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生徒情報を一元化し学習の見える化と自立した学びを実現|Y.E.S./S.S.S.オンラインクラス【Studyplus for School Award 2021】

Studyplus for School Award 2021とは、少子化・採用難・地域格差という社会課題が広がる中で、未来の教育の在り方・先生の新しい働き方に果敢に挑戦する教育機関を表彰するものです。

昨年に続き今年も、受賞校によるプレゼンテーションを含むイベントをオンラインで開催いたしました。その模様をnoteでもお伝えしていきます。
今回ご紹介するのは、オンライン指導部門で受賞された、Y.E.S./S.S.S.オンラインクラス(東京都)の大庭先生と木原先生の回です。

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「自ら学ぶ子を育てる」をコンセプトに自習を中心とする学習サロン

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大庭:私は、株式会社Y.E.S.ESL International JAPANの教育事業部長を務めています。Y.E.S.は、アメリカに本部があり、カリフォルニアを中心とした留学のサポートを行っています。また、コミュニティカレッジ付属の語学学校も経営しており、そこへ留学生を受け入れたり、スポーツ留学やアスリートのマネジメントなども行っています。

また、ステップアップスタディサロンという学習サロンのマネージャーも兼務しています。

木原:私は、大庭さんと一緒にステップアップスタディサロンを運営しており、小学生から高校生までの生徒に対して、学習サポートなどを行っています。また、週1回、中高生と大人を対象にいろんなテーマについて考えたり話し合ったりする、マインドセットワークショップキャラバンを主催しています。

もともと大庭さんのもとで、個別指導塾の講師をしていたのですが、新型コロナウイルス感染症の拡大により状況が変化したこともあり、柔軟に対応していくうちに現在の状態に落ち着きました。

大庭:ステップアップスタディサロンは、「自ら学ぶ子を育てる」「自ら目標を立てて進んでいける子を育てる」ことを目指す学習サロンです。教えてもらうというより自分が勉強しにくる場所なので、私も学習塾での講師経験はありますが、指導をするよりもコーチ役に徹しています。

また、完全にオンラインで実施しているのも特徴です。授業は、オプションという立ち位置で、メインはCo-Leaning Spaceという自習室の活用です。

コーチは、生徒と1対1で学習計画を立てたり振り返りをサポートしており、Co-Leaning Spaceの利用計画も一緒に立てています。生徒は何かあれば、LINEの公式アカウントから24時間いつでも連絡可能となっています。

生徒はまた、生徒同士でグループを組み、ファシリテーターを務めるコーチのもとで目標達成の計画実行を一緒に振り返るワークを行っています.

本当に身になる勉強にするため学びの記録をつけさせる

Studyplus for Schoolを導入した経緯や活用法をお話する前に、個人の経験をお話させていただきます。私は学生時代、「勉強はやらされてするものではなく、自分でやるもの」と言われてきました。そこで何のために勉強するか聞いたところ、「自分のためにするのは当たり前。勉強は人のためにする」と言われました。

言い換えると、「社会に出て人の役に立つためには、スキルや技術がなければならない。思いがあっても実力不足では役に立てない。」ということです。私は、この考えに納得し、「誰かの役に立つためには、スキルや技術を身につけるための勉強が重要なのだ」と思うようになりました。

そういったこともあり、のちの私は、経験として価値があるのではないかと思い、海外大学の進学を志し、英語をがんばりました。卒業後、留学の仕事、通信制高校の仕事を経て、個別指導の学習塾で約11年働きました。

しかし、講師は生徒に教えたいという気持ちを強く持っていて、教えさえすれば仕事が完了だと思っていることに疑問を感じるようになりました。

そのため、生徒も受け身になりやすく、「塾に行ったら成績が上がる」「塾にいるときだけ勉強する」「宿題だからやる」といった状態になりやすい環境がありました。これを改善するため、ティーチングよりもコーチングを強化できるよう、いろいろな場所に見学へ行きましたが、完全な解決は難しかったです。

ですが、自立型個別指導の塾や自走型の塾を見ていると、こちらの方が本来的で、目標を持って自分で取り組むことができるため身になる勉強ができるだろうと感じました。そこで、紙にその日学んだことの記録をつけさせる活動をスタートしました。

その際、勉強した中で自分が大事だと思うポイントをピックアップしてもらうようにもしました。このアウトプットがしっかり自分の言葉でできているということは、それだけ理解しているという指標にもなるととらえています。

講師に対しては、教え込むのではなく問いかけをするよう意識してもらいました。「こういうことだよ」ではなく「これは何だっけ?」「さっきのページ、何が書いてあったっけ?」など、生徒本人が自分で考えるためのきっかけとなる質問をしてもらうようにしました。手間も時間もかかりますが徹底しました。

