生徒のトレーナーとして学習をサポートし成績アップを目指す |オンライン教育のGenie【Studyplus for School Award 2021】
Studyplus for School Award 2021とは、少子化・採用難・地域格差という社会課題が広がる中で、未来の教育の在り方・先生の新しい働き方に果敢に挑戦する教育機関を表彰するものです。
昨年に続き今年も、受賞校によるプレゼンテーションを含むイベントをオンラインで開催いたしました。その模様をnoteでもお伝えしていきます。
今回ご紹介するのは、オンライン指導部門で受賞された、オンライン教育のGenie(石川県)の加賀谷先生の回です。
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生徒の自由時間をコンサルティングを通してデザインする
今日は当塾の概要と、私たちにとってStudyplus for Schoolとはどんな存在か、具体的にどのように活用しているのか、そして現在の課題や展望についてお話します。
オンライン教育のGenieは、2020年4月28日に立ち上げたオンライン学習塾です。提供サービスは、コーチングを主とした学習コンサル、質問対応、オンライン自習室の3種類で、中学3年生と高校生を対象としています。
当塾の特徴は、大学生のみで運営していることです。私は金沢大学に在学している大学生で、計算機科学というコンピューターサイエンスを学んでいます。副代表は現在、大阪大学に在学しており、他のスタッフも立命館大学の学生と関西学院大学の学生です。
私たちのステートメントは、「教育を創り、常識を創り、未来を創る」です。コロナ禍において、教育というものが再定義される必要が生まれました。そこで、今ある仕組みを踏襲するのではなく、個人にあった教育を作り直すという発想が必要だと考えています。既存の概念にとらわれず教育を作り直すという前向きなモチベーションからこのステートメントを作りました。
再定義するとはいえ、塾として、まずは成績をアップさせることが大切です。そのために大切なことを、上のグラフで表しました。
1日24時間のうち、仮に睡眠時間を8時間とし、学校に8時間滞在するとなると、残る自由時間は8時間です。成績アップのために、この8時間の自由時間をどうデザインするかが非常に重要になります。
しかし、この8時間を厳密に管理する塾は、今まであまり聞いたことがありませんでした。だからこそ私たちは、8時間のうち1時間を使って、残りの7時間をどう有意義なものにしていくかの学習コンサルを行っています。
もう一つ大切なことは、学校にいる8時間にどう取り組むかということです。生徒の中には「塾で勉強しているから学校の授業は真剣に聞いていない」「授業中寝てしまう」という人もいます。
しかし、私は教職過程を通して多くの先生方と話す中で、先生方は間違いなく優秀であるという確信を持ちました。そこで、自由時間だけでなく、この学校での8時間についてもコンサルして、一日の66パーセントをデザインすることを意識し、指導しています。
私たちがこのようなサービスを提供するなかで大切にしているのは、プロは自己管理もプロフェッショナルであるという点です。例えばプロ野球の選手は、練習だけしているのではなく、栄養管理を徹底したり、よりよい睡眠をとったりしています。もちろんトレーニングも重要で、総合的な観点からトレーナーによるフォローアップを受けています。
しかし、勉強面での自己管理の重要性はあまり注目されていません。ここに違和感を感じ、私たちはプロの学習者である生徒のトレーナーとして、サポートをしています。
生徒の自己実現欲求と承認欲求を満たすことを重要視する
では、具体的にどのようなサポートしているのかをお伝えします。まずは、私たちがコーチングにおいて大切にしている価値観についてご紹介します。
これは、当塾における欲求5段階説の図解です。マズローの欲求5段階説は有名ですが、彼は晩年、ピラミッドが逆ではないかと考えていたと言われています。これについて自分なりに考え、ひとつの結論に至りました。
それは、昔は生きることに精いっぱいでしたが、今の日本において生理的欲求・安全の欲求・所属と愛の欲求は家庭と学校で満たされているということです。そのため、今の時代の中高生に大切なものは、このマズローのピラミッドと反対なのではないかと考えています。
