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オンライン指導の方法とStudyplusの活用|ウィル個別指導教室【オンライン指導情報共有会】

新型コロナウィルスの感染拡大により、学習塾業界は教育サービスを提供できず、事業の継続が困難となるリスクが発生しています。これを防ぐために急速に高まっているのが、オンラインでの指導体制の整備の重要性です。

新型コロナウイルス感染拡大の深刻化、そしてオンライン指導に関する事例が少ないことを受けて、Studyplus for School導入校で既にオンライン指導に取り組まれている方々にご協力いただき、オンライン指導に関する情報共有会を開催しています。今回はウィル個別指導教室の土田先生にお話を伺いました。

ウィル個別指導教室について

埼玉県のウィル個別指導教室の土田です。私は埼玉県秩父市出身で、今は寄居町に住んでいます。もともと社会科の学校教員を目指していたのですが、大学の途中で歴史の勉強が楽しくなってきて大学院に進みました。その際に塾講師を始めて、今度はそれが面白くて学校教員よりこちらの方がやりたいと考えて今に至ります。

はじめはアルバイトとして今の塾に入り、東松山東口校に所属し、その後教室長に就任しました。ここは毎年200名以上の生徒が在籍する大所帯の教室だったので、とにかく毎日面談をしていたんです。そこで生徒と対面してやっていく面白さにのめりこみました。

教室で色々な経験を積んで、今は現場を離れ業務推進部次長というポジションにいます。現在の仕事内容は社内業務の統括をしたり、社会科教務の主任として講座のテキストを作ったりすることです。それから、去年始まった高校生の自学習管理コースの担当もしています。

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次に塾の紹介ですが、ウィル個別指導教室は坂戸校・若葉校・坂戸南校・東松山東口校・西口校・南古谷校と埼玉県に6教室あります。指導形態は1:1から1:3の個別指導ですが、1:1は数が少なく1:2~3がほとんどです。生徒比は高校生1割、中学生7割、小学生2割で、中学生がメインとなっています。

塾の指導方針として一番大切にしているのが、子どものいいところを見つける・創り出すということです。うちに来る生徒は勉強につまずいていたり苦手意識があったりするので、基本的に勉強に対してネガティブですし、自分に対して自信もありません。だからこそいいところに注目して「できたね、すごいじゃん」と褒めていきます。勉強だけではなく、学校生活や部活動など、色々なポイントを褒めて伸ばすようにしています。

そのため、体験授業に来てもらって保護者からは「先生から褒めてもらったりとか、励ましてもらったりして、勇気づけられた」というお話をたくさんいただきます。

オンラインへの移行の流れ

2月27日の要請を受けて、埼玉県の学校が休校になりました。そこでうちでは、まず3月2日から15日までを休校とし、その分を振替授業で対応することを決めました。16日からは対面で授業を再開し、27日から4月7日まで春期講習も対面でやりました。しかし7日に緊急事態宣言が発令されたので8日から14日は休みにして、また振替授業で対応。15日からは振替授業をオンラインでやりました。5月7日からは全生徒を対象にオンライン授業を開始し、家にネット環境などが整っていない生徒だけは対面で対応しました。

コロナで収入が減ったり、自宅にオンラインの環境はないが通塾させるのは怖いということで休塾した生徒もいますが、また落ち着いたら戻ってきますと言っていただいています。全体の5~10%が一次的に離れたような形です。授業料に関しては、特に変更していません。

対面授業再開にあたって、塾でどんな取り組みをしているかまとめたポスターの掲示や、消毒・換気の徹底、講師のマスクとフェイスシールド装着などしました。ちなみに講師は、原則として全員出勤してもらいました。

オンライン授業の流れと課題

うちはもともとオンライン授業は一切やっておらず、電話で保護者とコミュニケーションをとっていました。コロナ禍を受けて始めたのですが、使用した機材はスマホとスマホスタンド、あとは任意のノートパソコンやタブレットです。Zoomでは、スマホでホワイトボードや講師を映し、ノートパソコンは生徒状況の把握に使いました。また、教室のWi-Fi環境も強化しています。

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指導形態はコロナ前と同じ、1:2か1:3です。対面授業の希望者に対しては、時間割を工夫しました。休校で生徒は一日時間があるので、A帯、B帯、C帯、D帯に分けて、生徒に「A帯でお願いします」など指示をして、一度にたくさんの生徒が集まらないように気を付けました。

Zoomでの授業は、各教室のメインセッションを作って、そこからブレイクアウトセッションに振り分けるという形です。

オンライン授業について、保護者からの反応は好意的な意見が多かったです。

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その一方で、塾側と生徒側の両面における課題がありました。詳細は、下記の画像の通りです。

