効率性を追求したカリキュラムを組み、Studyplus for Schoolを活かした適切な学習管理を実現(後編)Customer Story#20|学習塾STRUX
生徒の成績を上げ、合格へと導くためには授業だけではなく自主学習のサポートが重要。こうした思いから、生徒と先生の関係を「生徒とトレーナー」として落とし込み、勉強計画や進捗管理を行っている一風変わった塾があります。それが、学習塾STRUXです。
生徒が何をどんなふうに勉強すればいいのか、モチベーションをどう保てばいいのか、そしてなぜStudyplus for Schoolを導入したのか。前回に引き続き塾長の綱島先生に伺いました。
―前回のインタビューでSTRUXさんは優れた戦略が強みだと感じていたのですが、この点に関して何か変化はありますか?
僕たちは勉強の要素を「時間」「戦略」「効率」「地頭」の4つの要素に分解し、色々なカリキュラムを組んでいます。今までは時間と戦略についてフォローアップができていましたが、地頭と効率に関してはなかなかできていませんでした。
―たしかに、その4つだと「戦略」が得意な塾だという印象でした。
実際にはじめは戦略面をおしていましたし、今もここについてお問い合わせをいただくことはあります。でも僕らとしては、合格に必要なことはなんでもやるぞというスタンスなんです。それに正直、戦略は他塾さんと比べた時にあまり強みにはなり得ないと思っています。
―なぜ強みにならないと考えていらっしゃるのですか?
戦略の正しさは年に1回受験のときにしか検証できないから、あまり正確なものになり得ないんです。それに変な言い方をするならある意味宗教みたいなもので、その戦略を信じ切れるかどうか、という世界の話にもなっていしまします。だから4つの要素のうち、もっと「効率」に強みを持っていきたいなとシフトしているところです。
―効率性を上げるには、何が必要なんでしょうか?
大切なことは2つあって、「集中力」と「頭の使い方を学ぶこと」です。集中力に関しては、研究論文を読んで勉強しています。どうすれば集中力が上がるのか学んで、そこで得た知識を研究結果を教材に落とし込もうと思っています。その教材をやることで、自然と集中力を保った勉強ができるという仕組みが作れないか挑戦中です。
―頭の使い方はどう学んでもらうんですか?
生徒に頭の使い方を学んでもらうには、先生がどんな風に頭を使っているのか、実際に見せるのが一番だという結論になったんです。そこで始めたのが、演習ゼミです。これは「参考書に書いてないところをやろう」というコンセプトのもと行っています。
―演習ゼミとはどんな授業ですか?
先生一人と、レベル感や志望校が近い生徒3人で行う、60分のオンライン授業です。演習ゼミではまず、生徒に過去問を解いてもらいます生徒が解き終わったら、先生が同じ問題を解いてみせるんです。先生は問題を解くときどう頭を使ったのか、解説しながら解いていきます。
―どうやって解説していくんですか?
問題を解くのに必要な知識はすべてまとめておきます。それを見ながら、解き方にフォーカスしていくんです。それまで生徒が問題をわからない理由は「知識がない」と「考える力がない」の複合だったんですが、知識面のネックを完全に取っ払ってあげて、考えるということだけに集中する機会を作っています。
どの教科でも問題を「解ける」段階にいくまでは、5ステップ以上あります。3,4ステップは参考書やプリントを観ることでクリアして、最後の部分を体験してもらいます。
―どんな授業内容になるのか、具体的に教えてください。
数学で言うと、まず東大の過去問を解きます。その後にたくさんの解法のオプションがある中でなぜこの解法を選ぶのかを説明します。
英語であれば、長文を読む時に使う単語や文法、英文解釈の構文は全部プリントにまとめておきます。そうするとその知識がなくても、解くというところだけに集中できるわけです
―答え自体は見せてしまって、解き方に重点を置くんですね。
そうです。それから、英文の中で主語と動詞に注目することをやっていきます。英語が速く読める人は全ての情報を取得しているのではなくて、基本的に主語と動詞を濃い情報、それ以外は薄い情報として捉えているなということに気が付いたんです。だからそれを強制的にやっていこうということで、動詞にチェックをつけてもらって、そこを濃く読んでもらうというような演習を組んでいます。
それから英語が得意な人に聞くと、次にどんな文章展開になるんだろうと予測しながら長文を読んでいることがわかったんです。だから生徒に3、4行読んでもらって、この後どう続くかを8パターン考えてもらうというのもやっています。このやり方は同じくらいの成績の子でも論理的な思考力で答えに差が出ます。
―演習ゼミの効果は、「効率」のアップ以外にもありますか?