生徒同士のグループワークも開き、どんな計画を立てたか、どんな勉強をしたか、自己評価は何点か、良いところと悪いところはどこかという話もしてもらいました。友達同士でやると「先週も同じこと言ってなかった?」など指摘し合えるため、刺激にもなります。また、励まし合いや気づきの共有、目標を一緒に達成しようという意識の共有もできました。

自習に関しては、ただ自習に来るわけではなく、自習で何をするのかを自分で考えさせることが大切です。先生が生徒の勉強を見に行くのではなく、生徒ができたことを見せにくるという意識を持ってもらうことに注力しました。

Studyplus for School導入で計画の見える化と振り返りの重要性を実感

また、ステップアップスタディサロンは完全オンラインです。コロナ禍ということもありましたが、その後を考えても、対応に柔軟性が生まれることと、経営的には家賃という固定費がなくなりとても大きかったです。一方で、どうやってモチベーションを維持させるか、そして紙ベースで管理していた学習記録をどう取り扱うかに悩みました。初めはエクセルなどを共有していましたが、それもうまくいきませんでした。

そこでStudyplusのアプリを見つけ、自分で使ってみたところとても気に入ったためStudyplus for Schoolに問い合わせました。その際、担当の方から理念や開発の経緯を聞き共感したこともあり、導入にいたりました。

生徒には、Co-Leaning Spaceで自習した内容や自宅学習でやったことを記録してもらっています。カレンダー機能では、週に1回または隔週でやり取りし、勉強をいつどこでやるか予定を立ててもらいます。

面談記録などを入力できる「カルテ機能」も活用していて、その日の生徒の状況を記すフォーマットを作りました。これは、LINE公式アカウント経由で保護者に報告をしています。

導入後の効果としては、Studyplus for Schoolに情報を一元化することができ手間が減りました。運営が全体的にやりやすくなり、生徒と直接会わなくても成立するという手応えを感じられます。

私自身も東京にいる必要がなく、去年は鹿児島に4日間滞在していたタイミングがあったのですが、そこからでも問題なく仕事ができました。また、オンラインのため固定費がかからない分、低コストでサービスを提供できていると思います。

結果として、昨年は受験生全員が第一志望に合格しましたし、米国大学へ留学する準備をしている生徒のTOEFLの目標点も達成しています。今年の5月から渡航が始まっていますが、それぞれ自分なりの目標を達成してから留学していることもあり、その分効果が出ていると感じています。生徒の記録づけを習慣化したことで、計画の見える化と振り返りの重要性を実感しました。

Studyplus for Schoolで目標を宣言し具体的な予定を立てる

木原:ステップアップスタディサロンでは、PDCAサイクルを自分で回せることをミッションにしています。そのため、生徒はそれぞれで自分の目標を決め、その目標をStudyplus for Schoolで宣言します。

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例えば、英検4級をいつまでに取るとか、次のテストで何点取りたいなどを書き込んでもらいます。そして、達成するために、いつまでに何をすべきかなど中期目標を立てます。

グループワークで行うのは、次の2週間で何を意識するか、何をやり切るかの検討です。他人にもアウトプットをすることで、達成意欲を強化する効果があります。

この目標に即して、週1回30分振り返りのためにカウンセリングの時間をとります。生徒には自己評価で点をつけてもらい、その理由を考えてもらいます。それらの内容含め、Studyplus for Schoolのカルテにメモしています。また、コーチからの報告や、翌週何をするかなども書き込み、毎週保護者に送っています。

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カウンセリングが終わったあとは、その週に何をするかリストアップし、「カレンダー機能」を使いそれぞれスケジュールを設定してもらいます。こちらの画像は小学校6年生の生徒のスケジュールです。ゼロベースで決めてもらうのではなく、一緒に考えてそれを組み立てています。このようにやるべきことを明確にすることで、日々のモチベーションを保っています。

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こちらは、別の生徒の学習事例です。3月29日の週は37時間も勉強していますが、それ以降は大幅に減っています。実はこの生徒、3月29日の週までは1週間分まとめてつけていたのです。しかし、カウンセリングのときに、一つひとつの勉強に対して、できたことや課題を自分で把握してもらいたいと思い、こまめに記録をつけるように指示しました。

カウンセリング前は、本人が自分の課題を見つけて解決し、目標達成に向けて進んでいくという私たちのコンセプトからズレた記録づけになっていましたが、毎日の課題点は何か明らかにし、できたことは褒めるというやりとりをこまめに繰り返していった結果、元の量には至りませんでしたがある程度の学習はできるようになりました。

また、何ができたか一つでもいいから具体的に書くよう声を掛け続けると、徐々にうまくできるようになります。自分でできることが増えると、次はこういう勉強をした方がいいかもしれないと、自分で気付けるようになります。

