力育成の過程で育んでいくことが私たちのミッションです。

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アビリティでは学習環境に配慮しています。代表が「自分が学生だったとしたら、どんな場所に通いたいか」という視点で環境を整え、同時に「親として、こんな場所で自分の子どもに学んでほしい」と思える場所を作っています。

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教室には、授業スペース・自習スペースとは別にSafariサロンという場所があります。ここはスタッフがいて、生徒が質問に来たり、面談を実施したりする場所です。卒業生が後輩のために置いていった教材もあるので、それを使うこともできます。生徒にとっては、学校とはまた違った雰囲気で勉強、学習の相談できるような場所です。


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高校部Safariは2014年、「ひとりひとりの合格ストーリーがある大学受験」「少人数クラス制の授業体制×一人ひとりに最適化された学習カリキュラム」をコンセプトにオープンしました。

大学入試で結果を出せることがもちろん第一ですが、入試の形は一人ひとり違います。10人いれば10人、100人いれば100人の個別最適化された学習カリキュラムが必要です。そこで2018年にStudyplus for Schoolを導入し、その後河合塾マナビスを導入しました。

今は少人数クラス制の指導はしておらず、授業は河合塾マナビスの映像授業に一本化し、私たちは学習管理や進捗具合の把握などを行っています。スタッフが授業から離れたことで、一人ひとりのサポートに使える時間が長くなり、より密に生徒を見ることができています。

Studyplus for Schoolの導入

Studyplus for Schoolを導入する前、5つの課題がありました。
一つ目が、生徒の学習強度が生徒自身に委ねられていたことです。私たちは授業をするのではなく生徒の学習サポートをしていたのですが、限られた人数の中で、一人ひとりまったく別のカリキュラムを持った高校生に対して完全な状況把握をすることは困難でした。

二つ目は、生徒が自分の学習を分析できないことです。テストや模試の結果を受けて、「良かったのか、悪かったのか」「何が良くて、どこに課題があるのか」を考えることは、生徒自身に任せていました。また、学習記録もつけていなかったので、状況に応じた最適な学習プランニングが出来ませんでした。

三つ目は、面談です。限られた時間の中で、そもそもどのくらい勉強しているかという状況の確認から始めていました。すぐ本題に入れず、生徒はただ報告をしているような時間になっていたのです。

四つ目は、担当教科以外の情報を把握できないことです。生徒とは担当教科を介してのコミュニケーションがほとんどだったため、俯瞰して見ることができませんでした。

五つ目が、顔を合わせる頻度が少なかったことです。すべての高校生が少なくとも週4~5回通塾してくれればいいのですが、そうもいきません。塾にいない時間、生徒がどうしているかは全くわかりませんでした。つまり、関係性の強弱は生徒の通塾頻度に依存していました。

また、勉強が苦手な生徒のモチベーションを引き出していくことも必要だと思いましたが、それができるような状況ではありませんでした。


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こういった課題を、Studyplus for Schoolで解決していきました。

一つ目の学習強度に関しては、生徒がStudyplusに記録してくれれば、私たちはそれを見てカリキュラムの進捗状況をリアルタイムで把握できるようになりました。これにより、うまくいってる生徒とそうでない生徒に合わせて、即座に適切なコミュニケーションを取れるようになりました。

二つ目の学習分析に関しては、Studyplus for Schoolの「レポート機能」を活用しました。例えば、学習時間は問題ないものの、本来やるべき科目とは違う科目ばかりやっているなど、記録を見ることで生徒本人がバランスをとれていないことを自覚し、修正できるようになりました。

三つ目の面談に関しては、初めに情報収集する必要がなくなりました。学習の時間・内容・頻度が明確に分かるため、面談の冒頭から、良いところを褒めたり、出来ていないところのアドバイスができています。科目のバランスが崩れていたら、自分でどう思っているかなども聞けるため、面談の濃さが明らかに増しました。
また、私たちが話す時間が長くなったわけではなく、むしろ生徒がよく話すようになりました。こちらが明確に質問できるので、生徒は自分で自分のことをアウトプットしながら状況を整理したり、やるべきことを明確にすることができています。