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塾側の3つ目にある習熟度チェックとその対応については、単語テストを目の前で解かせたり、ノートチェックをしてできていないところをしっかり説明するようにしました。

また、2人以上の生徒を同じブレイクアウトセッションでに入れた時、講師が一人に教えている声が、もう一人にも聞こえてしまいます。ここは仕方ないので、気になる場合はスピーカーの音量を1まで下げてもらっています。ただうちは人数が多い塾なので、対面で指導しているときも教室内に音があるんです。だからそこまで気にしないという生徒が多いです。

オンライン自習室の運営

オンライン授業にあわせて、オンライン自習室も始めました。実施の目的は、自分一人では勉強ができない生徒に勉強できる環境を用意すること、そして塾に自習に来たいけど来られない生徒を救済することです。本当は全員集めてやりたかったのですが、200人の生徒をコントロールするのは難しいということで、できる範囲でやりました。

毎日13時から22時まで開いて、入退室は自由にしています。自習室用のブレイクアウトセッションをいくつか開いて、仲のいい生徒や同じ学年の生徒でまとまってやってもらっています。知らない人より気心知れた人といる方が取り組みやすいと思ったので、生徒の要望を取り入れながら、一緒に振り分けを決めました。

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友達同士で同じ部屋を使うので私語も増えるかと思ったのですが、意外にもみんな集中してやってくれました。講師が各部屋を巡回しましたが、声をかけることもなくそのまま別のセッションに行くことも多々あったくらいです。

自習室に入るときはこちらから何をやるか質問して、初めにやることを宣言してもらいます。特に決まっていない生徒には、「このテキスト、ここまで進めれば?」とアドバイスすることもあります。

質問がある生徒は、Zoomの挙手機能を使ってもらっています。場合によってはブレイクアウトセッションに移動して、教えたらまた戻るというやり方もします。

自学習管理コースとStudyplusの活用

去年の7月から自学習管理コースというものを始めました。これは高3生をメインに、受験対策をしていくクラスです。名前の通り完全に自学習管理なので、私たちから勉強を教えることはありません。こちらが行うのは2週間に1度の面談、それから年間学習管理表を作って受験までのプロセスを考えることです。

対面の時は2週間に1回対面でやっていた面談を、オンライン指導開始とともに毎週Zoomでやるようにしました。まず面談の日に確認テストを解いて、丸付けをしてもらったら解答用紙を写真で送ってもらいます。

そこから面談を開始して、まずテスト結果のフィードバックをします。それを踏まえて、次に進むか、もう一度同じ範囲をやるかを話して、最後に近況を聞きます。「学校の課題はどう?」といったことから、「最近元気?」という話もします。

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面談の度に次の2週間の学習管理表を作るのですが、初めは紙でやっていたのですごくかさばっていました。そんな時にStudyplus for Schoolを知って導入し、身軽になりました。今年の3月からプレで始めて4月から正式に利用しているので、ちょうどオンライン指導を始めたころと同じくらいの時期です。

使い方としては、まずStudyplus for Schoolのカルテに面談記録を記入します。過去に投稿したカルテを見て、学習状況やテストの予定、生徒状況も確認します。

それから面談では一週間の学習計画表を生徒と相談しながら決めて質疑応答などもするのですが、終わった後に次回の日程、学習についての指示、それから励ましの言葉をStudyplus for Schoolで送っています。

Studyplusを始めて、これまで電話とメールしか使っていなかったところ、メッセージでコミュニケーションが取れるようになったのがすごくよかったです。導入時、記録に対してしっかりリアクションするということを徹底しました。その結果、今私が担当している生徒は全員、毎日何らかの記録をつけてくれるようになりました。

今後の展望

6月1日からは原則対面に戻します。ただ、通塾が不安という家庭のために一部オンライン授業も残す予定です。ただせっかくオンライン授業のノウハウがたまったので、これを機に新しいコースが作れないか検討中です。

最後に、休校が長引いて、生徒が学校へも塾へも行けない姿は本当に辛そうでした。これは、自分が彼らのためにできることは何だろうと考えるきっかけになりました。オンライン授業なども大切ですが、こういう状況で落ち込んでいる生徒たちを、私たちが暗くならずに笑顔にしていくかもすごく大切だと思います。

これからも大変な時期が続くとは思いますが、何より生徒たちの笑顔のために、やれることをやっていきたいと思います。できることは限られるかもしれないですが、自分で限界を決めずに、いいなと思ったらなんでもやっていきたいです。


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