私たちのコーチングでは、基本的にはこの自己実現の欲求と承認欲求を満たすことを念頭に置いています。そこで大切にしているのが、自己実現drivenというものです。これは「将来、自分は何がしたいのか」「3カ月後、自分はどうなっていたいのか」「どんな人間でありたいか」「自分の理想を達成するために何をすべきか」という考え方です。
例えば、成績が上がらず、保護者に促され塾に来たものの、あまりやる気のない生徒がいたとします。そういう生徒に、漠然と将来の夢を聞いたり、今の段階では大学進学は難しいなどの話をしても、あまり意味がありません。
そうではなく、例えば学校の話などをしながら、「部活を頑張っているみたいだし、これで勉強もできたら、漫画に出てくるモテるキャラみたいになると思うよ」など話して、「ああいうキャラはだいたい裏で努力しているから、明日からチャート1題ずつ解いていこう」というようにつなげていきます。
このように、内発的動機付けを行いながら、自分からやりたいと思わせることが大切です。ここから、どうやって勉強すればいいかなど高度な話に引き上げていきます。
学習計画作成をサポートしオンライン自習室で勉強環境を整える
次に、私たちが提供している特徴的なサービスを3つご紹介します。
1つ目は、週に一度、完全マンツーマンで行う学習コンサルティングです。ここでは、オンラインで講師と45分間しっかりと話し合います。内容は、先週立てた目標を達成したかどうか、そして今週は何をするかということです。まずは、生徒に何をするか考えてもらい、講師がそれを調整します。
2つ目は、オンライン自習室です。20時から22時まで開いており、基本的に生徒の手元を映している状態です。ここでは、他に勉強している人とオンラインでつながれますし、スマートフォンで入室すれば、友人からのメッセージやSNSなどの通知はみれなくなるため、非常に集中できます。
生徒がオンライン自習室にいる間は、リアルタイムで内容を把握するわけではありません。その後の記録をチェックし確認しています。自習中は講師も大学の課題などをやっています。
3つ目は、24時間受付の質問対応です。24時間受付と強調しているのは、意味があります。夜に勉強していてわからないところが出てきたとき、「明日質問しよう」と思っても翌日になると忘れることが多々あるものです。だからこそ、すぐに質問できるように24時間受付にしました。質問の内容は、写真に撮りLINEで送ってもらいます。それらの質問に対して文面で伝わるなら返信しますが、難しい場合にはオンラインで指導します。
カルテが塾と生徒・生徒と保護者の関係性をつなぐ
次に、当塾にとってのStudyplus for Schoolの位置付けについてご紹介します。私たちの塾では統合システムとしてStudyplus for Schoolを活用しており、具体的には3つの方法で使っています。
1つ目が、毎回の学習コンサルで作成したカルテを保存し、それを生徒と保護者に送信することです。
こちらが、実際のカルテの画像です。上部に、前回立てた目標がクリアできているかの確認があり、目標の内容と考察が書かれています。その下は今週の目標で、どんなことをやっていくか明記しています。
次に書かれているのが、いつオンライン自習室に入室するかのメモです。その後に、授業で話した内容をまとめ、その日のアドバイスをまとめて終わります。
これを生徒と保護者に送信しており、私からカルテの内容についてコメントしています。良かった点はもちろん、「各項目ごとに改行すると、もっと見やすくなる」など改善点も伝えます。講師同士で共有しているので、ほかの講師のカルテを見て指導法など勉強できるのもポイントです。
2つ目は、生徒の勉強時間と内容の管理・保存・共有です。特に、保護者は生徒と勉強内容についてあまり話さないことが多いため、確認できるのは喜ばれるものです。また、パーソナルな話を書くこともあるので、「今、子供は部活でこんな悩みを持っていたのか」ということまでわかります。いわば、親子の意思疎通の架け橋になっています。
こちらは保護者とのやり取りです。生徒だけでなく保護者も勉強や進路に関して悩んでいることがあるため、その面をフォローしていくことも大切です。塾での指導だけではなく、家庭での学習指導や進路についてなど、深く踏みこんでいきたいと考えています。
3つ目は、オンライン自習室のURLや、その他連絡事項を共有することです。