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四つ目の担当教科を介してのみのコミュニケーションに関しては、Studyplus for Schoolを見ればどの科目の記録も見れるため、解消できました。また、何をやっているか分かるため、色々な先回りが可能になりました。例えば、記録を見ることで、生徒が今何を勉強しているか分かり、過去の先輩がここで苦労していたというような情報をもとに「ここ大変じゃない?」と声掛けすることができています。

五つ目の顔を合わせる頻度とコミュニケーションに関しては、記録があることで生徒の学習の様子が分かりますし、それがコミュニケーションの材料になりました。学習記録が関係性の構築に向けてひとつの補助ツールになったという実感があります。

その他の点をまとめると、「生徒のモチベーションに寄与できる機会が爆発的に増えた」という効果がありました。モチベーションを上げようというような意識はないのですが、関わり方が変わったことによって生徒の中にある火種が燃えて、自分で歩み出せるようになったという印象です。

Studyplus for Schoolの運用法

Studyplus for School内で河合塾マナビスの科目を登録し、講座名を設定して、受講している生徒に対して記録をつけてもらっています。これで、生徒が河合塾マナビスにかけている時間が分かります。
生徒には、コメントするようにも伝えていて、SNS感覚で使う人も多いです。私たちは、生徒とのコミュニケーションの機会をコメントから抽出しています。書く内容に関しては、厳しく返すのではなく、「今週末に単元3まで終わらせる」というのに対して、後から「ちゃんと終わらせたね、さすがだね!」というような声がけをしています。

また、例えば「学校のコミュニケーション英語がまずい」というコメントがあれば、アビリティの英語の先生に繋いで、その子のために何かアクションを起こします。このようにコメントがあることで、生徒との関係性は強固になっています。
ただ、コメントを必須にはしていません。強制すると、本人の中で発信したいことが分からなくなると思うからです。その代わり、いつもコメントがない生徒が何か書いた場合は、絶対にコミュニケーションを図るように心がけています。

Studyplus for Schoolにおける課題と今後の運用
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Studyplus for Schoolを導入して、オンラインでコミュニケーションが取れるようになったのですが、その弊害として、以前よりも多くコミュニケーションできているという錯覚に陥るようになりました。この事実に気づいた後は、情報収集はオンラインでしつつも、コミュニケーションはオフラインでもとっていくことを徹底しています。

また、生徒にとって記録をつけること自体が目的化されていきました。最初は、楽しく取り組めていたのですが、少し間が空くと、こちらも「記録つけてね」とばかり声掛けするようになり、生徒も「記録をつければいいんだ」という意識が出来てしまいました。

これはまだ改善中ですが、ゆくゆくは全員が記録をつけていることが目的ではなく、習慣化されている状態を目指しています。それには、記録をつけた結果どうなるかを生徒にきちんと実感してもらわないといけません。これに関しては、直接対面でしっかり話す機会をつくっています。

そして、記録をつけていない生徒にどう声掛けするかも課題です。そもそも記録がない生徒はメッセージを送っても、Studyplus自体を開いていないため、意味がありません。ここも改善していこうと思っています。

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様々な効果や課題を実感した私たちは、改めてStudyplus for Schoolを再定義しました。その結果、「リアルでのコミュニケーションを強化するツール」という答にたどりつきました。生徒を承認するために使う側面もありますが、それだけではなく、記録がつかなければ心配・叱責もします。
生徒には、「この記録の意味は自己分析するためにあるんだよ」と常々伝えているところです。今、Studyplus for Schoolは多くの機能がついて様々なことができるようになりましたが、一番の価値はこの自己分析だと思います。
記録をつけて、分析ができ、その結果次に何をすべきかが自分で見えてきます。それを実行することで、また記録をつけて、分析してと繰り返せます。この価値を最大限際立たせ、生徒がここを意識できるような声掛けをしていきます。