はい。今、青チャートを辞書代わりに使いながら、適切な解法を選んで組み合わせて解いてみるというのもやらせています。これは今やっている勉強が、第一志望校にどう繋がるのかというのを意識してもらうためです。今は解法を覚える勉強をしているけど、本番ではその解法を組み合わせれば解ける。だから、この勉強は本当に第一志望校に繋がっているんだという実感を持ってもらっています。
―演習ゼミはいつから始めたんですか?
正式導入は今年の3月くらいです。生徒からの評判はいいので、ここからどのくらい成績が伸びるかというところです。今、先生は8人いますが演習ゼミは古株の講師陣が最前線に立って、正しいあり方を模索しています。最終的にはプリントだったりとか教材に落とし込んで、誰でも確立的に指導できるようにはしていこうと思っています。
―資料に落とし込んでいくんですね。
そうです。塾講師や予備校の先生たちが口で説明することをはプリント化して、何回も練習できるようにしてあげたいなと思っています。話で聞くと、その場ではなんとなく分かるけど訓練しないと解けるようにはならないですね。
同じ内容でも、生徒によって吸収度合いは大きく違います。僕らも成功パターンを早く見つけたいので、それが見つかったら、そのパターン通りに施行できるようにプリントで設計してあげることを考えていますね。
―演習ゼミの導入以外にも、変化したことはありますか?
当時はスタンダードプランとライトプランの二つがあって、それぞれ週1回、2週に1回の面談で勉強計画を立てていました。生徒と先生というより、生徒とトレーナーというイメージで生徒の課題を明らかにし、ゴールのためにやるべきことをリストアップしていたんですね。それが現在では、授業を週2回やっていますし、面談の回数も増えています。
―そうした変化にともなって、Studyplus for Schoolの使い方も変わっていますか?
面談の回数が増えて、課題や宿題を送る回数も増えています。現在はメッセージの機能を活用していますね、今年に入ってだいぶ増えたのではないかと思います。
進捗管理も、基本的にはStudyplus for Schoolで勉強時間を管理しています。それから毎朝やることを生徒から送ってもらって、起床チェックもやっているんですよ。計画から遅れていた場合は、毎週の面談の中でフォローアップする形です。
―面談時間はどれくらいですか?
50分です。時間構成としては、先週の進捗度合いのチェックが15分、今週質問したいことのヒアリングと、それに対する答えが20分。ここでは問題の解き方というより、勉強の仕方を教えます。自学自習に活かせるような知識のインプットですね。
最後の15分で、来週に向けての計画を指導していきます。
―大きく3つのパートに分かれていると
そうです。進捗が遅れている生徒については、まず問題点のヒアリングをメインでやります。なぜ遅れてしまったのか原因を明らかにして、お互いディスカッションしながら「来週はこうしましょう」と解決策を提示する形です。解決策もこちらで想定しているものが何個かあるので、その中でどれがいいのかさらっていきます。
―面談を通して、生徒の状況を把握できるんですね
はい。ただ、50分間の面談だけだと相手の報告頼りになります。すると相手の認知の能力が低かった場合、間違った情報が出てきて、間違った問題解決をしてしまうわけです。だから学力状況をこちらが正確に把握するために、毎月1回模試をやっています。主に記述式だから思考の途中も見えて、どこまでわかっていてどこからわからないのかが見極められます。
―これから新しくやろうと考えていることはありますか?