こちらは、実際に私たちがメッセージ機能を使い、生徒が残してくれた記録へコメントしているスライドです。シンプルな記録には、少しユーモアを意識して返信し、コメントを楽しみにしてくれるようにしています。また、下の記録には、まじめに返信しており、生徒のレベルに応じてやる気が上がるよう心掛けています。
個別にも活用していますが、一斉送信できるため、メッセージ機能は非常に役に立っています。LINEでは送信先によって有料になりますが、Studyplus for Schoolであれば無料なのでZoom勉強会のURLなどすぐに共有できます。
私は、オンライン学習は今後より加速していくと予測しています。それに合わせて、既存の塾もオンラインの塾もそれぞれの質がどんどん高まっていくのではないでしょうか。
その中で、Studyplus for Schoolはオンライン塾を起業する人にとって初期速度を大幅にアップさせるツールになります。オンライン学習のプラットホームになりますし、スタディプラスの方からクローズドな内容のアドバイスもいただけるのは非常に大きなメリットです。
今後はオンライン学習への理解を進め、カリキュラムを洗練させる
当塾が現在抱えているマクロな課題は、「教育の地域格差をオンラインでなくすことはできる。しかし、所得格差をなくすことは一部厳しい現状がある」ということです。オンライン教育が普及していくことで、今まではあり得なかったような進路も実現できるようになるでしょう。
しかし、所得格差の問題はもっと難しいものです。例えば、現代では、GIGAスクール構想の一環としてで1人1台タブレットを使うこともありますが、タブレットを買えない家庭やWi-Fi環境が整っていない環境はネックになります。
さらに、オンライン学習に違和感を持つ方が一定数いることも事実です。ある程度は仕方ありませんが、いかに丁寧に説明していくかが大切になります。
また、オンライン教育に疑問があるうえにコーチングという要素が加わると、「授業をしてもらえないなら意味がない」と思われてしまうこともあります。
当塾では、今まさにこのような部分を理解してもらいにくいことが、課題となっています。
他にも、ミクロな課題も複数あります。1つ目は、カリキュラムの洗練度合いをいかに上げるかということです。目標設定は妥当か、参考書は生徒に合っているか、進捗予定は生徒にとって現実的かなどを見極めて、充実させていきたいと考えています。
2つ目は、各週の目標を具体化、定量化し、カリキュラムとの接続を完璧にしていくことです。そのために、「勉強を頑張る」「早起きをする」など抽象的な目標ではなく、6時に起きて30題解くなど具体的に決めることができるよう指導していきたいと思っています。
3つ目は、各回の中間テストと模試の分析力を向上させることです。模試では各教科のどの分野が弱いのかしかわからないので、もう一歩踏み込んで、なぜ、どのように弱いのかを分析したいと思っています。計算ミスをしたのか、勉強量が足りていなかったのか、今後は何をするべきなのを現実的に詰め、戦略を練ることが課題です。
4つ目は、環境整備です。Wi-Fi環境やタブレット・PCの準備など、外部的要因にはなりますが、できる対策をしっかり考えていきたいと思っています。
ナンバーワンを目指し生徒に勝ち癖をつける
今年の展望として、私たちは生徒を全員ナンバーワンにして勝ち癖をつけることを目指しています。どのテスト、どの科目でもいいのでナンバーワンを取らせることが目標です。
現在、当塾には生徒が13人おり、そのうち2人が学校で1位をとっています。もともと40番ぐらいでしたが、入塾後1年かけて学年1位になりました。学年テストでなくても、例えば塾の中でStudyplus for Schoolに記録している勉強量で1番になるのも良いと思います。とにかくトップを目指して勝ち癖をつけることが大切です。
また、北陸でカリキュラム立案とテスト分析のリーダー的な存在になりたいと考えています。コーチングの分野でもリーダーとしての立ち位置を目指します。
そして、生徒数を40人にして、北陸におけるStudyplus for Schoolハードユーザーになることも目標です。
私は今後、オンライン教育も対面同様によりよいサービスが求められるようになっていくと思っています。オンラインと対面のどちらもそれぞれ成長し、教育全体が活性化できることが理想です。当塾もその局面で貢献できるように頑張っていきたいです。