Studyplus for Schoolを上手く利用する方法として、「活用しすぎない」というのもポイントだと思っています。他のツールも併用し、自分たちに一番合う運用を決めていくことも重要だと思っています。

 S1グランプリでの活躍について

当塾の生徒たちは、Studyplus for School主催のS1グランプリで活躍する子が多いのですが、その理由をまとめてみました。
(※編集部注:S1グランプリとは全国のStudyplus for School導入塾を対象に、学習時間をグラフ化できるStudyplusを使い、生徒たちが期間中の「勉強時間」をかけて競い合う大会です。)


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一つ目が、「ランキング入りするためのいくつかのサポート」です。高校1年生から高校3年生まで、発表されている順位を大きなテレビ表示しています。高校1年生の一部生徒は、先輩の時間を見て、「一週間で100時間って、どうやったらできるんですか?」と質問をしてきます。こういった生徒が、高校3年生になった時、1位を取れるようになると思っています。

私たちからは、「これぐらいできていた先輩は全国で2番までいったよ」と戦略を伝えます。今年も「一日15時間、いけます!」という生徒がおり、驚く生徒もいたため、その生徒には、「もしあなたが15時間やるとしたら、どうやり方で、どういうスケジュールでできる?」と達成している姿をイメージしてもらう声掛けをしています。

私たちは何事も、基本的にできるというスタンスで接します。15時間勉強すると言った生徒にも、「15時間勉強するなら、1日にあと何時間残ってる?」という質問から始め、「睡眠時間や食事時間もあるから、学校を含めて勉強するとしたら、どういうスケジュールになる?」と明確にイメージさせました。
一日をどういう流れで過ごして、どのくらい勉強するか、私たちが考えるのではなく本人に考え、イメージし、発信してもらうことで、生徒にはポジティブなイメージ・感情を抱いてもらうことができます。また、ポジティブにアクションするためのサポートは何かを考え実行することがアビリティスタッフの役割だと考えています。

二つ目が、「強敵(=友)がアビリティ内に存在する」です。全国で戦う以前に、まずアビリティ内であの人に勝ちたいという意識があることが、一番大きいと思います。「3年生のあの先輩に勝ちたい」というところから始まり、「あの人、すごいな」と尊敬に変わり、その結果「どうやってやってるんですか」という質問になっていきます。

外に目を向けさせるのもひとつのS1グランプリの価値ですが、仲間と切磋琢磨して取り組むことや、仲間に勝ちたい、先輩のやり方を参考にしたいという意識が塾内にできることも大きなメリットだと思います。

Studyplus for Schoolは生徒のモチベーションを上げ学習力を伸ばす

今後、Studyplus for Schoolをどう活用していくかについて2つまとめました。
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「スタッフが生徒のモチベーションに寄与する」については、先ほどお話した通りです。

「戦略的学習力を伸ばす・刺激するツールとして」については、私たちのそもそものミッションにも関わってきますし、Studyplusの最大の価値だと思っています。生徒にはこれから、新しいことを学習していく時、状況に適した自分に合ったトレーニング方法を学んでほしいです。これが戦略的学習力に繋がって、結果として力がついて第一志望に合格できると思っています。

最終的には、就職した時に、アビリティで培ったトレーニング方法を社会人として応用できるようになってほしいです。そのためにも、自分の過去の頑張りを確認するツールとしてStudyplusを最大限活用していきます。

最初にご紹介した通り、アビリティでは生徒が社会で強みを活かし、幸せに生きるための哲学や方法論を、学力育成の過程を通して学んでほしいと思っています。私たちが目指しているのは、次世代型総合教育プラットフォームカンパニーです。これは、次代の担い手である生徒たちが、これからの社会で幸せにたくましく生きていくためのスキルを育むというコンセプトを表しています。

この理想像に近づくためにも、Studyplus for Schoolを含むツールなどを活用し、日々成長していきたいと思います。

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