世界史や日本史は単純に参考書で平たく読むだけでなくて、人の会話を聞くなど立体的に捉えた方が理解は進むと思っています。だからそれに関しては自作で動画を作っていきたいなと。イメージとしては、youtubeなどに上げていくイメージです。本来であれば、学校の授業でそこを担保してくれるといいんですが、やっぱり学校の授業をうまく聞けない生徒もいます。そこをうちとしては、動画で担保したいなと思っています。
―アプローチは違いますが、新しい形で塾寄りになっていくんですね。面白い。
コンセプトの定義に悩みながらも、全ての問題を解決していくとだんだん総合型の塾になっていきますね。普通の塾だと単元別ごとの目次をひとつずつ潰していく感じだとしたら、うちでは能力別の目次をひとつずつ潰していくような感じでしょうか。単元別の勉強は、参考書でやってもらえればいいかなと。
でもやはり戦略面やコーチング面でお問い合わせいただくことが多いので、今後もそこを入口にしながらやっていきたいと思います。
―勉強の要素を4つ挙げていましたが、地頭についてはいかがですか?
受験勉強において、一年間ではあげられない能力だと定義しています。だから僕らは、手をつけるべき領域ではないと。志望校が高くて地頭はちょっとという生徒には、基本的には志望校を下げてもらっています。関係ができている生徒・保護者の方には、そこがすべてではないもののこの能力は1~2年では伸びないので厳しいと言っています。
やっても辛いだけだから、代わりに科目数を減らして地頭とはあまり関係がない暗記をメインにしたり、勉強量で勝負できるところに戦略を移していく工夫をしているんです。地頭を鍛えるために論理力の本を読んだりしていますが、目に見える成果は出ていないです。受験勉強という短い期間のことだけを考えると、手をつける優先順位は低いかなと今は捉えています。
―そこが今後の課題ということですね。
はい、もっと長いスパンで能力開発をしていくというのは、やっていきたいです。ただ、セールスが難しいなと。本当に受験で必要なことと、保護者の方が求めている世界観は、どうしてもミスマッチしてしまうのがこの業界です。だから経営的にはどうかなというイメージ。
―塾の先生方が小・中学生向けの保護者の方にPDCAと言っても全然伝わらない話もありました。難関中高志望のご家庭には通じると。どの層に当てるかによって、保護者へのメッセージも違うんですね。
それこそ保護者の中にも経営者の方がいらっしゃって、そういう方は基本的にプロジェクト、マネジメントの方法に則って受験勉強を捉えてくれるから評判がいいというのはありますね。
―色々取り組んでいらっしゃいますが、結果としてはいかがですか?
生徒を一年間みて送り出したのは今年度が初めてだったので、今回合格実績を出せて良かったです。まず東大に1人入ってくれて良かった。それから早稲田が3人、国公立も5~6人です。それからマーチがたくさん、という感じです。
―在籍人数40人でその実績はすごいですね。生徒は学習記録を真面目につけているんですか?
昨年は半々くらいでしたが、今年は7割くらいつけています。Studyplus for Schoolを導入する前からいる生徒さんも結構いて、その子たちはなかなか馴染まないんですよね最近入ってきた生徒は、最初からこれで勉強時間管理をする前提で入ってきてくれるので、記入率は高いかなと。
―オンライン生も多いですが、地方の中高生は塾に通っているものですか?
塾に通っていない学生は、地方に多いですね。うちでも地方の生徒はうちだけで、リアルにここに来てくれている子は他塾さんと併用している人が多いですね。
併用はやっぱり東京だからですね。収入も関係していると思います、価格帯の反応も全然違いますし。地方の方だと、下手すると家賃より高いと。最終的にはリアルでお越しの方々も他塾と併用するのではなく、うち一本で合格していただいて、その分他塾に使っていた料金をこちらでちゃんと受け取れるようにしていけるといいのかなとは思っています。
―本日は貴重なお話をありがとうございました!