生徒同士で話し合いの機会を持ちモチベーションを上げる

Co-Learning Spaceでは、最初に何を勉強するか宣言し、終わったら報告する流れで運営しています。振り返りの中には、できたことと課題点も記録します。ただ来て勉強するだけではなく、宣言して振り返りを通してコミュニケーション取ることに重きを置いています。

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画像の左側にあるのが、生徒が宣言した内容です。以前は、タイムラインに記録してもらいましたが、「カレンダー機能」が追加されてからは画面のスクリーンショットを活用しています。これにより、生徒の負担も減りました。

左下の部分はできたことと課題点の記録です。右側は、毎日2回、決まった時間に3~5分話しているグリーティングの様子です。グリーティングは、タイムマネジメントの一環として、学校のチャイムのように自分のペース作りのきっかけを目的にしています。そのため、グリーティングの時間だけは、生徒に手を止めてもらい、話を聞いてもらっています。オンラインの自習室では、3~4時間ただ黙々と勉強するだけでは、たるみやすいため、それを防ぎます。

話す内容としては、社会問題の話やモチベーションの話など、とにかく生徒のやる気に繋がったり、少しでも学びになったりすることを伝えます。これがあるとないでは場の雰囲気も変わると、肌で感じます。

また、先述の生徒同士のグループワークは「行動変容会議」と呼んでいます。この取り組みは我々のサロンの大きな特徴です。これは、生徒同士が話す機会で、例えば、中学校3年生の生徒が「受験前だから不安で、ソワソワする」と言うと、中学校1年生の生徒から「不安なのはみんな同じだから楽しんでやったらいいと思います」など励ましのリアクションがあります。同級生や学生同士の言葉からやる気が出るケースも多いので、これからもどんどん発展させていきたいと思っています。

また、先日テラコヤイッキューさんの発表を聞き、「自分で自分をインタビューする形で振り返る」という取り組みが素晴らしいと思い、私たちも始めました。スタートしたばかりなので、うまくできるかわかりませんが続けてみようと思っています。

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こちらは、私のある一日のスケジュールです。月曜日が一番忙しいので、他の曜日はもう少しゆとりがあります。個別レッスンの予約があれば、授業をしてカルテに記録をつけます。生徒全員の1週間分の記録への「いいね」やコメントは、平日の隙間時間と土曜日につけています。

大庭:Y.E.Sでは、全国各地の学生を対象に、授業も勉強会もカウンセリングも完全にオンラインで運営しています。 モチベーションを上げるために、勉強会を開くこともあります。先日開いた勉強会では、立命館大学の方にゲストスピーカーとしてお越しいただき、目標設定やコーチングの重要性に
ついてお話してもらいました。

また、2週間に1回、生徒と振り返りをしており、そこで自己評価や良かったところ、今後の課題、改善案をヒアリングしています。このとき、本人の言葉で話してもらうことを意識しており、私からは少しだけ気づきや助言を与えるのみにしています。

生徒は高校生から大学生くらいの年齢のため、テンポも速く15~20分ほどで終わります。そこから学習計画を「カレンダー機能」に入力してもらい、完了です。

実現したいことがあるからこそStudyplus for Schoolが活用できる

今抱えている課題としては、寮生活をしている生徒は、規則でスマートフォンを午後11時には預けないとならないため、学習記録を頻繁につけることができません。こういった生徒には、「カレンダー機能」や直接のやり取りをメインにして柔軟に対応しています。

また、ほかの生徒でも記録のつけ忘れがゼロではないため、グリーティングのときに、見える化や振り返りの大切さとして話題に挙げ、Studyplus for Schoolで記録をつける意義を説明していこうと考えています。

また、スタディプラスが主催する、学習時間を競うS-1グランプリに向けて、グループワークをブラッシュアップしていきたいです。

オンラインで運営する弊害としては、同じ空間で仕事をしないため、理念や情報の共有が難しいことです。Y.E.S.は社会人の集まりのため問題ありませんが、ステップアップスタディサロンでは、学生のアルバイトも採用しているため課題に感じています。

今後の展望として、特にステップアップスタディサロンではStudyplus for Schoolを活用して、コーチング主体のかかわりをを高めていきます。Y.E.S.では、留学を準備するにあたり、マインドセットを重視して語学の準備を進めるという仕組みは珍しいので、Studyplus for Schoolをうまく活用しながら連携し、一つの形に作りあげたいです。

他の塾さんやスタディプラスの方のプレゼンテーションを聞く中で、ツールを導入するだけで何か変わるわけではないということをみなさん話されていますが、私もその通りだと感じています。「これを実現したい」「こうなりたい」という想いがあるときこそ、Studyplus for Schoolが強力なツールになると思います。


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